超美形魔王が勇者の俺に嫁になれとほざいている件

むらびっと

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勇者、看病される

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俺は勇者。魔王を倒すべく魔王の城に乗り込んだ勇者だ。
だが現在、何故か俺は魔王に林檎を剥いてもらい看病されているのであった。

「ほれ、林檎剥けたぞ」

「あ、ありがとうございます……ってそうじゃねえ!!」

「おいおい、林檎投げんなよ勿体無い」

魔王はよっこいしょと言いながら床に叩きつけられた林檎を拾う。

「なんだよ、折角人がウサちゃん林檎にカットしてやったのに。そんなに嫌だったのかよウサちゃん」

「ちげええええし!てか無駄に器用!!」

「ふっ、俺の実力はこんなもんじゃないぜ……気合い入れれば白鳥だって作れる」

「白鳥!?そ、それは本気ですげぇ……ってそうじゃねえ!!」

「じゃあ何が気に食わねえんだよ?」

「うるせえ!!つうかお前ほんとに魔王なんだよな!?だったら今すぐ俺と戦え!!」

そうだ、俺はなにされるがままに何日も看病され続けているんだ!よく考えたら命を賭してでも倒さなければいけない相手が目の前にいるじゃないか!

俺はベッドの上で立ち上がり宣戦布告をした。そしてファイティングポーズで構える。

「ほらどうした!さっさと戦え!」

「えー。俺今スッピンだからむり。」

「そんなの知ら…え、お前化粧してんの?」

「戦う時はな。じゃなかったらあんなデー〇ン閣下みたいな顔になるわけないだろ。」

なんてこった……まさかあの恐ろしい悪魔のような顔が化粧で作られたものだったなんて……。こいつどれだけのメイク術を習得しているんだ……。

「じゃ、じゃあ化粧するまで待ってるから早くしてこいよ!」

魔王はうーん、と言いながら俺の体をしばし見つめ改めて何か分かったようにニコッとして言い放つ。

「やだ♡」

「なんで!」

「嫌なもんは嫌」

俺は馬鹿でかいベッドの上で地団駄を踏む。

「俺は勇者だぞ!お前の敵なんだぞ!?出会ったら戦うのが宿命だろ!」

「お前さぁ、気づいてるか分からないけど……シャツ1枚の丸腰だぜ?そんなヤツと戦ってもなぁ?」

魔王は腕を組み、ニヤニヤと笑いながら言う。

「そ、それは……」

確かに今の服装は丈の長めの白シャツを1枚着てるだけで装備品は全て外されている。盾もなければ伝説の剣すら持っていない。ぶっちゃけパンツも履いてない。(これは何故なのか俺もよくわからん。)
恥ずかしい話武器がなければ全く戦えない非力な俺は仕方なくまたベッドの上に座ることにする。

「くっっっっそ!」

「よし、いい子いい子。まあ、お前ともう戦う気無かったし。だってお前は俺の嫁になるんだからな」

「…………はい?」

なんか今ありえない単語が出てきた気がするんですけど?俺の聞き間違い?

「俺が?お前の?なんて?」

「だから嫁に」

「俺が?」

「うん」

「何故?」

「惚れたからだけど?」

「俺、男だけど……?」

「うん知ってる」

「…………」

俺は思考停止仕掛けた脳みそをなんとか動かして考える。なんだこいつ…勇者好きとかもしかしてイカれてんのか?とか考えたが至って真面目に答えるその姿勢は錯乱してるものには見えない。

俺を弄んでいる?それとももっと狡猾な理由が?

そんなことを色々と考えた末、絞り出した回答がこれだった。

「お前…………まさか世の中の姫や美女をサラったりするのに飽きて遂に変な趣味嗜好に走って……」

そうとしか考えられない。いやきっとそうだろう。じゃないと自分にそんな訳分からん事を言ってくる理由が俺の中では見当たらない。もしかしたらコイツは俺が思っている以上にオツムが可哀想な奴なんじゃ…。

「なんか色々勘違いしてるようだが俺はお前が男だろうが女だろうが関係なく惚れた訳だ。いわゆる一目惚れってヤツだな」

「な、なんでだよ…!俺は勇者だぞ!?お前のライバルなの!ラ・イ・バ・ル!」

「魔王と勇者の恋かー。なかなかそういう所もそそるよな」

そういうと魔王は剥いていた林檎を横にある丸テーブルの上の皿に置いて椅子から立ち上がる。そして俺をまたじっと見つめる。

「……な、なんだよ…」

「いやー、お前さっきから結構元気そうだからさ。そろそろいいかなって」

急に空気が変わった様な気がして恐れおののく俺にジリジリと近づく魔王。

なんか、もしかして今俺やばい状況…?

