上京して一人暮らし始めたら、毎日違う美少女が泊まりに来るようになった

さばりん

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第二章 寝泊り開始編

第三十一話 財布

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  昨日、布団に入りながらずっと愛梨さんに言われた『特別』という言葉を考えていたのと、久しぶりに運動した疲労が溜まっていたせいで、見事に寝坊した。

「あぁ! もうなんでよりにもよって土曜日に必修授業が入ってるんだよ畜生!!」

  俺は改めて、時間割の不満をぶつくさ言いながら、大学の構内を疾走する。
 何とか授業が行われる教室がある建物内へ入り、階段を駆け上がる。教室がある階まで登り切り、曲がり角を曲がった時だった。

 目の前に人が現れ、俺は避けきれずに衝突した。
 お互いに倒れ込みバックの中身が散乱する。俺は慌ててぶつかった人の方へ頭を下げて謝る。

「ごめんない!」
「いえ、私も不注意で……」

 顔を上げると、そこにいたのは、急いで散乱したバッグに入っていた中身を拾いあげている綾香の姿だった。

 ふとお互いに目が合い、綾香が驚いた表情を浮かべた。

「あれっつ? 大地くん!?」
「おはよう。とりあえず、急ごう! 立てる?」
「うん、ありがと!」

 ひとまず、荷物を全部拾い上げた俺たちは、綾香に手を差し伸べて立たせてあげる。
 そして、辺りに拾い忘れが無いのを確認してから、二人して駆け足で教室へと向かった。


 ◇


 授業開始時刻から二分ほどが経過していたが、先生がまだ到着していなかったので何とか授業に間に合った。

「ふぅ、あっぶねぇ……」
「なんとか間に合ったね」

 そう言って安堵の表情で、健太たちがいる元へと到着した。

「おはよう」
「ごめんね。遅くなっちゃって」
「おうおう、二人して珍しいな遅刻ギリギリとは」
「まあな」
「何? 二人とも遅刻?? ははーん……さては二人何かあったっしょ?」

 詩織がニヤニヤとからかう表情をしながら聞いてきた。

「いや、そんなんじゃなくて、俺が走って階段駆け上がったら、角のところで綾香とぶつかっちゃって」
「そうそう、それでちょうど一緒になってここまで走ってきた来たの」
「なんだ、つまんないの」

 詩織は口を尖らせて期待外れとでもいうような表情をしていた。

「お前は何を期待してたんだよ……」

 俺があきれた表情で聞くと、詩織はニヤリと悪い笑みを浮かべる。

「えっ? それはもちろん……昨日の夜はお楽しみでした……的な!」

 手で口を覆いながら、隠し切れない邪悪な笑みが詩織から零れている。

「へっ!?! いやいや、そういうことはないから!!」

 綾香は顔を真っ赤にしながら、ぶんぶんと体の前で手を振って否定してする。
 そこまで全力で否定されると……脈が無いのが分かっててもちょっとショックだ。

「まあまあ、とりあえず先生入ってきたし早く座りなよ」

 健太がそう言って、促してくれたので、俺たちは健太たちが事前に確保しておいてくれた席に座り、授業を受ける体制を整えた。


 ◇


 授業も無事に受け終えて、綾香は仕事があるということで、午前中の授業を終えて大学を後にした。
 俺たち三人は、午後の授業を受ける前に、昼飯を食堂で取ることにした。
 
 席を確保して、食券を買いに行こうとした時だった。

「あれ? おかしいな……」
「どうした?」
「財布がない」
「家に忘れたんじゃね?」
「いや、ちゃんと持ったはずなんだけど……」

 確かに家を出る前に、財布や定期入れを入れたのを確認したはずなのだが……
 色々と思い返してみると、俺はふと綾香とぶつかった時のことを思いだす。

「もしかしたら綾香と朝ぶつかった時に、向こうに財布が入っちゃったのかも」

 俺は慌ててトークアプリの通話機能を使って綾香に連絡する。
 三コールほど鳴って綾香が出た。

『もしもし』
「あ、綾香?ごめん、あのさバックの中に俺の財布入ってない? ぶつかった時に俺の財布が綾香の方に行っちゃったみたいなんだけど……」
『え!? ホントに? ちょっと待ってね』

 綾香は電話越しにガサゴソとバックの中を漁りだした。
 しばらくして

『あ!』

 っと小さくな声が電話越しに聞こえてきた。

『ごめん、大地くん。黒の長財布だよね?』
「そうそう」
『私のバックに入ってた。どうしよう……私この後すぐに仕事が入ってて、大学に戻る時間なさそうなんだよね』
「そっか……どうしようかな。最悪月曜日に渡してくれればいいけど……」

 俺が申し訳なさそうに言うと、綾香から咄嗟に返事を返す。

『さすがに、財布を月曜まで預かるのはまずい気が…… そうだ! 夜、仕事終わった後マネージャーに車で送ってもらえるから、その時に届けることできるけど、それでもいい?』
「あ、うん! 俺も今日は特に予定なくて家にいるし、それでもいいよ。とりあえず、今は健太に借りてなんとかするわ」
『本当にごめんね』
「いや、仕方ないって。それに俺もちゃんと確認しなかったのが悪いし。後で場所送るからそれでいい?」
『うん、そうしてもらえると助かるかな。ありがとう、ごめんね』
「いえいえ」


 こうして綾香との電話を切り、仕事が終わった後、家に財布と届けてもらうことになった。
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