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第2章 やっぱり俺の仲間が優秀なんですけど…
14話 救出作戦 Side 舞
しおりを挟む「それじゃあ作戦会議を始めるかの。」
風舞くんが一度帰ってきた翌日、私とローズちゃんは朝からリビングでアンさん救出作戦の作戦会議をしていた。
「そうね。アンさんの家の位置は分かるから問題ないとして、問題は見張りをしている悪魔の叡知のメンバーかしら。」
「うむ。見張りは妾の気配関知を使いながらアンの家の周りをうろついている奴を一人ずつ仕留めていくのが手っ取り早いじゃろうな。」
「そうね。ただ、見張りの人数が分からないのがネックなのよね。」
本来の予定だったら明日が作戦決行日だったため、今日中に見張りの様子をある程度確認する予定だったのだが、風舞くん達が公爵さんに思ったより早く謁見できるらしく準備日なしで作戦当日を迎えることになってしまった。
「そうじゃな。じゃから一つ策を労することにした。」
「策?」
「で、なんで私はこんな格好をさせられているのかしら?」
「うむ。よく似合っておるぞ。」
ローズちゃんの作戦はいたってシンプルで、人数が分からなければ出てこなくなるまで敵を誘い出せば良いというものだった。
そこで私がアンさん達のパン屋『星の宿り木』の店員の振りをして街を宣伝しながら練り歩く事になったのだが、
「ありがとう。ってそうじゃなくてどうして私はメイド服を着せられているのかしら?」
「変装道具をかってくるのじゃ。」とローズちゃんがついさっき商人ギルドまでひとっ走りして買って来たのが何故かメイド服だった。
それもミニスカートでふりっふりのフリルがたくさんついたとても派手なものである。
「む、何の事じゃ?それはこの世界のパン屋の店員の一般的な格好じゃぞ?」
「マジかいな。」
「マジじゃ。」
おっと、つい風舞くんの口癖を真似してしまった。
確かに私はこの世界に来てまだ日が浅いし一般常識に疎いが流石にこれは冗談だと思いたい。
昨日の夜風舞くんが私のメイド服姿を見てみたいと言っていたが、流石に昨日の今日では私の心の準備は出来ていないのだ。
「さ、流石に冗談よね?」
「フウマ達が昼過ぎに帰ってくるこの時間が無いときに妾が冗談を言うわけなかろう?」
ローズちゃんが首をかしげながら、何を当たり前の事を言ってるのじゃ?という顔をしている。
もしかすると本当にこの世界のパン屋さんはこの格好で働いているのかもしれない。
「わ、分かったわ。アンさんを無事に救出するためだもの、しっかりと変装して頑張るわよ!」
「うむ。それでこそマイじゃ。」
そして現在、金髪のカツラを被って目の色もローズちゃんに魔法で変えてもらった私はローズちゃんお手製の木製の看板を持ってアンさんの家の周囲を練り歩いていた。
「ほ、星の宿り木です!い、5日後から営業再開して美味しいパンを焼くのでどうぞお越しくださーい!」
町行く人が私の事を好奇の目で見ているのは私の気にしすぎだろうか。
あ、今親子連れのお母さんが小さい女の子の目を抑えて見ちゃいけませんって言ってた。
…ほ、本当に普通のパン屋さんの格好なのよね?ローズちゃん!
