56 / 98
雷鳴轟く四日目
気づいたら仲良し
しおりを挟む
鬼道院は後悔した。佐久間より降り注ぐ過剰なまでの感謝の言葉。完全に脳のキャパシティーを凌駕し、ただ黙って話を聞き流し続ける案山子と化す。
佐久間に足りないのは辛い、苦しいと思う気持ちよりも相手の心情を慮る観察力なのではないかと思うが、思うだけで告げたりはしない。火に油を注ぐ結果にしかならないだろうから。なので、ただこの無意味な時間が終わるのを無心になって待つばかりで――
「朝からうるさいぞ。何の話をしているのか知らないが、そこまで大きな声を出す必要はないだろ」
シアタールームの方から救世主の如き一言が飛んでくる。
声の主はグレーのシャツに身を包んだ東郷明。
やや鬱々とした雰囲気や猜疑心に満ちた目つきは普段なら見ていて楽しいとは言えないもの。しかし今は、他の何よりも頼もしさに満ち溢れ後光がさしているようにすら見えた。
鬼道院は自分でも驚くような笑顔を浮かべ、東郷のもとに歩み寄った。
「おはようございます東郷さん。実に良いタイミングで現れてくれましたね。これから佐久間さんが――と、どうしましたか? そんなに顔を引き攣らせて。東郷さんらしくありませんね」
「……らしくないのはそっちだろ。なんだその笑顔と声は。一体何を企んでいる」
「何も企んでなどいませんよ。人間だれしも、感情に抑えがきかない時くらいある、というだけの話です」
口ではそう答えつつも、東郷のあからさまに気味悪がっている表情を見て、自然と冷静さが戻ってくる。
軽く深呼吸をして脳に酸素を送り込む。それでようやく停止していた頭が再起動を開始した。
普段の教祖然とした雰囲気に戻っていく鬼道院を見ながら、東郷が「教祖様といえども感情のある普通の人間、か。それとも佐久間が教祖を人まで下したとみるべきか」などと呟いている。
一貫して持たれ続けている行き過ぎた誤解が薄れたようで、内心でほっと息を吐く。藤城がもし生きていてこの現場を目撃したりすれば、逆にやきもきしていただろうが。
鬼道院の笑顔に驚いたのは東郷だけではなかったようで、佐久間も少し呆けた顔をしていた。が、徐々に元に戻っていく鬼道院を見て佐久間の調子も回復したらしい。鬼道院に負けぬ笑顔で東郷に迫った。
「東郷君! 誰にだって感情を抑えきれない時くらいあるものです! なぜ教祖様がこのタイミングで感情を露わにしたのかは私にも分かりませんが、そういう時はあるのです! そしてまた! 先ほどまでの私も同様のテンションだったのです! 何せ教祖様が私の償いのお手伝いをしてくれることを約束してくれたのですから! どれだけ私が深い感謝の気持ちを――」
「うるさい黙れ。で、佐久間の償いってのは何の話なんだ。教祖様は何の手伝いをすると約束した」
佐久間の語りを一刀両断に切り伏せると、東郷は鬼道院に向けて質問してきた。
話足りない様子で口を開けたり閉じたりしている佐久間を横目に、鬼道院は元の落ち着いた声音で言葉を返す。
「佐久間さんは自身の話過ぎる癖を恥じているのです。喜びを共有したいと考えているのに、いつも自身だけが一方的に喋り充足感を得てしまう。この血命館においても彼の悪癖が発揮され、昨日の大広間では多大な迷惑を与えてしまった。そこで私たちに対し償いをしたいと、そう願い出ていたのですよ」
「償い、か。確かにかなりの精神的疲労を与えられているのは事実だからな。それを拒む理由は特にないな。それでどんな風に償ってくれるんだ?」
「どうやら私たち全員を、ここから生きて返してくれるらしいですよ。まだその方法は聞いていませんが」
「方法を聞いていないのにお前はその手伝いを了承したのか? 随分とお優しいんだな教祖様は」
「罪を償おうとしている方に手を差し伸べるのは、当然の行いですからね。それにあれだけ懇願されては、断る方が難しいでしょう」
「押しに弱いのは教祖としてどうなんだ? 相手に媚びず屈さず、常に毅然としてこそ正しく人を導けるんじゃないのか」
「相手の真剣さに応じて対応を変える。私も教祖である以前に人間です。全ての人間を導けるわけもないので、多少の不平等は生じてしまいますよ……と、ここでこんなことを議論しても、何の益もありませんね。ここはまず、佐久間さんの作戦がどんなものか聞くのが、最優先ではないでしょうか?」
「それもそうだな。佐久間、俺たち全員が助かる策ってのは一体何なんだ」
そう言って鬼道院と東郷は佐久間に顔を向ける。
すぐにいつもの滔々とした語りが始まるかと思いきや、なぜか佐久間は目を見開いた状態で固まっている。「どうかしたのか?」と東郷が問いかけると、何度か目をぱちくりさせた後、ようやく口を開いた。
