上京して一人暮らし始めたら、毎日違う美少女が泊まりに来るようになった

さばりん

文字の大きさ
18 / 56
第二章 寝泊り開始編

第十八話 運命の席決め

しおりを挟む
 俺たちが向かったのは、新入生歓迎会が行われる駅前近くの大衆居酒屋。
 入り口で靴を脱いで、懐かしい番号札の木の板をはめ込む式のロッカーに靴を入れ、木の板を取りだす。

「こういう居酒屋とか初めて来た」

 俺が物珍しい様子で辺りを見渡していると、綾香が意外そうな顔をする。

「そうなの? みんな来てるもんだと思ってた」
「いや……だって未成年だし、なかなか来ないでしょ?」
「へぇーそういうもんなんだ……」
「綾香は来たことあるの?」
「うん、私は撮影の打ち上げとかでよくスタッフさんとかに連れられて」
「あぁ……なるほど。大人の付き合いってやつか」 
「そうそう」

 そんな会話をしつつ、お店の廊下を進むと、廊下を進んだ左側に、これぞ宴会場といったような、広い座敷席が現れた。そこには、数名の先輩と思われる人たちが既に準備をして待っていた。

 座敷の入り口で一人の先輩が声を掛けてくる。

「はい、ここで新入生のみんなにはくじを引いてもらいます。この書かれた番号の席に座ってくださいね」
「はーい!」
「ぐぬぬぬぬぬっ……」

 詩織が恨めしい視線で健太を睨みつけている。
 一方で、監視が届かない位置に詩織が行く可能性が出た健太は、にたぁっとしてやったり顔で勝ち誇った顔を浮かべていた。

 お互いバチバチと視線を交錯させ、けん制し合いながらくじを引いていく。

「それじゃあ今度は後ろの二人、どうぞ!」

 そのくじ引きが、俺達にも回ってきた。俺は綾香とどちらからでもなく顔を見合わせる。

「……どっちから引く?」
「大地君から引いていいよ」
「わかった」

 綾香に促されて、俺はくじの紙が入った箱を持っている先輩の前に立つ。
 そして、両手を合わせて祈りを捧げる。
 どうか、使がいるテーブルになりますように……!


 ◇

 新入生たちは、引いたくじの番号のテーブルへ散らばって座った。
 俺は他の三人とは別々のテーブルになった。俺が座敷の端の列の真ん中のテーブルで、綾香は俺が座っている席から斜め右前のテーブル。その左隣のテーブルには、ぐぬぬっと悔しそうな表情を浮かべる健太と、勝ち誇ったような表情を浮かべている詩織の姿があり、詩織はにこやかな笑みで俺に手を振っている。神は詩織に味方したようだ。

 そんなことをして先輩たちを待っていると、ようやくガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきて、先輩たちと思われる人達がやってきた。

 同じ私服姿であるにもかかわらず、先輩たちは新入生とは違い、どこか大人びた雰囲気があるから不思議なものだ。これも、大学生特有の成せる技なのだろうか?
 
 俺は次々と入ってくる先輩たちの顔を順に見ていく。すると、宴会場スペースの入り口に三人ほどの女性の先輩たちが現れた。おしゃべりに興じながら入って来たその女性の中に、あの使の先輩はいた。
 
 今日は、黒のシャツに赤のカーディガンを羽織り、紺のジーンズを着こなして、こないだよりも大人びた雰囲気をさらに醸し出していた。俺はその先輩が向かう方向をずっと眺めていた。
 
 そして、彼女は俺のテーブルを通り過ぎる際、一瞬チラっとこちらを見たような気がするが、すぐに視線をおしゃべりしている人の方へと戻し、無情にも俺の座っているテーブルを通り過ぎて行ってしまう。
 そして、その使が向かったのは、綾香が座っているテーブル。

 残念ながら、神は俺にも味方してくれなかったようだ。そう簡単に物事は上手く進まないわな。

 俺よりも近くに使が座った健太は、でへーっと緩みに緩んだ顔で、その使を見つめている。だが、それを見た詩織が、咄嗟に後ろから健太の目元に手を回して視界をさえぎる。

 俺のブロックには、黒ぶち眼鏡を掛けた短髪の細身の男性と、髪をオールバックに固めて、耳にピアスをしたイケメンの先輩が座った。

「こんばんはー」

 イケメンの先輩が俺たちにフランクな挨拶をしてくる。

「今日は参加してくれてありがとう。短い時間だけど雰囲気だけでもつかんでってくれると嬉しいかな」
「マジメか!」

 細身の男性の発言に対して、イケメンの先輩がそうツッコミを入れる。

「うるせぇ!」

 細身の男性は、イケメンの先輩に突っ込まれてニヤニヤとしていたが、一つ咳ばらいをして、パンパンと手を叩きながら注目といって立ちあがる。どうやら細身の男性は、このサークルの代表者らしく、全員に向かって挨拶を始めた。

「えっと、今日は新入生の皆さん集まってくれてありがとうございます。短い時間ですが、雰囲気だけでもつかんでいってください」

 俺たちに先ほど言っていたことを、他の新入生にも言っていた。他の先輩からは、「真面目だぞ~」と、イケメン先輩と同じようなヤジが飛ばされていた。どうやら、そういうキャラの人らしい。

「先輩のみなさんは積極的に、新入生の人に声を掛けてあげてください」

 『はーい』と先輩たちの生返事が聞こえる。

「それじゃあ、みなさんグラス持ってください! グラスに注いでない人は急いで!」

 俺たちは手元に置いてあったピッチャーに入っていたウーロン茶らしきものをグラスに注ぐ。イケメンの男性が、細身の男性に瓶ビールをグラスに注いで渡してあげていた。

「みなさん、準備はいい?」
「ちょっと待って」

 他の机からそんな声が聞こえてくるので、グラスを持ってしばし待つ。
 先ほど待ったがかかった机の方から、「いいよ~」という声が聞こえてきた。

「じゃあ、今日は楽しみましょう、乾杯!」
「かんぱーい!」

 こうして、『FC RED STAR』の新入生歓迎会が幕を開けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?

宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。 栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。 その彼女に脅された。 「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」 今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。 でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる! しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ?? 訳が分からない……。それ、俺困るの?

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話

頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。 綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。 だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。 中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。 とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。 高嶺の花。 そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。 だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。 しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。 それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。 他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。 存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。 両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。 拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。 そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。 それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。 イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。 付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました

ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。 意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。 しかし返ってきたのは―― 「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。 完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。 その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

処理中です...