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1話 夢を諦めた僕
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『水泳選手』 僕が幼い頃からずっと目指してきた憧れの職業。
プロの水泳選手である父親に憧れて始めた水泳。小学校までは市内の水泳教室で学び、中学からは父親の指導と中学の水泳部の活動を両立。
中学生になってからの2年間で実力を伸ばし結果も残した僕は、部活で副部長という役職を担っていた。
中学生活最後の大会、ここで結果を残せば水泳強豪校である海岸高等学校私立海岸高等学校への推薦だって確実なものになる。
明日の大会で結果を残し父親のような選手になる1歩を踏み出せる───はずだった。
『診断の結果、息子さんの足の完全な回復は難しいかと。』
「そんな……!どうにか、どうにかならないのですか?」
「リハビリ次第で最終的に日常生活を送る程度までには回復しても激しい動きをともなうものは難しいでしょう……立花さんの息子さん体がとてもしっかりしていますが何かスポーツは」
「息子は水泳を習っていて、本当なら……っ」
「お父さん、ありがとう 僕は大丈夫。
むしろ命があるだけ感謝しないと」
「だが!あの事故さえなければ……いや、すまないお前が1番辛いだろうに」
僕は交通事故にあった。大会前日、学校の帰り道に70代後半男性の不注意運転の車に跳ねられた。
現場の近くにいた誰かが呼んでくれた救急車にのって病院へと運ばれたらしい。
この後、両親がきて母さんも父さんも泣いていた。「どうしてこんな時に……」 そう言いながら涙を流す父さんにつられて自分もいつの間にか涙を流していた。
その後、車を運転していたおじいさんの命が無事だったこと、その親族が言うには近い内に免許返納予定だったが監督不届きにより今回のような事が起こったことが分かった。あれから慰謝料として治療費と少しばかりのお金を受け取ったけど気持ちが晴れることは無かった。
こんな出来事があってから初めての登校日。学校までは親に送ってもらい松葉杖をつきながら教室に向かう。
教室に入ろうとすると───
「涼! お前交通事故にあったって……」
「あぁ、おはよう藍斗。大会に出れなくてごめん……」
声をかけてきた男は中村藍斗だった。小学生時代に通っていた水泳教室をキッカケに仲良くなった親友だ。水泳部では部長を担っている。
身長は183cmで坊主、頭は普通より下かもしれないけど熱血気質で何事も諦めない性格は後輩にも慕われている。
「お前が謝ることじゃないだろ。
それでその足……治るんだよな?」
「どうだろう、病院ではリハビリ次第で日常生活を送る分には問題ないくらいまでには回復するって言われたんだけどね」
「水泳もまたできるようになるんだよな?」
「それは……」
「大丈夫だ!お前なら絶対に治せる!」
こっちの気持ちも知らないで……
いつもなら背中を押してくれる言葉でも今回は少し違った。
「僕はもう水泳を辞める」
藍斗の励ましに対して咄嗟に出たそれを否定する言葉。
「は、涼それお前本気で言ってんのか」
「本気じゃなきゃ僕がこんなこと言うわけないだろ! ……お前は前の大会で結果残せたらしいな?良かったじゃないか」
「おい、涼そんな言い方───」
(キーンコーンカーンコーン)
「悪いけど今はお前の顔が見たくないんだ」
「涼……」
ホームルーム5分前を知らせるチャイムを理由に話を中断させる。
これ以降、僕が藍斗と会話をすることはなくなった。僕が避け始めたことが1番の原因だが僕達は互いに受験生という立場でそれぞれ向かうべき道の為に忙しかったから。
僕は学力のレベルに合わせたそれなりの公立高校へ、藍斗は海岸高校へと進学するとこになりここで僕達の道は別れることになった───
プロの水泳選手である父親に憧れて始めた水泳。小学校までは市内の水泳教室で学び、中学からは父親の指導と中学の水泳部の活動を両立。
中学生になってからの2年間で実力を伸ばし結果も残した僕は、部活で副部長という役職を担っていた。
中学生活最後の大会、ここで結果を残せば水泳強豪校である海岸高等学校私立海岸高等学校への推薦だって確実なものになる。
明日の大会で結果を残し父親のような選手になる1歩を踏み出せる───はずだった。
『診断の結果、息子さんの足の完全な回復は難しいかと。』
「そんな……!どうにか、どうにかならないのですか?」
「リハビリ次第で最終的に日常生活を送る程度までには回復しても激しい動きをともなうものは難しいでしょう……立花さんの息子さん体がとてもしっかりしていますが何かスポーツは」
「息子は水泳を習っていて、本当なら……っ」
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むしろ命があるだけ感謝しないと」
「だが!あの事故さえなければ……いや、すまないお前が1番辛いだろうに」
僕は交通事故にあった。大会前日、学校の帰り道に70代後半男性の不注意運転の車に跳ねられた。
現場の近くにいた誰かが呼んでくれた救急車にのって病院へと運ばれたらしい。
この後、両親がきて母さんも父さんも泣いていた。「どうしてこんな時に……」 そう言いながら涙を流す父さんにつられて自分もいつの間にか涙を流していた。
その後、車を運転していたおじいさんの命が無事だったこと、その親族が言うには近い内に免許返納予定だったが監督不届きにより今回のような事が起こったことが分かった。あれから慰謝料として治療費と少しばかりのお金を受け取ったけど気持ちが晴れることは無かった。
こんな出来事があってから初めての登校日。学校までは親に送ってもらい松葉杖をつきながら教室に向かう。
教室に入ろうとすると───
「涼! お前交通事故にあったって……」
「あぁ、おはよう藍斗。大会に出れなくてごめん……」
声をかけてきた男は中村藍斗だった。小学生時代に通っていた水泳教室をキッカケに仲良くなった親友だ。水泳部では部長を担っている。
身長は183cmで坊主、頭は普通より下かもしれないけど熱血気質で何事も諦めない性格は後輩にも慕われている。
「お前が謝ることじゃないだろ。
それでその足……治るんだよな?」
「どうだろう、病院ではリハビリ次第で日常生活を送る分には問題ないくらいまでには回復するって言われたんだけどね」
「水泳もまたできるようになるんだよな?」
「それは……」
「大丈夫だ!お前なら絶対に治せる!」
こっちの気持ちも知らないで……
いつもなら背中を押してくれる言葉でも今回は少し違った。
「僕はもう水泳を辞める」
藍斗の励ましに対して咄嗟に出たそれを否定する言葉。
「は、涼それお前本気で言ってんのか」
「本気じゃなきゃ僕がこんなこと言うわけないだろ! ……お前は前の大会で結果残せたらしいな?良かったじゃないか」
「おい、涼そんな言い方───」
(キーンコーンカーンコーン)
「悪いけど今はお前の顔が見たくないんだ」
「涼……」
ホームルーム5分前を知らせるチャイムを理由に話を中断させる。
これ以降、僕が藍斗と会話をすることはなくなった。僕が避け始めたことが1番の原因だが僕達は互いに受験生という立場でそれぞれ向かうべき道の為に忙しかったから。
僕は学力のレベルに合わせたそれなりの公立高校へ、藍斗は海岸高校へと進学するとこになりここで僕達の道は別れることになった───
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