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第2怪:真珠蜘蛛
チーム分け
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佐々木と無駄話を繰り広げているうちに第四の密談が終わってしまい、二宮から招集がかかった。
ホンファも含めた計九名の隊員が集合する。
指揮を執るのは二宮に決まったらしく、一人前に出て今後の動きについて語りだした。
「この数日間、真珠蜘蛛に動きは一切見られていない。内部に設置したモニターや目印にも変化は一切なし。死亡、もしくは仮死状態になっているのは間違いないといえる」
「そんなの漂着したときから分かってたことだろ?」
空気を読まずに刹亜がヤジを飛ばす。
第四の二人から殺気立った視線が飛んできたが、二宮が気にかけることなく「そうだ」と答えたため、文句は生じなかった。
「だが知っての通り、真珠蜘蛛の調査中には奇怪な事故が連続して起きている。真珠蜘蛛がまだ完全に死んでおらず、何らかの方法で妨害をしていたとも考えられた」
「けどもうその疑いは晴れたってか?」
「ああ。何より、特務隊の貴重な人員をいつまでも監視任務に使うわけにもいかない。どこかで撤退の判断は必要だ」
「正直いろいろ言いたいことはあるが、おいといて。結局俺らは何するんだ?」
「爆破だ」
「爆破?」
まじめな声音から飛び出した物騒な単語に驚き、刹亜は思わず復唱する。
二宮は無表情のまま小さく首肯した。
「死んでいる可能性が高いとはいえ、今後蘇る可能性がゼロとは言えない。加えて素材の回収もできないとなれば、完全に体を吹き飛ばし復活の余地をなくすのが最善という判断だ」
「それ、万一にも真珠蜘蛛が死んでなかった場合、爆破の衝撃で起こすことに繋がらないか?」
「その可能性は否定できない。第五部隊が作製した爆弾の威力を信じるほかないな」
「めちゃくちゃ危険じゃねえか……」
ある程度予想はしていたが、かなりリスクの高い任務。
刹亜の渋い声に、二宮以外の第四隊員から侮蔑の視線が注がれる。
場の空気が悪くなったのを察してか、宗吾が明るい声で口をはさんだ。
「二宮さん、僕からも質問よろしいでしょうか?」
「ああ」
「では二点ほど。爆弾を用いて真珠蜘蛛にとどめを刺すとのことですが、具体的に僕らは何をすればよいのでしょうか」
「真珠蜘蛛内部は広大だ。加えて蜘蛛の糸が張り巡らされ移動も困難。そこで三隊に分かれて迅速かつ慎重に爆弾を配置する。万一の襲撃に備え第四の隊員は武装したままで動きたい。お前たち第六部隊には爆弾の運搬を任せる」
「真珠蜘蛛をぶっ飛ばせるほどの爆弾を俺らが運ぶのかよ。こわ」
ぼそりと刹亜が呟くも、全員から黙殺される。
宗吾は「分かりました」と頷いてから二つの目の質問を投げかけた。
「それではもう一点。この任務にホンファさんも参加するのでしょうか?」
宗吾の言葉を受け、全員の視線がホンファに集中する。
高威力の爆弾を取り扱うこともあり、万一裏切られでもすれば死は免れない。ましてホンファは一角鷹の怪獣人間。一角鷹は最速で時速六百キロを超える速度で移動することが確認されており、その怪獣人間であるホンファもおそらく同等かそれ以上のスピードが出せると考えられる。
つまり爆弾が起爆するように仕向けた後、彼女だけは逃げ去ることができるということ。
そんな人物を一緒に連れて行ってよいのか。宗吾は暗にそんな疑念を投げかけていた。
しかし二宮はそれに気づいていないのか、淡々と「同行してもらうつもりだ」と答えた。
「えと、それはやめておいた方がいいんじゃ……?」
第六の斎藤が怯えた様子で肩を震わせながら意見する。
二宮は無表情で「なぜだ?」とすぐさま聞き返した。
「なぜって……彼女は、特務隊の仲間ではないですし……」
「だが中国から日本まで五体満足で来られるほどの実力者だ。万一真珠蜘蛛が生きていたときには欠かせない戦力になる」
「それは、そうかもしれないですけど……」
「何より、彼女には真珠蜘蛛の最期を見届ける権利があるだろう。そのために遠路はるばる日本まで来たのだから」
「エエ。ワタシモ、シンジュグモノサイゴヲミトドケタイデス」
「だそうだ。他に意見のある者はいるか?」
「……」
納得しきれず、不安そうな顔の者が何人かいるが、反対の声は上がらない。代わりに刹亜から、「それで、組み合わせはどうすんだ?」と質問が飛んだ。
既にメンバーの振り分けは決まっていたらしく、二宮は即答した。
「俺とホンファ、斎藤のチーム。
高倉と佐々木、石神のチーム。
大石と伏見、折原のチーム。
それから今回は真珠蜘蛛内部という特殊な環境下での任務となる。危険性は高いが、巨大な貝殻のおかげで外部からの怪獣の襲撃はまずない。そのため無線機の使用許可を得ている。各チーム一台ずつ渡す。何かあればすぐに連絡してくれ」