「いえ、どうかしたというわけではないのですが……。ただ鬼道院君と東郷君がこんな軽快に話し合うような仲だとは思っていなかったもので、少々驚いてしまいました。勝手な思い込みですが二人はむしろ相性が悪いのかと……」
東郷はすぐさま頷くと言った。
「別にそれは間違いじゃないな。俺とこいつの相性は最悪だ。できることなら顔も見たくないレベルだな」
鬼道院も続いて頷く。
「そこまで言われると、少し悲しい気持ちになりますね。ですが、相性の悪さは否定し難いところでしょう。教祖というレッテルにこだわり、嫌みの如く『教祖なのに』などと言ってくる相手は、好きになりませんから」
二人の妙に息の合った掛け合いに、佐久間は再び目を見開かせる。
それからしばらくすると、驚きが去ったのか口元に笑みを浮かべて小さく頷きだした。
その佐久間の笑みを見て、二人は一瞬ゾクリと肩を震わせた。今まで浮かべていた演技じみた笑みとは違う、どこか凄みを感じさせる表情。薄く細まった瞳は獲物を狙う鷹の様であり、微かに口角が上げられた口元は悪魔めいた不敵さを醸し出している。
見てはいけないものを見たような気分に陥り、ひどい居心地の悪さを感じる。だが、佐久間が見せた本当の(?)顔はすぐに引っ込み、また胡散臭い演技めいた笑みが浮かび上がった。
今見たものへの衝撃が抜けきっていない鬼道院らに向かい、佐久間は大きく一礼して見せた。
「これはこれは、私としては嬉しい誤算が起こった様です。鬼道院君、申し訳ありませんが、先程のお手伝いの話はなかったことにしてください。これからやる償いは、教祖様を巻き込むほどのものではないように思えてきましたので。うまくいくかは分かりませんが、私なりのやり方で成功するよう努力したいと思います。
と、そこでなのですが! 教祖様の力を借りないにしてもまずは血命館にいる皆様に大広間へ集まってもらう必要があるのです! お二人ともこの後お時間は大丈夫でしょうか? 罪人佐久間喜一郎主宰の『みんな笑顔で生きて帰ろう作戦!』を実行するため、是非ともここは承諾していただきたく思います! 勿論、東郷君は神楽耶さんをお誘いの上参加していただきたい! お二方! ご返事はいかに!」
はて? 今更ではあるが自分と東郷はいつの間にここまで息が合うようになったのか。血命館に来てから特によく話す相手ではあるものの、仲がよくなるようなことはなかったはずなのに。
つい、そんな疑問を覚えてしまうほどのシンクロ率で、鬼道院と東郷は同時に溜息を吐いた。
佐久間に足りないのは辛い、苦しいと思う気持ちよりも相手の心情を慮る観察力なのではないかと思うが、思うだけで告げたりはしない。火に油を注ぐ結果にしかならないだろうから。なので、ただこの無意味な時間が終わるのを無心になって待つばかりで――
「朝からうるさいぞ。何の話をしているのか知らないが、そこまで大きな声を出す必要はないだろ」
シアタールームの方から救世主の如き一言が飛んでくる。
声の主はグレーのシャツに身を包んだ東郷明。
やや鬱々とした雰囲気や猜疑心に満ちた目つきは普段なら見ていて楽しいとは言えないもの。しかし今は、他の何よりも頼もしさに満ち溢れ後光がさしているようにすら見えた。
鬼道院は自分でも驚くような笑顔を浮かべ、東郷のもとに歩み寄った。
「おはようございます東郷さん。実に良いタイミングで現れてくれましたね。これから佐久間さんが――と、どうしましたか? そんなに顔を引き攣らせて。東郷さんらしくありませんね」
「……らしくないのはそっちだろ。なんだその笑顔と声は。一体何を企んでいる」
「何も企んでなどいませんよ。人間だれしも、感情に抑えがきかない時くらいある、というだけの話です」
口ではそう答えつつも、東郷のあからさまに気味悪がっている表情を見て、自然と冷静さが戻ってくる。
軽く深呼吸をして脳に酸素を送り込む。それでようやく停止していた頭が再起動を開始した。
普段の教祖然とした雰囲気に戻っていく鬼道院を見ながら、東郷が「教祖様といえども感情のある普通の人間、か。それとも佐久間が教祖を人まで下したとみるべきか」などと呟いている。
一貫して持たれ続けている行き過ぎた誤解が薄れたようで、内心でほっと息を吐く。藤城がもし生きていてこの現場を目撃したりすれば、逆にやきもきしていただろうが。
鬼道院の笑顔に驚いたのは東郷だけではなかったようで、佐久間も少し呆けた顔をしていた。が、徐々に元に戻っていく鬼道院を見て佐久間の調子も回復したらしい。鬼道院に負けぬ笑顔で東郷に迫った。
「東郷君! 誰にだって感情を抑えきれない時くらいあるものです! なぜ教祖様がこのタイミングで感情を露わにしたのかは私にも分かりませんが、そういう時はあるのです! そしてまた! 先ほどまでの私も同様のテンションだったのです! 何せ教祖様が私の償いのお手伝いをしてくれることを約束してくれたのですから! どれだけ私が深い感謝の気持ちを――」
