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18:反論と自白
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数十秒に及ぶ長い沈黙。犯人として名指しされた佐野先輩は、険しい表情で栗栖を睨み付けつつ、静かに口を開いた。
「少し……推理が強引すぎないか? 磁力か何か知らないが、確かにこの扉は鍵をかけることで軽く押しても動かないくらい重い物になっていたみたいだ。だが、これを開ける力があるのが俺だけというのは、少し偏見の入った話じゃないか? 見た目に反して一之瀬にもかなり筋力があるかもしれないし、谷崎も手首の痛みを我慢すれば開けられるかもしれない。そもそもこの仕掛けが存在したからと言って、犯人が本当にこれを利用したかどうかは分からない。他にも何か仕掛けがあり、そちらを使って開かずの間や氷室の部屋に侵入したのかもしれないだろ」
「いえ、その可能性はかなり低いです」
ようやく放たれた言い訳の言葉も、栗栖はすぐさま否定して見せる。
「僕は初日の夜、各部屋の扉に開けば破けるテープを貼りつけておきました。すると二日目。開かずの間に貼り付けて置いたテープは破けた状態になっていた。つまり誰かが開かずの扉を開けたんです。仮に隠し通路のようなものが存在し、犯人がそれを利用して移動していたのなら、わざわざ重い扉を押し開ける必要はないはずです。それとも他にもまだ扉を開ける仕掛けが存在すると主張しますか?」
「……いや、それが事実なら扉の仕掛けは確かに使われたんだろうな。だが俺以外の奴でも開けられた可能性の方は、完全に否定はできないだろう」
栗栖は粛々と首を横に振る。
「そうでもありません。実はこの村に滞在している間暇だったので、少しばかりこの村の住人のことを調べていたんです。その際に皆さんの体力測定の結果とかも入手しまして、どの程度の体力・筋力があるのかは知っているのですよ。そしてここの扉は僕の全力で開かなかった。となれば一之瀬さんは候補から除外されます。谷崎君に関しても、手首を怪我している状態でここの扉を開けられるほど筋力があるとは、正直言えないレベルでしたから」
淡々と栗栖がそう述べる中、彼を見つめる僕らの視線はやや冷たいものになる。犯人候補から外してくれるのは非常に有難いのだが、勝手に個人情報を見られていたというのは流石にいい気分はしない。というかそれって普通に犯罪行為じゃなかろうか?
やや場の空気が変な方向に移りこそするも、栗栖の態度に変化はない。とどめとばかりに、佐野先輩を落としにかかった。
「これらは全て僕の証言をもとにしているため、先輩からすればまだまだ反論の余地はあることでしょう。でも、あなたはそれをしない。これ以上むやみに反論すれば、芳川さんの復讐という大義名分が薄れ、自己保身に走る愚かな犯罪者に変わってしまうから。既にあなたを守る盾は破られたのです。大人しく投降して、僕らをここから出してください。芳川さんの死の真相については、あなたが警察に捕まった後にちゃんと教えますから」
「……そうだな。これ以上の抵抗は、千世への思いを貶める行為になるな」
「少し……推理が強引すぎないか? 磁力か何か知らないが、確かにこの扉は鍵をかけることで軽く押しても動かないくらい重い物になっていたみたいだ。だが、これを開ける力があるのが俺だけというのは、少し偏見の入った話じゃないか? 見た目に反して一之瀬にもかなり筋力があるかもしれないし、谷崎も手首の痛みを我慢すれば開けられるかもしれない。そもそもこの仕掛けが存在したからと言って、犯人が本当にこれを利用したかどうかは分からない。他にも何か仕掛けがあり、そちらを使って開かずの間や氷室の部屋に侵入したのかもしれないだろ」
「いえ、その可能性はかなり低いです」
ようやく放たれた言い訳の言葉も、栗栖はすぐさま否定して見せる。
「僕は初日の夜、各部屋の扉に開けば破けるテープを貼りつけておきました。すると二日目。開かずの間に貼り付けて置いたテープは破けた状態になっていた。つまり誰かが開かずの扉を開けたんです。仮に隠し通路のようなものが存在し、犯人がそれを利用して移動していたのなら、わざわざ重い扉を押し開ける必要はないはずです。それとも他にもまだ扉を開ける仕掛けが存在すると主張しますか?」
「……いや、それが事実なら扉の仕掛けは確かに使われたんだろうな。だが俺以外の奴でも開けられた可能性の方は、完全に否定はできないだろう」
栗栖は粛々と首を横に振る。
「そうでもありません。実はこの村に滞在している間暇だったので、少しばかりこの村の住人のことを調べていたんです。その際に皆さんの体力測定の結果とかも入手しまして、どの程度の体力・筋力があるのかは知っているのですよ。そしてここの扉は僕の全力で開かなかった。となれば一之瀬さんは候補から除外されます。谷崎君に関しても、手首を怪我している状態でここの扉を開けられるほど筋力があるとは、正直言えないレベルでしたから」
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やや場の空気が変な方向に移りこそするも、栗栖の態度に変化はない。とどめとばかりに、佐野先輩を落としにかかった。
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「……そうだな。これ以上の抵抗は、千世への思いを貶める行為になるな」
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