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自由編

普通を極めしもの #44 ※微エロ

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 テレサちゃんの口技を楽しんでしまい、最後は無知な嬢へのセックスレッスンということをすっかり忘れていた俺だったが、手応えを感じている。


「いやー、助かったよテレサちゃん。実のところ、手コキはともかく、フェラはうまく伝えられる自信がなかったんだ」

「大したことしてないけど。てか、あんたがあたしに教えたんでしょ。何がそんなに不安だったわけ?」

「手コキと違ってフェラは経験ないからな。素人に仕込むのはいいけど、プロ目線としてはどうなのかと」

「……あぁ、そうね。確かにそうね。あんた男だもんね。そりゃ、しゃぶる経験ないわよね」

「拾いすぎじゃね……?」

「他意はないわよ。本当よ?」

「念を押さなくていいから! この話は止め!!」


 目論見は成功だ。大成功と言っていい! 不安だったフェラ解説は終わった。あとはイージーモード……いや、待て。本当に成功したのか? 順調すぎると逆に不安になってきたぞ……。


「代替行為の奥深さ。ちゃんと伝えられたと思う? 玄人童貞捨ててイキってるやつとか思われてないかな……?」

「大丈夫でしょ。ぶっちゃけあたしは、あんたが自分の性癖をぶちまけてることに不安を覚えたけどね。恥ずかしくないわけ?」

「な、何だって……? おじさんがいつ性癖をぶちまけた?」

「あんなにアンアン喘いじゃって。そりゃ、あたしはいいわよ。見慣れてるし、聞き慣れてるから。でもほぼ初対面な子たちが居るわけでしょ。凄い神経してるわよね。それとも、そういう性癖もあるの? 善処するわよ?」


 なんということでしょう。性技を伝えることで頭がいっぱいで、自分を取り繕うことを考えていなかった。


 テレサちゃんの言う通りだ。しかし気づきたくはなかった。自分の性癖をぶちまけた……その指摘が、胸を深く貫いた。言葉のナイフ……いや、言葉のバリスタだ。


「もうお嫁に行けない……っ」


 椅子でふんぞり返っていた暴君クロノも、こればかりは崩れ落ちるしかない。それをテレサちゃんが受け止める。止めてくれ。今は地に伏したい気分なんだよ……。


「わ、悪かったわよ。まさか自覚がないなんて思わなくて。ほんと、ごめんってば。元気出してよ……」


 真面目に謝られても困る。傷がより深くなっちゃう。こんなことなら、もう少し体面を気にしたリアクションを取るべきだった……。


「アニキ! いきなりどうしたんで!?」

「うるさい黙れ殺すぞ。知らぬ間に自分の性癖ぶちまけたことに気づいたんだ。頼むからそっとしておいてくれ殺すぞ」

「えっ、あれは素だったんで? 俺はてっきり、演技だとばかり……」

「もちろん演技に決まってるだろ殺すぞ。勘違いするなよ殺すぞ。だが、"演技"と気づいていたことは評価してやる」

「こんなに嘘が下手なあんた、初めて見たわ。楽しい」


 俺の尊厳は守られた。きっとそうだ。もう考えるのは止めよう。夜に眠れなくなる。


 俺の女と言えどそれぞれ都合があり、忙しいのだ。くだらない話は止めて、さっさと目的を果たすべき。これ以上、ツッコまれたくないし!


「さーて、いよいよ最後の女だ。ここからは瞬き禁止だぞぉ。3号ちゃんカモーン!!」


 3号ちゃんことミラちゃんは、観客に手を振っている。まるでスターのような立ち振舞に、観客は拍手で返す。ティミちゃんとテレサちゃんの神技を見たので、次なる超絶テクニックに期待してのことだろう。


 ミラちゃんはおじさんに向き合うと、身を寄せてくる。たるんだ右腕を、細い両腕で抱きしめてくる。このとき、俺の手はミラちゃんの控えめな胸に誘導されている。初動から胸の柔らかさを感じるまでの時間は、僅か1秒。


 ミラちゃんは娼婦を引退している。人気絶頂のときに引退した。元々は一族が生きるため。ポーション販路拡充のためにやっていた。目的が果たされ、新たな人生を歩もうとしていたのだ。


 そんな彼女の都合を知りながら、俺はずるいことを言ってこの場に呼んだ。ブランクもあるだろう。教えたことを忘れていても、良いと思っていたが、杞憂だったようだ。


「……仕上げてきたか」


 おじさんが最初に教えた技。その名は、『合法ですよ』。未熟さを武器にする媚の行為……軽い挨拶。これを嫌がる男はいない。


 ミラちゃんは膝の上に乗ってくると、そのまま体を密着させてくる。服越しに伝わる肉の柔らかさと、骨の硬さ。吹けば飛びそうなこの未熟な体が、おじさんの膝の上に乗っており、好きにして良いという事実……。


 少しくらい抱きついて、ぺろぺろしても良いと思った次の瞬間……ミラちゃんは抱きつくのを止め、膝に座ったまま見つめてくる。


 この距離を取る動作には、目的がある。自分の体を見せつけるという明確な目的だ。普通なら裸で向かい合うのだから、間違ってはいない。


 一通り見せつけたら、また抱きついてくる。少し上体を伸ばし、肩に手を巻きつけて、顔を近づけてくる。


「……この袋、邪魔ですね。取っちゃいます」

「ちょっ、身バレしたらどうするんだ」

「きっと平気ですよ。それに、おじさんに教わったことを発表する場ですよね? 顔も、声も……使えるものすべて使ったほうが楽しいんじゃないですか?」


 服を脱ぎ、ズタ袋も捨てて微笑むミラちゃん。なんというプロ意識だ。笑顔が眩しい。可愛い。ズタ袋はマニアックで背徳的だったが、やはり素顔に勝るものはない。


「うーん、やっぱり可愛い子はいいな。チュッチュしよ!」

「はいチュッチュ。このまま本番もしちゃいましょうか」

「……おぉっ、手際がイイっ!!」

「やぁん、おじさんのおちんぽおっきいです。こんな子供を相手にしておっ立てちゃうなんて、鬼畜です」

「ロリまんまんキツキツなだけじゃないかぁ?」


 対面座位で舌を絡めながらイチャコラファック。おじさんも頑張ってるし、少しくらい楽しんでもいいじゃないか。どうせバレないだろ!


「ま、まさか……あの子は……PAMIRA!?」

「あちゃー。バレちゃいました」

「なんで本名を芸名にしてんの……」

「友達はミラって呼ぶので……」

「逆に本名が珍しくなっちゃったか。確かに、俺も呼んだことないなぁ」


 俺の動揺とは別で、ロックと嬢たちもざわめく。何事もなければいいが……。
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