_______________________________________________
「くくく。昨日のマッサージの仕返しじゃ。」
妾は少し離れた建物の屋根の上からマイが派手な格好で練り歩くのを見ておった。
勿論マイに着せたのはパン屋の一般的な格好ではなく、花街で娘が着ておるようなものじゃ。
あれをすぐに用意できた商人ギルドのジェイとやらは中々のセンスのようじゃな。
「おっと、マイにつられて虫が数匹わいてきたの。」
妾はマイの格好を見て好奇の視線や欲情した目ではなく『星の宿り木』と聞いて焦りや困惑を感じておる者を見つけた。
ふむ。やはりこの程度の策にかかるくらいの練度しかないようじゃな。
街に溶け込む際は何事にも動じず、周囲の者に合わせんといけないことを知らんのじゃろう。
まあ、寄せ集めの者ではこの程度かもしれぬ。
妾はそこまで考えたところで尖った耳と赤い目を魔法で隠し、茶髪のカツラを被って一番路地に近い悪魔の叡知の関係者であろう男の元へ向かった。
「悪魔の叡知。」
「な、お前どこで」
「ほい。」
妾が後ろから声をかけて確認したところ、男がかなり動揺したのでみぞおちを殴って気絶させた。
そのまま男を引きずり路地に用意しておいた樽に口と手足を縛ってから詰めた後、妾は次の標的の元へ向かった。
「悪魔の叡知。」
「なぜ、その名前を」
「ほい。」
「悪魔の叡知。」
「お前は誰」
「ほい。」
「悪魔の叡知。」
「な」
「ほい。」
そうして同じことを繰り返すこと数回。
妾は誰にも気づかれずに仕留められる所にいた悪魔の叡知のメンバーを全員樽詰にし終わった。
全員同じような反応じゃったの。
「さて、後は室内におる者が二人とマイのそばにおる者が一人じゃな。」
スキルを使って残りのメンバーを確認した妾は窓からアンの店を監視している者のおる建物に足を踏み入れた。
鍵がかかってはいたが火魔法で焼ききったから問題なかったの。
建物に入った妾が罠を警戒しながら男達のいる2階へ進むと男達の話し声が聞こえてきた。
「おい見てみろよ。あの女こんな昼間からあんな格好で出歩いてるぞ!」
「いや、あの看板よく見ろ!星の宿り木って書いてあるぞ。あそこの従業員は病気で寝込んでる女と行方不明の獣人だけだったんじゃねぇのか?」
「あぁ?じゃああの女がその獣人だっていうのか?俺にはえらい美人の人間にしか見えねぇぞ?」
「だから慌ててんだろうが!」
妾が後ろにたっておる事にも気づかずに二人は話を続けておる。
流石にそろそろマイが気の毒じゃし、さっさと終わらせるかの。
「悪魔の叡知。」
「あぁ?お前いつの間にここまで入ってきたんだ!」
「おい!それよりもどうしてお前みたいなガキがその名を知っている!」
「はぁ。お主らはことごとく阿呆じゃの。」
妾は片方の男の顔に飛び蹴りをくらわせ、そのまま男の顔を踏み台にしてもう片方の男に空中回し蹴りをくらわした。
この前フウマを蹴り続けたからか回し蹴りが上手くなった気がするのじゃ。
「情けないの。フウマは今の蹴りをくらっても立ち上がったぞ。」
妾は二人の男を今までと同様に縄で縛りあげ樽詰にした後マイの元へ向かった。
「おいそこの娘。」
「ろ、な、何かしら?」
「この男がお主のスカートが短いのを良いことにその中を除こうとしておったぞ。」
「お、おい。何を言ってるんだ!俺は」
「そこの貴方。ちょっと話があるわ!」
戦うメイドの姿に皆の目が釘付けになっている間に妾はアンの家に潜り込み、誰にも気づかれずに妾達の家まで運び終わった。
さて、最後の一人はマイが滅多打ちにしてるじゃろうからそろそろマイを迎えに行くかの。
「ぶ、ぶべ。ごべんなさい。」
「ふん。これに懲りたら覗きなんてしないことね!」
「いや、だから俺は」
「何か言ったかしら?」
「い、いえ。何でもありません。」
妾が再びアンの家の近くに戻るとマイが悪魔の叡知の一員を壁際に追いやって説教をしていた。
それにしても、さっきまで通行人に避けられておったマイが何故こんなに人気者になって盛り上がってるんじゃろうか。
「おい娘。終わったから帰るぞ。」
「ふぅ、やっと終わったのね。早く帰りたいわ。」
「おお帰るのか嬢ちゃん。中々良い見世物だったぞ!」
「お姉ちゃんカッコ良かったー!」
「自分の身を囮にして変質者を倒す貴女は全女性のヒーローよ!」
「も、もういやー!」
野次馬に口々に誉められたマイは涙を流しながら去っていった。
野次馬の者達はものすごい速度で屋根の上を走るマイを見て歓声をあげておる。
わずか十数分で街の人気者になるとは流石マイじゃな。
その後、顔を真っ赤にしながら街を走り抜けるマイを追いかけ、妾達は家を出たときと同じ様に途中の路地で変装を解き家に帰った。
さて、そろそろフウマが帰ってくる頃じゃろうからずっと泣いているマイを慰めんとな。
正直やり過ぎた気がするし、後でマイの仕返しが怖いのじゃ。
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