クラスごと異世界転移して好きな女の子と一緒に別行動していたら魔王に遭遇したんですけど...

がいとう

文字の大きさ
51 / 81
第2章 やっぱり俺の仲間が優秀なんですけど…

14話 救出作戦 Side 舞

しおりを挟む
 
「それじゃあ作戦会議を始めるかの。」

 風舞くんが一度帰ってきた翌日、私とローズちゃんは朝からリビングでアンさん救出作戦の作戦会議をしていた。

「そうね。アンさんの家の位置は分かるから問題ないとして、問題は見張りをしている悪魔の叡知のメンバーかしら。」
「うむ。見張りは妾の気配関知を使いながらアンの家の周りをうろついている奴を一人ずつ仕留めていくのが手っ取り早いじゃろうな。」
「そうね。ただ、見張りの人数が分からないのがネックなのよね。」

 本来の予定だったら明日が作戦決行日だったため、今日中に見張りの様子をある程度確認する予定だったのだが、風舞くん達が公爵さんに思ったより早く謁見できるらしく準備日なしで作戦当日を迎えることになってしまった。

「そうじゃな。じゃから一つ策を労することにした。」
「策?」



「で、なんで私はこんな格好をさせられているのかしら?」
「うむ。よく似合っておるぞ。」

 ローズちゃんの作戦はいたってシンプルで、人数が分からなければ出てこなくなるまで敵を誘い出せば良いというものだった。
 そこで私がアンさん達のパン屋『星の宿り木』の店員の振りをして街を宣伝しながら練り歩く事になったのだが、

「ありがとう。ってそうじゃなくてどうして私はメイド服を着せられているのかしら?」

「変装道具をかってくるのじゃ。」とローズちゃんがついさっき商人ギルドまでひとっ走りして買って来たのが何故かメイド服だった。
 それもミニスカートでふりっふりのフリルがたくさんついたとても派手なものである。

「む、何の事じゃ?それはこの世界のパン屋の店員の一般的な格好じゃぞ?」
「マジかいな。」
「マジじゃ。」

 おっと、つい風舞くんの口癖を真似してしまった。
 確かに私はこの世界に来てまだ日が浅いし一般常識に疎いが流石にこれは冗談だと思いたい。
 昨日の夜風舞くんが私のメイド服姿を見てみたいと言っていたが、流石に昨日の今日では私の心の準備は出来ていないのだ。

「さ、流石に冗談よね?」
「フウマ達が昼過ぎに帰ってくるこの時間が無いときに妾が冗談を言うわけなかろう?」

 ローズちゃんが首をかしげながら、何を当たり前の事を言ってるのじゃ?という顔をしている。
 もしかすると本当にこの世界のパン屋さんはこの格好で働いているのかもしれない。

「わ、分かったわ。アンさんを無事に救出するためだもの、しっかりと変装して頑張るわよ!」
「うむ。それでこそマイじゃ。」


 そして現在、金髪のカツラを被って目の色もローズちゃんに魔法で変えてもらった私はローズちゃんお手製の木製の看板を持ってアンさんの家の周囲を練り歩いていた。

「ほ、星の宿り木です!い、5日後から営業再開して美味しいパンを焼くのでどうぞお越しくださーい!」

 町行く人が私の事を好奇の目で見ているのは私の気にしすぎだろうか。
 あ、今親子連れのお母さんが小さい女の子の目を抑えて見ちゃいけませんって言ってた。
 …ほ、本当に普通のパン屋さんの格好なのよね?ローズちゃん!



 _______________________________________________




「くくく。昨日のマッサージの仕返しじゃ。」

 妾は少し離れた建物の屋根の上からマイが派手な格好で練り歩くのを見ておった。
 勿論マイに着せたのはパン屋の一般的な格好ではなく、花街で娘が着ておるようなものじゃ。
 あれをすぐに用意できた商人ギルドのジェイとやらは中々のセンスのようじゃな。

「おっと、マイにつられて虫が数匹わいてきたの。」

 妾はマイの格好を見て好奇の視線や欲情した目ではなく『星の宿り木』と聞いて焦りや困惑を感じておる者を見つけた。
 ふむ。やはりこの程度の策にかかるくらいの練度しかないようじゃな。

 街に溶け込む際は何事にも動じず、周囲の者に合わせんといけないことを知らんのじゃろう。
 まあ、寄せ集めの者ではこの程度かもしれぬ。
 妾はそこまで考えたところで尖った耳と赤い目を魔法で隠し、茶髪のカツラを被って一番路地に近い悪魔の叡知の関係者であろう男の元へ向かった。

