クラスごと異世界転移して好きな女の子と一緒に別行動していたら魔王に遭遇したんですけど...

がいとう

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第2章 やっぱり俺の仲間が優秀なんですけど…

12話 一時帰宅

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「残念でしたねフーマ様。」
「まぁ、薄々分かってたけどね。いたっ。」
「ああっ、すみません。」

 剣闘大会が終わってその後、予選敗退した俺は宿に戻ってシルビアさんとボタンさんの手当てを受けていた。

「何で転移魔法使わなかったん?最初は使ってたやろ?」
「ああ、最初は人も多いしあんまり注目されてなさそうだからちょっとくらい使ってもいいかと思ったけど、流石にあの状態で使ったら縮地だって言い張るのは無理そうだったからな。」

 縮地はそこそこの距離を一瞬で詰められるスキルだが、連続して使うには高いLVである必要があるし途中で曲がることは出来ない。
 俺がよくやる背後に回って斬りつけるという戦い方は縮地と言い張るには無理があるだろう。

「そうでしたか。しかし善戦なさっていたと思いますよ?」
「それは相手が手を抜いてくれてたからだな。あの人結構強かったし、本気出されてたらすぐ負けてたと思うぞ。」
「フーマはんはこれからまだまだ強くなると思うんよ。正直予選であそこまで残れるとは思ってなかったしなぁ。」
「えぇ、結構戦えるだろうって昼間は言ってたのに。」
「そうやったっけ?」

 ボタンさんが可愛く小首を傾げてころころと笑う。
 今回もまんまと嵌められたようだ。

「はぁ。ま、結構悔しいが悪魔の叡智との戦いの前にいい経験になったと思えば出て良かったな。」
「それは何よりですフーマ様。」

 シルビアさんが俺の腕に包帯を巻き終えると顔を上げてそう言った。
 賭けは本選からって聞いたし、シルビアさんが俺に賭けて損しなくて良かった。
 俺に全財産賭けるとか言ってたから、シルビアさんが賭けで負けてたら大変なことになっただろうしな。

「ありがとな。さて、夕飯にしようぜ。腹ペコだ。」
「そうやね。」
「そうですね。」

 こうして俺たちが宿から出て夕飯を食べに行こうとしたところで、メイドさんが昼間のようにスッと現れて俺たちに話しかけて来た。

「フーマ様、剣闘大会出場お疲れ様でした。」
「ああ、見に来てたんですか。カッコ悪いところ見せちゃったな。」
「いえ、最後のあの戦いは中々素晴らしかったと思いますよ。」

 そう言ってメイドさんがふんわりと微笑んだ。
 ああ、何と素敵な笑顔だろうか。
 これを見られただけで十分に剣闘大会に出て良かったと思う。

「あらあらあら、フーマはん。顔がだらしのうなってはるよ。」
「そげなことないわい!」

 俺が顔を両手でグニグニしながらそう言うとメイドさんはクスクスと上品に笑った。
 俺がこの世界に来てクールビューティーだと思った女性はロリコンの変態女騎士だったり尻尾に感情丸出しの獣人だったりしたため、今目の前にいるメイドさんが凄く新鮮に眼に映る。

「それで、何かあったん?特に用もなく話しかけて来たって訳やないんやろ?」
「はい。公爵様の御使いの方からお手紙を預かっております。」
「お、もう来たのか。思ったより早かったな。」
「そうですね。明後日になる可能性もあると言っていたので少し意外です。」
「まぁ、まだ手紙が来ただけやし何とも言えんけどなぁ。」

 ボタンさんはそう言いながら手紙を開き読み始めた。

「あらあら、明日の昼に城で会ってくれるそうやね。」
「おお、それじゃあ予定より早く帰れそうだな。」
「そうですね。早く済むならそれに越したことはありませんし、良かったです。」
「そうやね、それじゃあ用も済んだし夕飯に行きましょか。」

 こうして俺達はメイドさんにお礼を言って別れた後、適当に気になった店に入って夕飯を済ませた。


「ふぅ。なかなか美味かったな。」
「はい。少し辛かったですけど、それが食欲を刺激してつい食べ過ぎてしまいました。」

 ソーディアは戦う人が多いためか、辛い料理と強い酒が多い気がする。
 人々に合わせて料理も進化してきたのだろう。

「そうだ。これから一旦ソレイドに帰ってマイム達の様子を見てくる。予定が早まった事も伝えなくちゃだしな。」
「そうやね。昼からの謁見なら夕暮れには帰れるはずやし、伝えておいた方が良いかもなぁ。」
「私もそれが良いと思います。アンの様子も心配ですし。」
「そうだな。ミレンが毎晩様子を見に行くって言ってたからついでにそれも聞いてくるか。」
「ありがとうございます。」
「気にすんな。さて、それじゃあ早速行ってくるわ。」

 俺はそう言い残して自宅まで転移した。



 _______________________________________________




「おーい。舞、ローズいるかー。」
「あら、風舞くん。帰って来たのね。」

 俺が玄関まで転移魔法で帰ってくると、舞が出迎えてくれた。
 一度行ったことのある場所への転移ならそこまで魔力消費も多くないし割とお手のものだ。
 これを使いすぎるとダメ人間になりそうだから出来るだけ歩くようにしてるけど。

