上京して一人暮らし始めたら、毎日違う美少女が泊まりに来るようになった

さばりん

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第二章 寝泊り開始編

第十九話 新入生歓迎会と先輩の名前

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 乾杯の音頭がとられた直後、俺は机にいたイケメンの先輩や他の新入生たちと乾杯をした。
 周りを見ると、何人かの先輩たちは、立ち上がって隣の机まで乾杯をしに回っている。その波に任せるようにして、机を回ってくる先輩たちにも乾杯を交わす。
 
 ようやくひと段落したところで、グラスに口を付けてウーロン茶飲んだ。ウーロン茶にしては、少し甘いような感じがした。

「ぱぁ、うめぇ!」

 机の向かい側では、ビールを飲んで感嘆の声を上げるイケメンの先輩。
 すると、思い出したようにテーブルのみなを見渡しながら口を開いた。

「あ、自己紹介まだだったね、俺は二年の冨澤慎吾とみさわじんごっす。『慎吾さんって気軽に呼んでくれ』」

 そう言って軽い感じで自己紹介をした冨澤先輩は、グラスを持ちながら細身の先輩へ視線を移す。

「で、こっちがサークルの代表やってる。真面目こと長谷部はせべでーす」
「誰が長谷部だ!」

 細身の先輩は、冨澤先輩に向かって、またツッコミを入れる。
 そして、気を取り直すように一つ咳ばらいをしてから口を開いた。

「えっと、サークルの代表者やってます。太田翔也おおたしょうやです。よろしく」

 口角を上げて作り笑いを浮かべてながら、太田先輩は俺たちに挨拶を交わした。

「よ、よろしくお願いします……」

 俺たち新入生はその先輩たちの高いテンションについていけず、苦笑いを浮かべながら挨拶を返すことしか出来ない。

「何か質問したいこととかある?」

 冨澤先輩が俺たちに聞いてくる。

「はいはい!」

 すると、俺の隣に座っていた爽やかな男子が手を挙げていた。

「お、はい、どうぞ」
「あ、えっと、一年文学部のたちばなっていいます。活動ってどのくらいあるんすか?」
「えっとね、基本活動日は金曜日の夜で、近くの中学校があるんだけど、そこのコートを借りて、いつも活動してる感じかな。年に一回、他のサッカーサークルとのリーグ戦やったりして、優勝したら本家のサッカー部との対戦権がもらえるんだよ」
「え? すごいっすねそれ」
「まあ、うちのサークルはそんなにガチじゃないから、優勝したことないんだけどね」
「なるほど、ありがとうございます」
「いいえー。他に質問ある方ー」

 冨澤先輩尋ねると、また別のところから恐る恐る手が当たる。

「はい、どうぞ!」
「男女比はどれくらいですか?」
「それは、このおじさんの方が知ってるかな」

そう言って、冨澤先輩は太田先輩の方へ顔を向ける。太田先輩は、グラスに注がれていたビールを一口飲んでから話し始めた。

「だいたい比率で言うと男7の女3ってところかな、あっちの方に女性の先輩がいるけど、あんな感じでみんな仲良くワイワイとやってるよ」

 太田先輩はそう言って、使がいる方を向きながら説明してくれる。

「なるほど、ありがとうございます……」

 質問をした新入生は、そこから女子部員の話題に持っていきたかったのだろうが、太田先輩が相手では話をこれ以上広げられないと判断したのか、そこで話を切り上げてしまった。
 しばらくそこからは、テーブルにいる新入生の自己紹介をしたりとかして、場が進んでいく。

 俺も少しずつだが、場の雰囲気に慣れてきた。
 そこで、ふと天使のような女性と綾香がいるテーブルへと目をやる。
 
 すると、やはりそのテーブルには多くの人だかりができており、その中心にいるのは女優井上綾香いのうえあやかだった。中には、違うテーブルから話を聞きに来た先輩もちらほらいる。
 そりゃそうだ、突然何の変哲もないサッカーサークルに、女優井上綾香が現れたんだ。そりゃ、誰もが興味を引かれるだろう。その輪の中で、天使のような女性も井上さんの話に興味深々と言った様子で、半身を乗り出して話を聞いていた。

