先パイッ!「ビーエル」って何ですかっ?

AnnA

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第39話 「人違い」の正体③

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俺を含めた全員が言葉も無く…
昼時のカフェテリアは無音状態だった。


「あ~っはははは~~っ!朝日君~~!やる気だね~~♪」

「あっ!お久しぶりで~すっ!伊波《いなみ》先パイ!BBQん時 ありがとうございましたぁ~!」

この重苦しかった空気を 一瞬で払って 和やかにしたのは、例の沖縄の先輩だ。

伊波先輩(3年)達は 俺らの側まで来て、笑顔で話し始めた

…アロハシャツが あり得ないくらい似合ってる…(本当は「かりゆし」という沖縄の服だった)。

ちなみに、コイツは ハワイみたいな服装…もう、このまま飛行機乗って 行けそうだし…よく似合ってるけど…。

更に蛇足だが、2人ともビーチサンダル。ここまでビーチサンダルを履きこなす(?)人も初めて見た。

「いいって~♪朝日君の作ってくれたの全部美味しかった~!イカ墨は最高~♫」

「そっすよね~っ♪」

「ねぇ~♪ ふふっ ははは~っ! 嵯峨君、動けないでしょ~?」

「え…?あ…はい…」

「朝日君が~ 絶妙な所に立ってるから~~♪有言実行タイプ~~!」

「え⁇」

「へへへ~っ 癖ですね~。伊波先パイ、海でも思ったんですけど~ 空手以外にもしてました~?」

「してたよ~!俺も思ってたさ~ 朝日君もかな~?って」

「そっすね~」

「…⁇」

「嵯峨君~♡朝日君が 王子様してくれるからさ~大丈夫~♪」

「えっ⁈」

「その位置は、逃がさないし、守りやすい所~♡」

「へ…⁇」

「ちょ~ど、良いんすよね~♪ここら辺~」

「いい所 居るね~!そこなら、俺 諦めるな~。一歩…難しいもんね~」

「へへ 決めたんで~」

「…⁇」

「ふふっ 嵯峨君は 今、自分が動けないのは 気付いてるでしょ~?」

「はい…」

「朝日君~ ちょっと、後ろの 後輩達に見せたいんだけど~、動いてもらって良い?」

「は~い」

「???」

そう言って、コイツは 僅かに半歩分…?くらい立ち位置をずらした?だけ……

「見た~?嵯峨君 これで動けるでしょ~?」

「え?いえ…少ししか 動いて無いし…あ?」

「スペースは狭いけど~普通に動けるはずさ?」

「ホントだ…?え?何で⁇」

「王子様が お姫様守ってたからさ♡」

「はっ?」

「お姫様つーか、兄ちゃんって 感じっすけどね~♪」

「そっかぁ~⭐︎ね~朝日君はさ~?うちの空手部に入れる~?」

「あ~…入れないです~」

「そっか~やっぱねぇ~?OK~!聞いてみただけ~ 気にしないで~?また 遊び行こ~♪」

「は~い!あ、ヤギ汁は…」

「あはは~!冗談さ~!俺もヤギ無理だから~!」

「えっ⁈そうなんですかっ⁈」

「羊の100倍は臭いもん!大体、こっちヤギ肉 無いって~笑 ジンギスカンはあるけど~?」

「なんだ~…東京やけん、ヤギ肉も売りよんかと思った~!」

「あはは~!今度 豚足食べよ~?」

「は~い!大好きっす~!」

「嵯峨君兄ちゃん 連れておいで~?」

「は~い!」

「えっ…」

「嵯峨君~♡白雪姫みたいに 寝てるだけで、弟君が守ってくれるさ♡じゃ~ね~!」

「えっ?あのっ…どういう…」

伊波先輩は 後輩達を連れて ニコニコしながら帰って行き…空手部の人だった。
(後から聞いたら、スポーツ推薦で来たらしい…)けど……

いや、コイツ何者ッ⁈

俺の隣で、普っ通っぅぅ~にしてるけど!!!