「ああ。予定より早くすみそうだからそれを伝えにな。ローズはいないのか?」
「え、ええ。疲れてしまったのか先に寝てしまったわ。」

 なんだか舞の歯切れが悪い。
 まあ、なにか問題があったなら言うだろうし、気にしなくてもいいか。

「それより、その怪我はどうしたのかしら?」

 舞が俺の体に巻かれた包帯と顔に貼られたガーゼを見てそう質問をしてきた。
 とどめにくらった袈裟斬りで出来た怪我はボタンさんが回復魔法で治してくれたが、他の傷は自己治癒力を高めるために残してある。

 最後の袈裟斬りは死んだかもと思ったが、ゴブリンキングの時の攻撃は気付いたら意識が飛びかけていたし、考える余地がある分大したことなかったかもしれない。
 異世界に来て一番強くなったのは魔法とかステータスを除けば、痛みへの耐性な気がする。

「これは剣闘大会に出場したときにちょっとな。」
「剣闘大会?何やら楽しそうな事をしてるのね。」

 あ、ちょっとムッとしてる。
 舞はそういうの好きそうだもんな。
 俺はリビングに移動して舞の機嫌を伺いながら今日1日何があったのかを説明した。

「うーん。そういうことなら仕方ないのかしら。」
「まあ、予選落ちしちゃったし結局ボタンさんへの借金は返せず仕舞いなんだけどな。」
「しょうがないわ。冒険者で地道に稼いで行きましょう。」
「それもそうだな。で、舞の方は何してたんだ?」
「ええ。私とローズちゃんは今日コボルドキングを倒してきたわ!」

 舞が胸を張ってそう言った。
 舞の豊かな胸がいつかの様にたゆんと揺れる。
 今の舞は薄着のためこの前よりも胸が強調されていて分かりやすい。
 ってそうじゃなくて、

「え?今何て?」
「だからコボルドキングを倒して来たのよ。」
「それって迷宮王か?」
「ええ。第20階層の迷宮王よ。」
「マジかいな。」
「マジよ。」

 どうやら舞とローズは今日一日で第11階層から第20階層まで攻略して来たらしい。
 まあ、俺でも第3階層から第10階層まで半日で出来たし、舞とローズなら余裕な気がするが。
 マジかー。なんだか舞との差が一気に開いた感じがして悲しい。

「でも、フーマくんがいないとダンジョに行っても何だか物足りなかったわ。」
「そうか?」

 それを聞いて俺は一気にテン上げした。
 とはいえ、何とかして舞との差をもう少し詰めたいのも事実な訳で。
 せめて舞と模擬戦が出来るレベルまでは上げたいところだ。
 どこかに経験値効率の良い魔物はいないだろうか。

「まぁ、取り敢えずそれは置いといて。アンさんの様子はどうだったかローズに聞いてないか?シルビアさんが気にしててな。」
「フーマくんが帰ってくる少し前にローズちゃんが見て来たのだけれど、一応無事らしいわ。ただ、体調はやっぱり悪いみたいね。ローズちゃんが軽く診た限りは原因が判らないそうよ。」
「そうか。早く治す方法を探してやりたいな。」

 もしかしたらアンさんは呪術によって倒れたのではないかと思っていたがそうではなかったらしい。
 悪魔の叡智はアンさんが倒れた事をどこかで聞きつけてシルビアさんを甘言で唆したのだろう。

「そうね。そのためには何としても悪魔の叡智をソレイドから追い出さなくちゃいけないわね!」
「おう!俺達は明日の昼の公爵への謁見が終わったらすぐに戻ってくるから、舞もアンさんの救出頑張ってな。」
「ええ。任せてちょうだい!」

 舞とローズは明日アンさんの救出に行く予定だ。
 以前ローズがバレないようにやると言っていたし、特に心配はないだろう。

「さて、連絡事項も伝え終わったし戻るかね。」
「あら、もう戻ってしまうの?」

 舞が少し寂しそうな顔をしてそう言った。

「やっぱり折角戻って来たし紅茶でも飲んでくか。」
「あらそう?それじゃあお湯を沸かしてくるわね!」

 舞はそう言ってパタパタとリビングを出て行った。
 何だかすごい幸せだ。
 マジで異世界に来て良かったと思う。
 俺は舞が戻ってくるまでの間、自分の鎧の状態を確認しておくことにした。
 ソーディアに行く前に血とかは拭き取って一応の手入れを済ませてあるが、穴は空いたままである。

「やっぱり鎧を修理に出さないとだよなぁ。」
「おおフウマ。おかえりなのじゃ。」

 俺が鎧をぼんやり眺めながら空いてしまった穴を撫でているとリビングにローズがやってきた。

「あれ、寝てたんじゃなかったのか?」
「う、うむ。寝ていたというか、無理矢理寝かされたという感じじゃ。」
「何だそりゃ。」
「まあ、それはよい。して、それはゴブリンキングにやられたキズじゃな?」
「ああ。折角買って貰ったのに壊しちゃって悪いな。」
「何、鎧とは身を守るためのものじゃ。お主が無事なら構わんよ。」