ホンファと同じチームに振り分けられた斎藤は最後までぶつぶつ何か呟いていたが、それ以外は特に文句も出ず。
二宮の指揮のもと、刹亜らは真珠蜘蛛爆破任務を開始した。
ホンファも含めた計九名の隊員が集合する。
指揮を執るのは二宮に決まったらしく、一人前に出て今後の動きについて語りだした。
「この数日間、真珠蜘蛛に動きは一切見られていない。内部に設置したモニターや目印にも変化は一切なし。死亡、もしくは仮死状態になっているのは間違いないといえる」
「そんなの漂着したときから分かってたことだろ?」
空気を読まずに刹亜がヤジを飛ばす。
第四の二人から殺気立った視線が飛んできたが、二宮が気にかけることなく「そうだ」と答えたため、文句は生じなかった。
「だが知っての通り、真珠蜘蛛の調査中には奇怪な事故が連続して起きている。真珠蜘蛛がまだ完全に死んでおらず、何らかの方法で妨害をしていたとも考えられた」
「けどもうその疑いは晴れたってか?」
「ああ。何より、特務隊の貴重な人員をいつまでも監視任務に使うわけにもいかない。どこかで撤退の判断は必要だ」
「正直いろいろ言いたいことはあるが、おいといて。結局俺らは何するんだ?」
「爆破だ」
「爆破?」
まじめな声音から飛び出した物騒な単語に驚き、刹亜は思わず復唱する。
二宮は無表情のまま小さく首肯した。
「死んでいる可能性が高いとはいえ、今後蘇る可能性がゼロとは言えない。加えて素材の回収もできないとなれば、完全に体を吹き飛ばし復活の余地をなくすのが最善という判断だ」
「それ、万一にも真珠蜘蛛が死んでなかった場合、爆破の衝撃で起こすことに繋がらないか?」
「その可能性は否定できない。第五部隊が作製した爆弾の威力を信じるほかないな」
「めちゃくちゃ危険じゃねえか……」
ある程度予想はしていたが、かなりリスクの高い任務。
刹亜の渋い声に、二宮以外の第四隊員から侮蔑の視線が注がれる。
場の空気が悪くなったのを察してか、宗吾が明るい声で口をはさんだ。
「二宮さん、僕からも質問よろしいでしょうか?」
「ああ」
「では二点ほど。爆弾を用いて真珠蜘蛛にとどめを刺すとのことですが、具体的に僕らは何をすればよいのでしょうか」
「真珠蜘蛛内部は広大だ。加えて蜘蛛の糸が張り巡らされ移動も困難。そこで三隊に分かれて迅速かつ慎重に爆弾を配置する。万一の襲撃に備え第四の隊員は武装したままで動きたい。お前たち第六部隊には爆弾の運搬を任せる」
「真珠蜘蛛をぶっ飛ばせるほどの爆弾を俺らが運ぶのかよ。こわ」
ぼそりと刹亜が呟くも、全員から黙殺される。
宗吾は「分かりました」と頷いてから二つの目の質問を投げかけた。
「それではもう一点。この任務にホンファさんも参加するのでしょうか?」
宗吾の言葉を受け、全員の視線がホンファに集中する。
高威力の爆弾を取り扱うこともあり、万一裏切られでもすれば死は免れない。ましてホンファは一角鷹の怪獣人間。一角鷹は最速で時速六百キロを超える速度で移動することが確認されており、その怪獣人間であるホンファもおそらく同等かそれ以上のスピードが出せると考えられる。
つまり爆弾が起爆するように仕向けた後、彼女だけは逃げ去ることができるということ。
そんな人物を一緒に連れて行ってよいのか。宗吾は暗にそんな疑念を投げかけていた。
しかし二宮はそれに気づいていないのか、淡々と「同行してもらうつもりだ」と答えた。
「えと、それはやめておいた方がいいんじゃ……?」
第六の斎藤が怯えた様子で肩を震わせながら意見する。
二宮は無表情で「なぜだ?」とすぐさま聞き返した。
「なぜって……彼女は、特務隊の仲間ではないですし……」
「だが中国から日本まで五体満足で来られるほどの実力者だ。万一真珠蜘蛛が生きていたときには欠かせない戦力になる」
「それは、そうかもしれないですけど……」
「何より、彼女には真珠蜘蛛の最期を見届ける権利があるだろう。そのために遠路はるばる日本まで来たのだから」
「エエ。ワタシモ、シンジュグモノサイゴヲミトドケタイデス」
「だそうだ。他に意見のある者はいるか?」
「……」
納得しきれず、不安そうな顔の者が何人かいるが、反対の声は上がらない。代わりに刹亜から、「それで、組み合わせはどうすんだ?」と質問が飛んだ。
既にメンバーの振り分けは決まっていたらしく、二宮は即答した。
「俺とホンファ、斎藤のチーム。
高倉と佐々木、石神のチーム。
大石と伏見、折原のチーム。
それから今回は真珠蜘蛛内部という特殊な環境下での任務となる。危険性は高いが、巨大な貝殻のおかげで外部からの怪獣の襲撃はまずない。そのため無線機の使用許可を得ている。各チーム一台ずつ渡す。何かあればすぐに連絡してくれ」
ホンファと同じチームに振り分けられた斎藤は最後までぶつぶつ何か呟いていたが、それ以外は特に文句も出ず。
二宮の指揮のもと、刹亜らは真珠蜘蛛爆破任務を開始した。
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