パンストの御恩と御縁を還す 白稲荷ときつね

AnnA

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第1歩 「焼肉事変」の裏側で①

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あぁ…痛てぇ…マジでヤバイな…これは…  

血が…ネクタイは 足に使ったし…

ベルトは…役に立たないか…

連絡はしたけど…このままじゃ…
組の人間が迎えに来る前に…
あの世からの迎えが 早そう…

まだ、連中も近くに居るだろうし…

…普通の死に方はしねぇかな…とは
思ってきたけど…これか…?

今日が…そうなのか…な…

…どうして…こんな…絶対絶命の…
本気で死ぬかもしれない時に…俺は……

「あの子」の事を思い出すんだろう…?

たった一度だけ…偶然…銭湯で会って…
他の人に混じって 世間話 程度に…
会話しただけの…「あの子」を…

こんな…人生の終わりかもしれない時に……

もっと…組長(親父)や若(義経さん)…
組のメンバーとか…

この状況なら…思い出すのは、そっちだろ…どれだけ…世話になったと思ってる…

俺…何で…たった一度の「あの子」を
思い出してんだよ…大馬鹿……

♪ヴヴッ ヴーヴーヴーヴー

スマホ…マナーモードにしてて 良かった…音で 連中にバレるとこだった…

あぁー…クソ痛てぇ…この振動でも響く…

それに…右手は もう…
左手は 止血で押さえてるし…

スマホすら…取れねぇ…けど…
マジで…これが生命線だからな…
痛つつ…

「はい…」

「あっ!!良かった!!もうすぐ着きますッ!!止血は済んでますかッ⁈」

「いや…足は…何とか…1番メインは…ネクタイで縛ったんですが…」

「他に 縛れるのはッ⁈」

「…無い…ですね…」

「あぁ~~…あっ!そこっ、ホテル街でしょ⁈近くが!そこまで頑張って、部屋に入って下さいッ!!そしたら、縛るヒモも布も ありますからッ!!」

「あー…まぁ…近いですけど…」

「頑張って下さいッ!!絶対 迎えに行くんで!!組長(親父)達が キレ散らかしてますからッ!!絶対に生きてて下さいよッ!!!」

「…頑張ります…じゃ…移動するので…」

「あ!電話は そのままで!!切らないで下さいね!!!」

「はい…」

電話が 繋がったままで…
今の位置情報とかを 適宜教えてくれる…
あと、どのくらいで 到着するかも…

到着予定時間が どんどん短くなっていく…

俺が このまま失血死するか、助かるかの…

カウントダウンみたいだな…

不思議と 他人事のように思える…

頭が ボーっとするから…
色々考えられないし…

気を抜けば…座り込んで…
二度と立ち上がれないだろう…

この痛みの お蔭で…
「お蔭」とか、言いたく無いが…

痛みが無ければ…
このまま 意識を失うだろうな…

さぁ、大仕事だな…マジで…
生死を賭けた…。

このまま…建物と建物の間の…
俺1人通るのが やっとの…

この道…道とも呼べない…ここを…
抜けた先が…ホテル街なはず…

左のビルの外壁に寄りかかって行かないと…

もう…1歩も…難しい…

スマホから 聞こえる…俺の名を呼んで…
頑張れと…

その声に…足が1歩ずつ…前へ…行く…

ボーっとするけど…考えないと…

ホテルに辿り着いても…助からない…

この足で 行けるのは…
俺の 両隣の建物…

この どちらかが限界…
頼む!ホテルであってくれ…!

この腕じゃ…紐があっても…
もう 縛れない気が…

ホテルにある 紐…
え?そういう部屋がある所…
いや、バスローブの紐とかで…

今の俺に…右腕と…腹を 的確に縛れるか…?

バスローブの紐よりも…
もっと…扱いやすそうな…
ホテルにあるのって…

もうすぐ…通りに出る…

この、歓楽街の近くの…
繁華街も近い 立地の…
金曜の夜に…

ホテルが空いてるか…?

そこは…もう…俺の運だな…

問題は…この 寄りかかる壁 無しじゃ…
1歩も 歩けない…自力じゃ…

金曜の夜…賑わうホテル街に…
血塗れの俺が…出てきたら…

通行人は…警察呼ぶ…救急車呼んでくれる人もいるかもだけど…

駄目なんだ…どっちも…

堅気は 巻き込まねぇのが掟だけど…

助かるには…誰か…通りに出てすぐ…
捕まえて…協力してもらわないと…

歩く杖 代わりと…
ホテルに入る手助けに…

出来れば…止血を手伝ってくれそうな…

そんなの…居ねぇよな…
1人で歩いてる女なんて…

皆 男連れか…
デリヘルとか 水商売の女だろ…

他の組と繋がってて 不思議は無いし…  

俺を こんな風にしやがった連中に
繋がってる可能性だって…

本当に、運試しだな…命を賭けた…

スマホからの…声に…
1歩、1歩、足を前へ、前へ…

いきなり 通りに出る前に…状況を確認。

思ったほど…人は多くないか…?

まだ、夕食の時間…
二次会の時間くらい…か…。

もう1歩 前へ…
これで、近くを歩く人間が見える。

俺の姿は、ビルの間の暗闇に隠れたままで…。

通りを覗くと… 一発で 見つけた。
「その人」を。

色白というか、青白く見える肌に
長身で 痩せていて…

1人で歩いてるし、表情とかから…
たぶん、男に 振られた後か…?

俯いて、トボトボと 力なく
人の邪魔にならないようにか

通りの端…まさに ここの目の前を通る。

今、この場所から 手を伸ばしても
届きそうな程…。

身なりを見ても、普通の地味なOLだ。
水商売じゃ無い。

黒髪を1つに束ね、化粧も最低限
リクルートの様なスーツに…

あ…ストッキング!

これなら…今の俺でも
腕と腹を縛れるし、伸縮性もあるし!

もう、「この人」に決まりだ。

チラッと周囲を見渡しても
「この人」以外は 無理だ。

これを逃したら…俺は 死ぬだろう。

頭が…ボーっとするし
動悸と…息が苦しい…

力も入らないどころか
どんどん抜けて…体が重い…マズイ…

痛みよりも…眠気のような…
寒いし…耳鳴りもしてて…

スマホからの…組の人間の声も…
よく分からなくなる…

ただ1つ、分かるのは…

「この人」が、最初で最後のチャンスで
絶対 逃せない事。

それと…不思議と…
「この人」は 大丈夫と…
何故か 思う…

こんな世界に生きてきて…
人を信頼するなんて、絶対しないのに…。

組長(親父)や義経(よしつね)さん みたいな…感じに…

極限状態だからかな…
藁をも縋る状況だからだ…。

さて、一か八か…

命がけの 俺の運は…どうかな…

タイミングを 見計らって…

頼む…!!
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