 そんな姿を、ただぼおっと眺めていると、横から声を掛けられた。

「あのテーブルが気になるのか?」

 声の方を振り向くと、ビールジョッキをあおりながら、冨澤先輩が俺に聞いてきた。

「えっ、あっ……いや、そのぉ……」
「まあ、そりゃあんな美人な人がいっぱいいる机に、女優の井上綾香もいりゃ、目移りするわな」

 冨澤先輩は、あまり興味が無いと言った感じでビールをさらに飲んでいく。

「あの、先輩」
「ん? どした?」

 俺は、意を決して冨澤先輩に聞いてみることにする。

「えっと、あの机にいる赤いカーディガンの女性なんですけど……」

 俺が思い切って冨澤先輩に尋ねると、冨澤先輩は俺の視線を追うようにして、使の先輩の方を向いて確認する。

「あぁ、もしかして愛梨あいり先輩のことか? お前、いい所に目を付けるじゃねーか。愛梨先輩、美人で可愛いよな! 呼んできてやろうか?」
「えっ!? いやぁ、そんな……」

 俺が躊躇ちゅうちょするのをよそに、冨澤先輩はさっさと立ち上がり、愛梨先輩の方へと向かって行ってしまう。
 そして、愛梨さんの肩をトントンと叩き、何か話しながら俺の方を指さすと、天使のような女性の愛梨さんは、俺の方へと向き直った。

 愛梨さんと目が合うと、何かを思い出したのか、パァっと顔を明るくさせてこちらへと向かってきてくれた。そして、愛梨さんは目をキラキラさせて俺に手を振ってくる。

「あぁ、こないだの子だ! 来てくれたんだ!」
「ど、どうも……」

 俺は頭を掻きながら俯きがちに挨拶を交わす。

「え? 何知ってるの?」
「私がチラシ配ったんだよ~」

 冨澤先輩に事の次第を手短に説明して、また俺の方を向いて頬笑みを浮かべる愛梨さん。

「私は中村愛梨なかむらあいりです。三年の社会学部! よろしくね」

 天使のような女性は、美しい笑顔を振りまきながら、丁寧に自己紹介ををしてくれる。

「初めまして、南大地みなみだいちっていいます」

 俺がしどろもどろになりながらなんとか自己紹介を返すと、愛梨さんは感心した様子で顎に手を当てる。

「へぇー南くんっていうんだー」

 愛梨先輩はじぃっと俺の顔を見つめてくる。直視されて恥ずかしくなり、俺はふいっと視線を反らす。

「……よしっ、覚えた!」

 愛梨先輩はにっこりと笑って、そう言って微笑んた。

「これから、よろしくね南くん!」
「はい、よろしくお願いします」

 愛梨先輩は軽く手を振って、踵を返して自分の席へ帰って行く。
 ようやく俺は、胸が締め付けられるような緊張から解放されると、一気にぶわぁと汗が体中から噴き出てくるのを感じた。
 すると、愛梨先輩を見送っていた冨澤先輩が、微笑ましい様子でこちらへと振り返る。

「よかったじゃん話せて」
「はい、よかったっす」

 正直頭が真っ白で何も言えなかったけど、話せただけでも幸せな気持ちでいっぱいだった。
 だが、冨澤先輩はどこか真剣な表情になり、厳かな口調で言ってきた。

「でも、愛梨先輩は気を付けたほうがいいぞ」

 その口調の変わりように、俺も思わず生唾を飲み込んだ。

「ど、どういう意味ですか?」

 俺が尋ねると、冨澤先輩は俺を手招きして、耳元で小さな声で話してくる。

「愛梨先輩って他の人からも人気あるから、うちのサークルの男子も何人もの奴らが告白してきたけど、結局全員撃沈してサークル辞めてったんだ。噂によると、サラリーマンの彼氏がいるとか、他のサークルの男子とラブホに行ってやりまくってるとか、色々妙な噂と謎が多い人だから、あまりおすすめしない。愛梨先輩目当てでこのサークルに入るなら、やめておいた方がいいぞ」

 冨澤先輩は俺にそう忠告してくる。やはり、詩織や春香が言っていたように、愛梨さんには何か裏の表情があるようだ。
 
 そんな忠告を先輩から受けて、俺は再び愛梨さんを見つめる。その可愛らしくて透き通った屈託のない笑顔だけ見れば、そんな雰囲気は微塵も感じられないのだが、それが詩織の言っている騙されているということなのだろうか? 

 そんなことを思いながら、俺は汗をかいて熱くなった身体を冷ますために、自分のグラスに残っていたウーロン茶らしき飲み物を一気に飲み干した。
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