「うるさい黙れ。で、佐久間の償いってのは何の話なんだ。教祖様は何の手伝いをすると約束した」
佐久間の語りを一刀両断に切り伏せると、東郷は鬼道院に向けて質問してきた。
話足りない様子で口を開けたり閉じたりしている佐久間を横目に、鬼道院は元の落ち着いた声音で言葉を返す。
「佐久間さんは自身の話過ぎる癖を恥じているのです。喜びを共有したいと考えているのに、いつも自身だけが一方的に喋り充足感を得てしまう。この血命館においても彼の悪癖が発揮され、昨日の大広間では多大な迷惑を与えてしまった。そこで私たちに対し償いをしたいと、そう願い出ていたのですよ」
「償い、か。確かにかなりの精神的疲労を与えられているのは事実だからな。それを拒む理由は特にないな。それでどんな風に償ってくれるんだ?」
「どうやら私たち全員を、ここから生きて返してくれるらしいですよ。まだその方法は聞いていませんが」
「方法を聞いていないのにお前はその手伝いを了承したのか? 随分とお優しいんだな教祖様は」
「罪を償おうとしている方に手を差し伸べるのは、当然の行いですからね。それにあれだけ懇願されては、断る方が難しいでしょう」
「押しに弱いのは教祖としてどうなんだ? 相手に媚びず屈さず、常に毅然としてこそ正しく人を導けるんじゃないのか」
「相手の真剣さに応じて対応を変える。私も教祖である以前に人間です。全ての人間を導けるわけもないので、多少の不平等は生じてしまいますよ……と、ここでこんなことを議論しても、何の益もありませんね。ここはまず、佐久間さんの作戦がどんなものか聞くのが、最優先ではないでしょうか?」
「それもそうだな。佐久間、俺たち全員が助かる策ってのは一体何なんだ」
そう言って鬼道院と東郷は佐久間に顔を向ける。
すぐにいつもの滔々とした語りが始まるかと思いきや、なぜか佐久間は目を見開いた状態で固まっている。「どうかしたのか?」と東郷が問いかけると、何度か目をぱちくりさせた後、ようやく口を開いた。
「いえ、どうかしたというわけではないのですが……。ただ鬼道院君と東郷君がこんな軽快に話し合うような仲だとは思っていなかったもので、少々驚いてしまいました。勝手な思い込みですが二人はむしろ相性が悪いのかと……」
東郷はすぐさま頷くと言った。
「別にそれは間違いじゃないな。俺とこいつの相性は最悪だ。できることなら顔も見たくないレベルだな」
鬼道院も続いて頷く。
「そこまで言われると、少し悲しい気持ちになりますね。ですが、相性の悪さは否定し難いところでしょう。教祖というレッテルにこだわり、嫌みの如く『教祖なのに』などと言ってくる相手は、好きになりませんから」
二人の妙に息の合った掛け合いに、佐久間は再び目を見開かせる。
それからしばらくすると、驚きが去ったのか口元に笑みを浮かべて小さく頷きだした。
その佐久間の笑みを見て、二人は一瞬ゾクリと肩を震わせた。今まで浮かべていた演技じみた笑みとは違う、どこか凄みを感じさせる表情。薄く細まった瞳は獲物を狙う鷹の様であり、微かに口角が上げられた口元は悪魔めいた不敵さを醸し出している。
見てはいけないものを見たような気分に陥り、ひどい居心地の悪さを感じる。だが、佐久間が見せた本当の(?)顔はすぐに引っ込み、また胡散臭い演技めいた笑みが浮かび上がった。
今見たものへの衝撃が抜けきっていない鬼道院らに向かい、佐久間は大きく一礼して見せた。
「これはこれは、私としては嬉しい誤算が起こった様です。鬼道院君、申し訳ありませんが、先程のお手伝いの話はなかったことにしてください。これからやる償いは、教祖様を巻き込むほどのものではないように思えてきましたので。うまくいくかは分かりませんが、私なりのやり方で成功するよう努力したいと思います。
と、そこでなのですが! 教祖様の力を借りないにしてもまずは血命館にいる皆様に大広間へ集まってもらう必要があるのです! お二人ともこの後お時間は大丈夫でしょうか? 罪人佐久間喜一郎主宰の『みんな笑顔で生きて帰ろう作戦!』を実行するため、是非ともここは承諾していただきたく思います! 勿論、東郷君は神楽耶さんをお誘いの上参加していただきたい! お二方! ご返事はいかに!」
はて? 今更ではあるが自分と東郷はいつの間にここまで息が合うようになったのか。血命館に来てから特によく話す相手ではあるものの、仲がよくなるようなことはなかったはずなのに。
つい、そんな疑問を覚えてしまうほどのシンクロ率で、鬼道院と東郷は同時に溜息を吐いた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる