上京して一人暮らし始めたら、毎日違う美少女が泊まりに来るようになった

さばりん

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第一章 出会い編

第二話 隣人

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 翌日の朝、母親が北の大地へ帰るため、最寄りの駅まで見送りに来ていた。

「ちゃんと寝坊しないで、毎日大学にちゃんと行くのよ」
「あぁ」
「自炊するのよ」
「するする」
「スペアキーちゃんと失くさないところに置いておくのよ」
「わかったってば!」

 さすがに色々としつこくなって来たので、話を早めに切り上げることにした。

「ちゃんと大学にも毎日行くし、自炊するし、キーもちゃんとしまうし、夏休みにはちゃんと帰るし。心配ないよ」
 
 俺がそう言うと、母親はため息をついてスーツケースに手を伸ばす。

「じゃあ、私は帰るけど、今日届く荷物ちゃんと整理しておきなさいよ」
「はいよー」
「じゃあ、またね。たまには連絡しなさいよ!」
「わかってるってば!」

 俺は手で追いやる仕草を見せ、母親を行かせようとする。

「あ、そうだ」
「なんだよ……」
 
 まだ何かあるのかと、うんざりしたような態度を取っていると、母親は茶封筒を俺に手渡してきた。

「なにこれ?」
「毎月仕送りは送るけど、もし何かあった時にないと大変だからね。しっかりしまっておきなさい」
 
 茶封筒にはどうやら緊急用のお金が入ってるようだ。手に持った感じ、結構な額が入っている。親として心配してくれているのが十分に伝わった。

「ありがとう」
 
 俺が少し気恥ずかしそうに礼を言うと、今後こそ母親は改札口に向かって歩き出していった。
 
 姿が見えなくなるまで見送った後、俺は受け取った茶封筒をトレーナーのポケットにしまい、アパートへと引き返す。今日は、昨日家電量販店で買いこんだ荷物が届くので、午後は自宅で待機していなくてはならない。俺は帰り道の途中にあるコンビニで昼飯を調達してアパートへと戻った。


 ◇


 アパートの前に到着すると、引っ越し業者の車が止まっていた。引っ越し業者の人は、せっせと荷物を運び込んでいる。どうやらアパートに新しい住人が俺に続いてもう一人引っ越してきたらしい。
 二日連続で引っ越し業者が来るなんて珍しいなと思いつつ、自分の部屋へ戻ろうと階段を上る。すると、奥から2番目のドアから引っ越し業者の人が出てきた。どうやら引っ越してきたのは、俺の隣の部屋の住人のようだ。

 廊下の途中で、大荷物を運び終えた引っ越し業者の人とすれ違い、玄関のドアが空いていたので、通りすがりにちらりと横目で中を覗いてみる。
 
 部屋の中では、引っ越してきた住人と思われる人が荷物を整理している気配があったものの、残念ながら姿は見えなかった。部屋の中には、俺が引っ越してきた時よりも倍以上の段ボールが積まれていた。
 うわぁ……荷物の整理大変そうだなと思いつつ、隣の部屋の前を通り過ぎ、自分の部屋のカギを開けて中へ入った。

 部屋に入り、昼食が入ったコンビニ袋をキッチンに置いてから、改めて自分の部屋を見渡す。
家具などがない殺風景の部屋では、特にすることもなく、ただボーっとしているしかなかった。

 暇つぶしに、フローリングの地面に寝っ転がりながらスマートフォンをいじっていると、隣の部屋からはドスドスと慌ただしい音が聞こえてくる。大きい荷物を動かして運んでいるのが伝わってくる。
 しばらくすると、その音も鳴り止み、トラックのエンジン音が外で大きく響いた。次第にその音が遠くへと消えていく。どうやら、引っ越し業者の人の搬入は終わったみたいだ。アパート全体が、落ち着きを取り戻した。

 その時だ、俺の家のインターホンがピンポーンと鳴る。
 
 荷物を業者が運んで来たのかと思い、ちらりと時計を確認すると、まだ昼前だった。
 
 家電が来る時間にしては早いし、俺に用事がある人などいないため、誰だろう? と疑問に思いつつ、ドアミラーを恐る恐る覗いてみる。すると、大きく見開かれた眼球が目の前に現れた。
 俺は体全身がビクっと飛び上がり、二、三歩後ずさりした。全身に鳥肌が立ち、武者震いをする。