その思いは的中し、魔王は急に俺の肩に手をかけ、ゆっくりと体重をかけて押し倒そうとしてきた。

「ちょっ!待て!なにすんだよ…!」

負けじと押し返そうとするが魔王の体は全くビクともしない。まるで壁を押しているように動じない。疲労がまだ溜まっているせいかもしれないが俺はあっさりと赤子の手をひねる様に簡単にベッドに押し倒されてしまう。

まずい、なんか、このままじゃまずい気がする!

「やめっ!やめろって!なんなんだよ!」

「なにって…何すると思う?」

魔王は不敵な笑みを零しながら俺を見下す。先程までの美綺麗な顔が今は恐ろしい魔王の片鱗を見せる。俺はもがき、なんとかこの状況を逃れる術を考えた。

「まっ、待てって!ちょっと落ち着け!だ、大体俺のどこに惚れる要素があるんだよ!」

俺はなんとか興味がそれないか問いかけてみた。すると魔王はあっさりと俺の問に答える。

「どこって…やっぱ顔面?白磁の様な白い肌、桃色の薄い唇に琥珀のような瞳。何より乙女のような黒く艶やかな髪。全てが俺にピッタリな嫁だ」

「うわああああやめろおおおお!全部コンプレックスなんだよ!」

「そうなのか?いいじゃねえか白磁の様な白いh……」

「耳元で囁くように繰り返すんじゃねえ!しかもいい声で!恥ずかしいと共にムカつくだろうが!」

俺は顔を真っ赤にしてゲシゲシと魔王の腹を蹴る。

「まあまあそんなに怒るなよダーリン」

「誰がダーリンじゃボケェ!離せ!もしくは俺にこんな辱めを受けさせた責任として死ね!」

「そんな怒る事かよ。仕方ねえなぁ。今日はまだ色々と我慢してやるよ」

そういうと俺を押し倒して離さなかった手をどけ、静かにベッド脇の椅子に戻った。そんな魔王を俺は睨みつけながら飛び起きる。
始まりの村でこの容姿を散々いじられてきた俺は先程の魔王の嫌がらせにしか捉えられない褒め言葉に対して完全にキレていた。侮辱され、バカにされた気分だった。

「許さん…お前が例え魔王じゃなくとも絶対に許さん…!」

「はいはい、とりあえずもうお前は嫁に貰うことにしたから。これから俺様と悠々自適に暮らすことだな。安心しろ、外に出す事以外は不自由させねえよ」

「それめちゃくちゃ不自由じゃねーか!人をピー〇姫みたいな扱いすんな!こんなところに長居する気は無い!出て行ってやる!」

俺はそう言い残しベッドから瞬時に出て行き、部屋の扉を開けようとした。

「おい、開けるのやめとけよ」

「うるせえ!お前の指図は受けな……」

と、言ったところで俺の体はぶっ飛んだ。何事!?と思った時には天井に体が叩きつけられ、バウンドする形でまた魔王が隣に座るベッドに逆戻りしていた。

「いっ……てぇ……」

「おかえり」

「何しやがった……」

「いやー、念の為に扉に高圧電流が流れる呪いかけといたんだわ」

通りで身体中痺れている訳だ。とてもじゃないがもう1度ベッドから起きれる気がしない程体が痛む。てかそれ呪いとかじゃなくてただの高圧電流だろ。
そんなツッコミを頭の中でしていると俺の顔を覗き込んできた。

「ま、ここでまた療養するんだなダーリン」

「おま…え…ほんと…許さ……」

そこで俺は意識を手放した。

明日からまたこのクソ魔王と魔王城で生活だなんて…最悪だ……。
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