超美形魔王が勇者の俺に嫁になれとほざいている件

むらびっと

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勇者、まだまだ看病される

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魔王が勇者に惚れるだなんて前代未聞なことがあるのだろうか?それともホントの本当はただからかっているだけなのだろうか?真意は定かでは無い。ただそれでも命が助かっているのは確かだ。まあ、それにしては相変わらず扉に触れると死ぬんじゃないかと思うほど吹っ飛ばされる強さの電流が流れているが。(試すこと3回)
どんな理由であれ生き延びてさえいればいずれあの魔王の息の根を止める日が来るかもしれない。英断ってやつだ。うん、なんか英断なんて言葉使うとなんとなく賢いっぽく自分でも思えるな。
そう考え、とりあえず数日間HPが満タンに回復するまで無駄な抵抗をせず大人しくしていることにした。

「随分大人しくなったな。俺の嫁になる気になったか?」

「んなわけないだろ。出て行けるなら行きたいくらいだ。」

俺はぷいっと顔を背ける。

ふん、今に見てろよ。いつかその首討ち取ってやる。

それにしても最後に扉に触れて感電し、気絶して目覚めてから数日間ずっとベッドの上にいるので段々退屈になってきた。HPはまだ満タンとはいかないが傷だけで言うと見た目では分からないほど回復している。そろそろ筋力を取り戻すために運動したいところだ。俺はそれとなくベッド脇の椅子に座る魔王に聞いてみた。

「なあ、そろそろ部屋の外に少しの間だけでも出してくれよ。暇で仕方ないんだよ。」

「だーめ。お前絶対筋トレ的なことする気だろ?廊下で走り込みとか。まだ体力回復してないうちは寝とけ」

何故バレたし。お前エスパーか。出来れば何時でも襲えるように奇襲の練習もしようと思ってたのに。

はあ、と溜息をつき、俺は起こしていた上半身をベッドに投げ出す。

「じゃあお前は1日中俺の面倒を見てて暇じゃねえのかよ?」

「好きなやつの面倒見て退屈になるやついるか?それとも退屈しのぎに恋人らしいことするか?」

魔王はギシッと音を立て、俺の寝るベッドの上に乗ってくる。

「やめろキモイな!それになんか怖えんだよ!」

「お前が運動したがってたから乗ってやってるんだろうが。いい運動になると思うぞ?」

「何する気だよ!まじでやめろ!大体お前それより他にやることねーのか!」

魔物生み出したり近隣の街とか襲って新規開拓するとか!魔王ならやること色々あるだろ!勇者の俺が言うことじゃ無いけど!

「やる事?めっちゃいっぱいあるぞ。最近だと魔王城の庭で家庭菜園するとかハマってる。有機栽培にこだわったりしてな」

「やることがそれってお前は定年退職したジジイかよ……」

てっきり世界征服の新たな計画を企てでもしているのかと思っていたのに拍子抜けだ。

「お前、実は暇人だったりする……?」

ちょっと哀れな人を見る目で見つめると魔王は至って真剣な顔で語る。

「何言ってんだ、意外と奥が深いんだぞ。堆肥だってそれこそこだわって色んな魔物生み出してその糞とか試して野菜や果物の成長過程を研究中だ」

「そんなどうでもいい事に魔物使ってんじゃねえええ!」

ちょっとこれは勇者としてはいけない事言ってると自覚してもツッコまざるを得なかった。

「どうでも良くない。俺にとっては大事な事だ。それに接ぎ木苗なんかも初めてな。スイカ味のかぼちゃなんかを作れるようになった」

「そんな野菜誰が喜ぶんだよ!」

「魔王城の近くの街でバカ売れしてるぞ。ナウなヤングにめちゃくちゃウケてる。今じゃ魔王城ブランドの野菜を求めて他の街の奴や旅人が訪れる程だ」

想像するとめちゃくちゃ不味そうな組み合わせだがそんなに人気なのか。なんかそこまで聞くと食べてみたい気もする。

「そ、そんなに美味いのか?」

「いや?クソ不味いが?正直なんで売れてんのか俺もよくわからん。若者の味覚は不思議だよな」

「やっぱ不味いんかい!ちょっと期待したのに!」

ああもういいや、と言いながら俺は魔王に背を向ける。そんなくだらない事しかしてないのだからどうやら俺がこの部屋を出る隙は今のところ無さそうだ。

「とにかくお前は結局俺を外には出す気は無いんだな?それなら俺はもっかい寝る」

そう言うと俺は布団に潜った。こんなしょうもない会話してたって時間の無駄だ。早く体力を回復させて魔王退治に努めるとしよう。そう思い眠りにつこうとすると魔王が「なあ」と声をかけて来た。

「なんだよ……もう家庭菜園はいいって」

「ちげぇよ、そういや名前聞いてなかったと思ってな。ずっと勇者って呼ぶのもなんだし名前を教えてくれよ」

「そんなのお前にはどうでもいいだろ。俺は勇者。それだけで十分だ」

ちょっと布団から顔を出して鬱陶しがるように答えてやった。

「そんな素っ気ないこと言うなよ。呼び名は大事だぜ?俺の名前はリュートだ」

「お前、『魔王』以外に呼び名あったのか」

「当然だろ。『魔王』は役職名みたいなもんだからな。それでお前の名前は?教えるまで寝かせる気はねえぞ?」

魔王は俺の体の上に両手両足でまたがる形で逃げ道を塞ぐ。

「ああもう分かったよ!変なことすんな!俺の名前はミオ・フロースド!分かったら寝かせ……」

そう言いかけた瞬間リュート、もとい魔王の顔が急速に近づいてきた。声を出したり避ける間もなく俺の額にリュートの唇がる触れる。軽くチュッと吸ったと思うとすぐに額から唇は離れていく。

「ゆっくりおやすみ。ミオ」

リュートは整った顔立ちを崩し、笑みを零した。儚げでなんとも優雅な笑みを。
それだけ告げるとリュートは部屋を出ていってしまった。

「…………」

え?今のって……。え?もし、もしかして…え?は?なななななんてゆーか……!

「キキキキキキ……!?」

キスか!?そうなのか!?なんで……なんで急に……ええええ!?

俺は多分他のものが見たら「トマトみてーに顔赤いぞー?」というからかいが通用するほど赤くなっている気がした。さっき家庭菜園の話をしただけに。

ま、まさかあのキスってやつが……あの男女間で密かにされるというもの(始まりの村調べ)が童貞、彼女いない歴歳の数の俺にされるだなんて……しかもこんなところで……!

時間差で「うわああああ!」と恥ずかしさで悶えていると急にガチャッと部屋の扉が開き、リュートが顔を出して一言。

「あ、言い忘れてたけど今日は扉に触れたらナメクジが口から永遠に出る呪いをかけておいたからな」

「ハリー○ッターかああああああ!」

俺は全力でツッコムことによって恥ずかしさを紛れさせるのだった。
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