クラスごと異世界転移して好きな女の子と一緒に別行動していたら魔王に遭遇したんですけど...

がいとう

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第2章 やっぱり俺の仲間が優秀なんですけど…

7話 ソーディアへ

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 俺達3人が転移したソレイドの外の丘は街の光が届かない薄暗い場所だった。
 とはいえ、月と星の明かりで足元もおぼつかないと言うほどではないのだが。

「ふう、なんかどっと疲れた。」
「すまんかったなぁ。うちもああなるとは思いもしなかったんよ。」
「ああ、マイムは昨日から様子がおかしかったし、しょうがないですよ。もし気に病んでるなら帰って来たらマイムをフォローしといてくれたらそれでいいです。」
「フーマはんは優しいなぁ。うち、もうフーマはんにメロメロやわぁ。」
「はいはい。」

 すり寄って来るボタンさんを抑えつつ俺はシルビアさんに話を振った。

「シルビアさんはいきなり転移したけど荷物とかは…大丈夫そうだな。」

 急な出発となった為荷物は大丈夫かと聞こうと思ったが彼女はしっかりとその手に鞄を持っていた。

「はい。マイム様が荷造りを手伝ってくださいましたので。」
「そうだったのか。それにしてもマイムも様をつけて呼ぶんだな。」
「はい。お話の末…ではなく、フーマ様のお仲間であるマイム様とミレン様も共に尊敬に値する方かと思いまして。」

 舞とシルビアさんの間でどんなお話がされたのかは定かではないが、二人が上手くやっていけそうで良かった。
 知り合い同士の仲が悪いのは気まずいからな。

「ああ、そう。よし、それじゃ早速レイズニウム公国に行きますかね。ボタンさん、どっちに行けば良いんですか?」
「あらあら、うちも遂に気まぐれ転移が体験出来るんやね。あっちの方向で距離はここからラングレシア王国までの3分の1ってところやな。」
「気まぐれ転移?」
「まあ、やってみればわかる。よし行くぞ。」

 俺は首を傾げるシルビアさんの持っている荷物をアイテムボックスに入れてから、彼女の手首を掴んで転移魔法に備えた。
 シルビアさんに気まぐれ転移の説明をしたら怖がりそうな気もするし、勢いで行ってしまった方がいいだろう。
 因みにボタンさんは既に俺の左腕に抱きついている。
 この人凄い楽しそうだな。

「テレポーテーション!」

 俺達はレイズニウム公国の夜空めがけて転移した。


 _______________________________________________



「さて、レイズニウム公国はと。お、あっちの方に見えるあれか?」
「そうやね。あの一番大きいのが公爵の住む城やな。」

 俺とボタンさんは10キロ程先にあるレイズニウム公国の首都を空から見下ろしながらを確認した。

「おお、結構大きな街なんですね。この距離でここまで大きく見えるとはソレイドよりもかなり大きいですね。それに、何だか風も強いですし異なる土地に来たという感じがします。」
「そうだな。まぁ、風が強いのは落ちてるから何だけど。」
「落ち?え、フーマ様!落ちてる!落ちてますよ!このままじゃ死んじゃいます!」
「おーミレンと同じ反応だな。」
「ミレンはんは空飛べるはずなのに意外やなぁ。」
「そうですね。まぁあの体じゃあ確かに地面にぶつかれば死ぬし怖いのも分からなくもないですけど。」

 ローズは始めて気まぐれ転移で上空に転移した時はかなり慌てていた。
 現役魔王の頃は自在に空も飛べただろうからなんら問題はなかったのだろうが、今は弱体化しているし空を飛ぼうにも魔力が心許なかったのかもしれない。
 舞みたいに風魔法で地面を打ち付けるだけの着地は普通やろうと思わないしな。

「何のんきにお話ししているのですか!し、死んじゃう!私こんな死に方したくないです!」
「シルビアさんをこのままにしておくのも可愛そうだし、さっさと行くか。」
「そうやね。」

 俺は何度か転移魔法を使って徐々に高度を下げながら先程確認した街の近くへ降り立った。

「はい到着。」
「もう嫌です。こんな目に合うなんて散々です。」

 シルビアさんが地面に寝そべって自分の尻尾を抱き抱えながら丸まっている。
 腰も抜けているようだし、かなり怖かったようだ。
 確かに俺も転移魔法がなかったらかなり怖いし、こうなるのが普通かもしれない。
 一方のボタンさんは乱れた髪を治す余裕があるみたいだけど。

「そういえば何て名前の街なんですか?」
「確かに行ってなかったなぁ。ここはレイズニウム公国首都、剣と道化の街ソーディアやよ。」

 ボタンさんが街を背にそう説明してくれた。
 街は夜遅くにもかかわらずチラホラと明かりが見えるのでかなりの人が暮らしているのが伺える。

「剣はなんとなくわかるけど道化?」
「まぁそれは明日になってからのお楽しみやな。今晩は早いとこ宿に行って休みましょ。」
「そうですね。もうかなり遅くて若干眠いですし。」