 そして、ドアの向こう側からも、ドスンという音と共に

「痛ったぁ!」

 という、女性の叫び声が聞こえてきた。どうやら、向こうも突然現れた俺の目に驚いたらしく、廊下の手すりに身体をぶつけてしまったらしい。

「ビックリしたぁ」

 俺は思わず独り言でつぶやき、反応がなくなった玄関外にいるであろう人影を、もう一度ドアミラーで確認する。

 すると、そこには尻餅をつきながら、背中を抑えて痛そうにしている一人の女性の姿があった。それを確認した俺は、ドアを開け、顔だけそおっと外に出した。

 尻餅をついていた女性は、俺が顔を覗かせたのを見て、慌ててひょいっと立ち上がり、姿勢を正して一息ついた後、安堵した様子で口を開いた。

「あ、よかったぁ、びっくりしました」

 愛想笑いを浮かべているその女性は、背丈は小さいながらもくりっとした目に、可愛らしい小顔で少し大人びたような雰囲気を醸し出している。髪はショートヘアーの黒髪のボブカット。そして、なんといっても強調しているその大きな胸の膨らみに対して、アンバランスともいえないすらっとした体系をした美人の女性だった。

 急に現れたその女性に、思わず俺は見とれてしまった。

 その女性が、不思議そうにこちらの様子を窺っていることに気づき、俺は咳払いを一つして体制を整え、再びその女性へ顔を向けた。

「あの……、何か俺にご用でしょうか?」

 恐る恐るその女性に尋ねると、女性は、はっ!と、何かを思い出したように、ペコリとお辞儀をしてきた。

「あの、初めまして。私、今日から隣に引っ越してきました。竹田優衣たけだゆいと申します。これつまらないものですが……」

 優衣さん名乗るその女性は、頭を上げると、手に持っていたご挨拶用のお菓子を渡してきた。

「あっ、はい……ありがとうございます」

 俺は、そのお菓子を恐る恐る受け取った。バナナの形をした、東京の有名な銘菓のマークのロゴが入ったお菓子であった。

 東京ではご近所付き合いが減っていると聞いていたが、こういうご近所挨拶をしっかりしてくる人もまだいるんだなと感心していると、何も言わない俺に対して、きょとんとした様子で首を傾げて、優衣さんという女性はこちらを見つめていた。
俺は、慌ててお礼を口にする。

「あ、すいません。お菓子ありがとうございます。えっと、俺も昨日ここに引っ越してきたばかりなので、まだ色々とわからないことだらけですけど……えっと、南大地って言います」
「大地さんですね、その容姿から見ると大学生とかですか??」
「あ、はい。春から大学生です」
「そっかぁー、いいなぁ大学生。私も、もう一年大学生やりたかったなぁ。あ、私春から新社会人なの」
「あ、そうなんですね」

 優衣さんは、俺が年下の男子であることがわかると、初対面にもかかわらず一気にフランクな感じで話しかけてきた。

「いいよ、いいよ、そんなにかしこまんなくて! 私、普段からこんな感じだからさ! 大学生の一人暮らしって色々と大変じゃない?」
「そうっすね、初めての一人暮らしなんで」

 ここは優衣さんのご要望に応じて、俺も少し言葉遣いを崩す。

「あ、そうなんだ! じゃあ、何か困ったこととかあったら、いつでも私に頼ってもいいからね!」

 優衣さんは俺に向かってウインクをしながら、可愛らしく身体を斜めにして身をかがめる。そうすると、必然的に俺の目線はその豊かな胸にいくわけで、気付いた時には……

「はい、その時は是非!!」

 と食い気味に俺は答えていた。
しまった!と、思ったが、優衣さんは特に気にしている様子もなく、先ほど尻餅をついた身体をほぐすように、大きく伸びをしていた。この人、無防備過ぎませんかね……大きな膨らみから、目線が離れなくなってしまいそうになる。

「よし、じゃあ挨拶も済ませたし。私はこれから荷物の整理するから、またね! ってことで、これから色々よろしくね、大地君!」

 優衣さんは手をひらひらと振りながら、自分の部屋へと帰っていった。俺はその姿をボーっと眺めていた。
嵐のように去っていった優衣さんを見送った後、ドアを閉めて受け取った菓子箱を見る。俺はこの時、隣に引っ越してきた年上美人女性に、改めて楽しい新生活が始まりそうな予感がして、胸に期待を膨らませずにはいられなかった。
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