…グーって…腹鳴ってるし…。

「あ~腹減ったぁ~ 先パイ達もう食べたんですか~?」

「うん」

「あ、俺ら もう食べ終わったから、ナオくん達 ここ使いな~?」

「もう、急がねぇと3限始まるぞ?」

「あ、俺ら3限無くて、4限、5限なんですよ~」

「だから、全然ゆっくりで大丈夫です~」

「あ、俺らも~3限無しの4限だよ」

「な、嵯峨」

「……ん」

「え~?やったぁ~!」

「ははっ ナオちゃん 今日は色々良かったね~~♡」

「うん!」

「ははは ナオくんは 嵯峨の事が兄ちゃんみたいな感じなんだっ?」

「そっすね~!やっぱ 似てるんですよね~ この前、出張で一人こっち来とって 会ったけど。今日とかヒゲあるし、休みの日の兄ちゃん達みたい!」

「はは、無精ヒゲだもんな~今日。珍しいけどな?嵯峨」

「まぁ…」

…何?全員 暗黙の了解で 今の流れスルーすんの…⁇いや、俺以外は もう知ってる訳⁇コイツの隠された謎的なのを…⁇

「出張って、歳 離れてるの?お兄さん達と」

「はい。俺が 日曜の朝のヒーロー見とん時に 制服着とるくらいやったんで。もう大人と同じくらいの感覚ですね~。俺、サンタさんに頼むくらい兄ちゃん欲しくて~」

「はは!頼んだの?ホントに」

「頼みましたよ~!家族が サンタにも出来る事と出来ん事があるけん…とか言いよったけど、当時はサンタに 不可能無しっち思っとって~。絶対いける!サンタさんを信じろ!っち家族に言って~!めっちゃ困った顔しとったわ~笑」

「はははは!その光景 目に浮かぶ~!」

「で?お兄ちゃんの代わりに 何が来たの?プレゼント」

「何やったっけ?ショック過ぎて…何かストッキングも片付けられとって~」

「ストッキング?」

「プレゼント兄ちゃん来ると思っとったけん、一番デカい靴下って、ストッキングっち思って 葬式用の黒いの オカンとばーちゃんのタンスから引っ張ってきて~」

「えっ⁈ わははははっ!ストッキングって!」

「あはははは!分かるけどさ~!何で クリスマスに葬式用のにしたの~っ?」

「いや~、だって 島は結婚する年頃がおらんけんさ~?ストッキングは黒一択やも~ん」

「あー…そっかぁ…」

「あれ?でも、ナオくん 高校に結婚式の服で おばあさん来たんじゃなかったっけ?」

「あー 来ましたけど~夏で 暑かったんでしょうね~?靴下丈の分かります~?」

「え~?そんなのあるんだ~?」


…え?待って?何で皆スルー???俺以外は やっぱ知ってたのか…

はぁ~…つーか、このまま皆で 団欒する感じだし…

図書室行きたいけど…あまりの諸々の衝撃に力入んねぇ…

ちょっと…座ろ…あ…そう言えば…お茶を買いに行くところ…だった…っけ?

もう 遠い昔の事の様なんだけど…浦島太郎状態……

「あっ⁈嵯峨っ!どこ行くんだよッ⁈」

「え?お前らのお茶と俺の買いに行…」

「俺が行くからッ!お前はッここに居ろっ!なっ⁈」

「え?でも…」

「いいからッ!水?お茶?何がいいっ?」


…いや…違うな?全員知ら無かったな?
この表情と反応と…日本人だから…触らぬ神に祟りなし、君子危うきに近寄らず…の空気読みだな?

フルモデルチェンジ…並のコイツの変わりようと言うか…素の状態?に どうしたらいいのやら…って感じか?

分かるわ。これはなぁ…

あの、例の駅での一件も マジで怖かったのかも…その場に居たら…。

知らねぇのに、悪かったな…

あの会議のメンバーに…すまん……。




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