 ローズはそう良いながら俺の隣にどさりと腰掛けた。
 ローズが俺の持っていた鎧に手を伸ばしてきたので、手渡してやると鎧を持ち上げたり触ってみたりして状態を確認しだした。

「ふむ。これは修理に出さんとダメじゃな。」
「そうだよなぁ。けど、俺達が帰ってくるの明日になったから今から修理に出しちゃ間に合わない気がすんだよ。」
「なるほどのう。流石に鎧がないままというのはあれじゃしのう。…おお、そうじゃった。お主に妾の鎧を貸してやろう。」

 ローズはそういうと自分のアイテムボックスから真っ赤な鎧を取り出した。
 そういえばローズも転移魔法使えるとか言ってたな。
 魔王城からも転移魔法で逃げてきたらしいし。

「確かにすごい鎧だが、これ女性用じゃね?」

 ローズの出した鎧はものすごく上等なもののようで、おそらく龍か何かの皮でできているのであろう真っ赤な鎧は細部にあしらわれた鱗の一枚一枚までもが光沢を放っている。
 しかし、どうも女性もののようでウエスト部分は凄くくびれているし胸のところは結構膨らんでいた。
 これをローズが着ていたとなると、以前のローズはボタンさんほどではないにしろ結構胸があったんだな。
 多分舞よりも大きい気がする。

「なに、取り敢えずこの鎧を着ようとしてみればわかる。」
「そう言うなら一回着てみるが。」

 絶対入んないだろと思いつつもローズから鎧を受け取って着ようとすると形がするすると変わった。

「おお、形が変わった。これってもしかして着る人に合わせて形が変わんのか?」
「うむ。魔族随一の職人に作らせたレッドドラゴンの皮を使った最高級の品じゃ。ワイバーンの攻撃くらいなら小さな傷すら付かんじゃろうな。」
「ワイバーンがどれくらい強いかわかんないけど、ぴったりだしめちゃくちゃカッコいいな。」
「ほほう。お主にもこの良さが分かるか!フレンダは悪趣味じゃと言って妾がこの鎧を着ると良い顔をせんかったのじゃ。」
「フレンダってローズの妹さんだろ?姉妹でファッションの趣味が違うんだな。」
「うむ。フレンダは落ち着いたデザインの服を良く着ておったの。妾は常々地味じゃと言っておっじゃのだが、フレンダは妾を派手じゃと良く言っておったな。」

 ローズがそう言って愛する妹を慈しむかのように微笑む。
 やっぱり結構仲の良い姉妹だったんだな。
 以前ローズは最強であるが故に孤独だったと言っていたが、今の笑顔を見る限りそうは見えない。
 おそらくローズが強すぎるその力で周りを傷つけまいと考えて一人で気に病んでいたのだろう。

「ありがとなローズ。悪魔の叡智の件が終わるまでは大事に使わせて貰う。」
「うむ。妾もお主が喜んでくれて満足じゃ。」

 そうしてローズに借りたレッドドラゴンの鎧を俺は自分のアイテムボックスに閉まってもう一度ソファーに腰掛けた。
 ローズも再び俺の横に座る。
 暫しの沈黙の後、俺の方を見てローズが口を開いた。

「のうフーマ。」
「何だ?」
「フーマはマイの事どう思っとるんじゃ?」

 カチャ。

 こいつはいきなり何を言いだすんだ?と思ったらリビングの外から陶器のぶつかる音が聞こえてきた。
 ああ、ローズが悪い顔しているしそういう事か。
 折角なので俺はローズの悪巧みに乗ることにした。

「そうだな、舞はとても素晴らしい女性だ。奥ゆかしくて凛としているし、優しさに溢れていてユーモアもある。まさに究極の女性と言っても過言ではないだろう。」

 カチャカチャッ。

「ほう。フーマはなかなか舞の事を高く評価してるんじゃな。して、舞に何か望む事はないかの?」

 ローズが引き続き悪い顔をしながら質問をしてくる。
 ここは自分の願望を思い切って打ち明けるか。
 なんかめちゃくちゃおもろいし。

「望む事か。そうだな、舞にはメイド服が似合うと思うから悪魔の叡智の件が終わった頃にメイド服を着て俺が帰ってきた時に迎えて欲しいな。」
「おぉ、それは良い考えじゃな。確かメイド服は商人ギルドで用意できたはずじゃし、不可能ではないじゃろう。」

 その後ローズと別のどうでもいい話をしていると10分後くらい後に舞がポットとカップを持ってやってきた。
 俺は笑いそうになるのを堪えつつ舞に声をかけた。

「遅かったな舞。」
「ご、ごめんなさい。少し思いがけない事があって。」
「ほう。マイも大変じゃな。」
「ええ、そうね。」

 俺は舞に冷めた紅茶を入れて貰って1時間ほど3人で談笑をした後ソーディアに戻った。
 舞がメイド服を着てくれる日がもしかしたら来るかもしれない。
 俺はその日を楽しみに思いながら近い悪魔の叡智との戦に備えて早めにベッドに入った。
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