「悪魔の叡知。」
「な、お前どこで」
「ほい。」

 妾が後ろから声をかけて確認したところ、男がかなり動揺したのでみぞおちを殴って気絶させた。
 そのまま男を引きずり路地に用意しておいた樽に口と手足を縛ってから詰めた後、妾は次の標的の元へ向かった。

「悪魔の叡知。」
「なぜ、その名前を」
「ほい。」

「悪魔の叡知。」
「お前は誰」
「ほい。」

「悪魔の叡知。」
「な」
「ほい。」

 そうして同じことを繰り返すこと数回。
 妾は誰にも気づかれずに仕留められる所にいた悪魔の叡知のメンバーを全員樽詰にし終わった。
 全員同じような反応じゃったの。

「さて、後は室内におる者が二人とマイのそばにおる者が一人じゃな。」

 スキルを使って残りのメンバーを確認した妾は窓からアンの店を監視している者のおる建物に足を踏み入れた。
 鍵がかかってはいたが火魔法で焼ききったから問題なかったの。

 建物に入った妾が罠を警戒しながら男達のいる2階へ進むと男達の話し声が聞こえてきた。

「おい見てみろよ。あの女こんな昼間からあんな格好で出歩いてるぞ!」
「いや、あの看板よく見ろ!星の宿り木って書いてあるぞ。あそこの従業員は病気で寝込んでる女と行方不明の獣人だけだったんじゃねぇのか?」
「あぁ?じゃああの女がその獣人だっていうのか?俺にはえらい美人の人間にしか見えねぇぞ?」
「だから慌ててんだろうが!」

 妾が後ろにたっておる事にも気づかずに二人は話を続けておる。
 流石にそろそろマイが気の毒じゃし、さっさと終わらせるかの。

「悪魔の叡知。」
「あぁ?お前いつの間にここまで入ってきたんだ!」
「おい!それよりもどうしてお前みたいなガキがその名を知っている!」
「はぁ。お主らはことごとく阿呆じゃの。」

 妾は片方の男の顔に飛び蹴りをくらわせ、そのまま男の顔を踏み台にしてもう片方の男に空中回し蹴りをくらわした。
 この前フウマを蹴り続けたからか回し蹴りが上手くなった気がするのじゃ。

「情けないの。フウマは今の蹴りをくらっても立ち上がったぞ。」

 妾は二人の男を今までと同様に縄で縛りあげ樽詰にした後マイの元へ向かった。

「おいそこの娘。」
「ろ、な、何かしら?」
「この男がお主のスカートが短いのを良いことにその中を除こうとしておったぞ。」
「お、おい。何を言ってるんだ!俺は」
「そこの貴方。ちょっと話があるわ!」

 戦うメイドの姿に皆の目が釘付けになっている間に妾はアンの家に潜り込み、誰にも気づかれずに妾達の家まで運び終わった。
 さて、最後の一人はマイが滅多打ちにしてるじゃろうからそろそろマイを迎えに行くかの。

「ぶ、ぶべ。ごべんなさい。」
「ふん。これに懲りたら覗きなんてしないことね!」
「いや、だから俺は」
「何か言ったかしら?」
「い、いえ。何でもありません。」

 妾が再びアンの家の近くに戻るとマイが悪魔の叡知の一員を壁際に追いやって説教をしていた。
 それにしても、さっきまで通行人に避けられておったマイが何故こんなに人気者になって盛り上がってるんじゃろうか。

「おい娘。終わったから帰るぞ。」
「ふぅ、やっと終わったのね。早く帰りたいわ。」

「おお帰るのか嬢ちゃん。中々良い見世物だったぞ!」
「お姉ちゃんカッコ良かったー!」
「自分の身を囮にして変質者を倒す貴女は全女性のヒーローよ!」

「も、もういやー!」

 野次馬に口々に誉められたマイは涙を流しながら去っていった。
 野次馬の者達はものすごい速度で屋根の上を走るマイを見て歓声をあげておる。
 わずか十数分で街の人気者になるとは流石マイじゃな。

 その後、顔を真っ赤にしながら街を走り抜けるマイを追いかけ、妾達は家を出たときと同じ様に途中の路地で変装を解き家に帰った。
 さて、そろそろフウマが帰ってくる頃じゃろうからずっと泣いているマイを慰めんとな。
 正直やり過ぎた気がするし、後でマイの仕返しが怖いのじゃ。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~

犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。 塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。 弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。 けれども違ったのだ。 この世の中、強い奴ほど才能がなかった。 これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。 見抜いて、育てる。 育てて、恩を売って、いい暮らしをする。 誰もが知らない才能を見抜け。 そしてこの世界を生き残れ。 なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。 更新不定期

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

処理中です...