私の使い魔がたわしだった件

雷庵

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十五話 よう、大出世じゃねぇか

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 呼び出されたアリスとたわしが学園長室の扉をノックすると

「はいりなさい」

「失礼します、あのお呼びでしょうか……」

 アリスは重い足取りで学園長室へと足を踏み入れる。

「アリス君、別に怒られるというわけではないからそんなに緊張しないでくれたまえ。早速本題なのだが、君とたわし君の能力の高さを鑑みるに、君たちはこの学園で学習するより、もっと高位な魔法使いの元につき個人指導してもらったほうが良いのではないか? と私は考えている」

 突然の申し出にアリスは困惑した。しかしたわしは怒り心頭の様子だ。

「まってくれよ! 俺の能力が高いのは認めるけどアリスちゃんは基本を学ぶべきなんじゃねーのかよ!」

「それはそうなのだが、他の生徒への影響や学習要領の効率化を考えれば君たちは集団学習で学ぶより個人指導で知識と見識を広めたほうが良いのではないだろうかと、私は考えているのだ。それに個人指導ともなれば学費もかからない。君たち程の魔力の高さがあれば今すぐにでも城や魔術師ギルド、さらには王立魔法研究院からもスカウトがくるだろう。そうなれば私が知る限り最年少で研究員になる事になるだろう。これは歴史的快挙といっても過言ではない」

 アリスは頭を抱える、自分が理解をできる範疇を超えているのだ。

「とはいえ、アリス君一人で決められる問題でもなかろう……なのでご両親さんとアリス君とたわし君の四人で、進路について話し合いたいと思うのだが、ご両親さんに話を伝えてもらえないだろうか?」

「おう、それなら納得だな! アリスちゃん、この際だから基本を学んだら俺と冒険者でもやるかい?」

 たわしはニヤリとしてアリスの頭の上で言葉を紡ぎ続ける。

「冒険者ってのは色々あってな、一般的には何でも屋なんて呼ばれているがフリーランスの戦士でもある。人々を助けてダイレクトに感謝されたいなら冒険者が一番いいぜ? 安定した職業じゃねーが組織にいるといろいろメンドクセーんだ。ましてやアリスちゃんはまだ子供だしよ? 俺としては冒険者をお勧めするぜ?」

 アリスは自分が冒険者になるなどと考えた事がなかった。魔法学院にきたのも将来の為ではない、ただの憧れからなのである。しかし今のクラスメイト達と離れ離れになるのも、寂しさが心を襲ってくるのだ。

「学園長、あれは私の魔力じゃなくて、たわしの魔力なので……今の私の知識や実力で学園を離れてっていうのは不安です……」

「ほっほっほ、まぁよい。一度ご両親さんともお話をしてみたいから、ご両親さんの都合を聞いてきなさい。私もべつにアリス君を学園から追い出したいわけじゃなく、君の未来を考えての進言なのだ。ともあれ、今日はもう授業に戻ってよいぞ」

 アリスとたわしは学園長に一礼すると学園長室を後にする。廊下を歩くアリスの頭の上で寝転がるたわしはアリスに話しかける。

「なぁアリスちゃん、ごめんな……俺は良かれと思ってにぎやかにしてみたり、少し魔力の放出を多めにだしたりしてみたが、まさかこんな事になるとはおもわなかったんだぜ……」

「あら、たわしがそんなにしおらしくなるなんて、雨でも降るんじゃ?」

「おいおーい、さすがの俺も悪いなって思うことはあるぜ? ほんとうにごめんな?」

「別に気にしてないし、むしろたわしで良かったって思う部分もあるから気にしないでいいよ」

「ほ、本当か? 俺は今までどおりでいいのかい?」

「じゃないとたわしが我慢しすぎてダメになっちゃうでしょ? まぁあんたは私の心の友として呼ばれたなら少しは私も我慢するから」

「おっしゃー! しおらしくしてみるもんだぜ!! やっぱアリスちゃんは最高だ」

「あんたねぇ……まぁそれでこそたわしって感じだけど。でもさっき学園長室で冒険者について話してたけど、たわしは冒険者に詳しいの?」

「まぁ、ちょっと、な? それよりほら教室戻らないとだろ? 先生と皆がまってるぜ?」

 言い淀むたわしに違和感を覚えるが、アリスはあまり気にしないことにした。

「うん、そうだね。早くいかなきゃ」

 アリスとたわしは急ぎ足で教室へと戻っていく。
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