 近頃の俺は早寝早起きが習慣になっているのでこの時間まで起きているのは結構キツい。
 この世界は夜起きていてもあまりやる事がないし、俺は日本にいた頃に比べると格段に規則正しい生活になっていた。

「大丈夫か?立てそうか?」
「すみません。腰が抜けてしまって。」
「はいよ。」
「ふ、フーマさん!?その、すみません。」
「気にすんな。」

 俺は以前の様に転移魔法でシルビアさんを転移させておんぶした。
 まだまだ体が軽いし、顔色は大分良くなったが健康体という感じはしない。
 道中しっかりと労わってやんなきゃな。
 そう思って街に向かって歩こうとしたところでボタンさんがくたんと地面に座り込んだ。

「うちも腰が抜けてもうたみたいや。」
「しかし、どんな街なのか楽しみだな。なぁ、シルビアさん。」
「そ、そうですね。」
「フーマはんはいけずやなぁ。」

 後ろからボタンさんのそんな声が聞こえたが俺は気にせず足を進めた。



 _______________________________________________




 深夜にも関わらず門番が立っていた門のところで入街税を納めた俺達は3人揃って街に入った。
 門番の話によるとソーディアは自由な人が多く好き勝手な時間に街を出たがる人がそれなりいる為、深夜でも大門を閉めはするものの人の出入りは出来るそうだ。
 それで夜も働く門番さんは大変だな。

「さて、宿はどうしたもんか。」
「それならうちが買ってある宿の一部屋があるんやけど、そこに行かへん?3人でも十分広いし、ご飯も美味しいところなんよ。」

 今さらっと言ったけど宿の一部屋を買ってあるのか。
 この人もかなりの金持ちなんだな。
 普通の人は宿の部屋を買おうとは思わないだろ。

「この街の事はなんもわかりませんし、それでお願いします。」
「それじゃあ早速行こうかねぇ。」

 こうして行き先の決まった俺達は夜のソーディアを3人で歩いた。
 ソーディアは門番さんの話の通り深夜にも関わらず空いている店が多く、酒場からは酒を楽しみ人々の賑やかな声が聞こえてくる。

「ソレイドとは大分趣が違いますね。」
「そうか?」
「はい。聴こえてくる音楽も聞いた事がない曲ですし、ソレイドではこんなに多くの人が夜に出歩くなんて討伐祭の時にしかありませんから。」

 俺からしてみるとフランスとイタリアの街並みの違いがいまいちわからない感じでソレイドとソーディアの違いがわからないのだが、現地人のシルビアさんにはかなり異なって見えるらしい。
 まあこの世界はテレビとかないし、異国のものはなんでも物珍しく映るか。

「ソレイドでは討伐祭なんてあるのか。」
「はい。そういえばフーマさん達は最近ソレイドに来たからご存知なかったのですね。ソレイドでは年に一度冒険者の活躍をお祝いする一週間に及ぶお祭りがあるんですよ。」
「へー。それは楽しみだな。」
「まぁ、夏にあるお祭りなので今年は開催出来るかわからないんですけど。」

 夏となると大体3ヶ月後くらいだろうか。
 確かに悪魔の叡智の問題があるソレイドでは少し心配かもしれない。
 俺達がこれからソレイドを引っ掻き回すわけだし。
 とはいえ、

「まぁ大丈夫だろ。その為に俺達はここまで来たんだしこんなくだらない事ぱっと終わらせちまおうぜ。」
「はい!私も誠心誠意頑張ります!」
「おう、頑張ろうな。」

 そうしてシルビアさんと話しながらボタンさんについて行くこと十数分。
 俺達はどでかい建物の前に立っていた。

「え、ここ?」
「そうやね。ここの一番高いとこにある部屋やな。」
「マジかいな。」

 俺達のたどり着いた所はソーディアで恐らく城の次の高さであろう豪華な建物だった。
 ここから見える物凄い大きなエントランスが様々な装飾でキラキラと光っている。
 俺がその今迄見た事も無いような派手さに口をあんぐりと開いていると、メイド服の様な格好をした女性が中からやってきた。

「ようこそいらっしゃいましたボタン様。」
「あらあら、お出迎えご苦労様やなぁ。これから数日世話になるからよろしゅうなぁ。」
「滅相もございません。お部屋は既に用意させて頂きましたので、御案内致します。」
「メイドや。ガチメイドや。」

 秋葉原で見たメイドさんとは違う本物のメイドがそこにはいた。
 物凄く上品な立ち姿だし溢れ出るオーラが凄いのに、全く俺達に気疲れをさせない。
 これがプロか。

「フーマはん?彼女はメイドやのうてここの従業員やよ?」
「あ、ああ。そうだったな。よし、行こうか。」

 俺は部屋に案内されるまでの数分間メイドさんの後ろ姿をこれでもかというくらい堪能した。
 まったく、メイドさんは最高だぜ!
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