17 / 20
朝
十六話 よう、進路相談第一弾だぜ
しおりを挟む
その日の授業を終え家に戻ったアリス。アリスがキッチンに行くと母のキャロットがテーブルに座って編み物をしている。
「おかえりアリス、あとたわし様。今日の授業はどうだったの?」
編み物に夢中になりつつもアリスに優しい声をかける。この編み物もアリスの学園の教育費の足しになっているとアリスは理解していた。アリスの気持ちの中に[高位の魔法使いの弟子になれば学費がいらない]という学園長の言葉が過る。キャロットはアリスの様子がおかしい事を不審に思い編み物の手を止めアリスを見る。いつものアリスと違って元気がないように見える。
「アリス、なにかあったの? アリスがそんな思い悩んだような顔をするなんて珍しい事よ?」
「学園長が学校でてってもいいぜ! だってよ」
「ちょっと! たわし!? 誤解させるような言い方しないで!?」
キャロットの目は点になる。
「一体なのがあったの……?」
アリスは今日あった出来事をキャロットに伝える。キャロットは編み物をテーブルに置くと眉間に皺をよせテーブルで頬杖をつく。
「たわし様が本当に凄いのはわかったわ、でも難しい問題ね。私としてはちゃんと魔法学院を卒業したほうがいいと思うの……でももしもよ? 何かの弾みで王宮勤めになったとしたら、それはそれで凄い事なのも間違いないわ」
「へへーん、さすが姉さん! 話が早い! 俺とアリスちゃんの二人が合わされば無敵なんだぜ?」
たわしは上機嫌でテーブルの上でクルクルと踊るように回りだす。しかしキャロットはそれを握りしめ持ち上げ、たわしと目を合わせる。
「でもね、あなた達が本当にそんな力があるのなら、間違いなく戦争に参加させられたり、研究材料として使われたりすると思うの。たわし様は歴戦錬磨の猛者だろうから心配してないけど、アリスに人殺しや酷い扱いをされてほしくないの」
「ママ……」
「とはいえ……アリスとたわし様、二人の進路なの。私には魔法使いと使い魔の関係というのがどういうものかわからないけど、話から察するに軽いものじゃないっていうのはわかる。だから……アリスには危ない事をしてほしくないけど、二人で進路を決めたほうがいいわね」
「さすが姉さん! 話が早い!」
キャロットはたわしをテーブルに戻すと、たわしはアリスの頭の上に飛び乗る。流石に慣れたのかアリスも表情を変える事はなくなった。キャロットは人差し指をアリスとたわしに向けると
「あなた達がどういう道に進もうとかまわない、けど絶対に人の役に立つ為にその力を振るいなさい。いいわね?」
人の役に立つ……アリスは神妙な表情で考え込む。まだ学校で習う魔法で人の役に立つというのが難しいのもある実情があった。
「極端に言えば魔物や怪物をやっつけるのも人に感謝される仕事だな! そんでお金がもらえるんだから、冒険者! 冒険者がいいぞ!」
「あんたねぇ、なんでそんなに冒険者を勧めるの? そりゃたしかに? 英雄と呼ばれた冒険者もいたし、そういうのは憧れもするけど……でも冒険者は怖いかな」
「ノンノン、いいかい子猫ちゃん? 冒険者になれば各地を回って、毎日が冒険なんだよ! というか俺も冒険したいぜ!」
「あんたねぇ……たわしはそれでいいんだろうけど、私の気持ちは置いてけぼりにしないでほしいんだけど」
「俺も剣と鎧を付けて冒険したいんだよぉぉ!! たのむよぉ、アリスちゃぁん!!」
たわしが装備できる剣と鎧を想像したキャロットとアリスはつい吹き出し笑い出してしまう。よもやその事を笑われてるとつゆ知らず、いつものノリがウケたのだろうと思いたわしも笑い転げるのであった。
「ふふ、まぁ冒険者も悪くはないわね。安定はしないだろうけれど、今も昔も若い子達に人気の職業だものね。私もパパと知り合う前は冒険者になりたいって思ってたものよ」
「え、ママが!?」
「こう見えても少しは槍を扱えるのよ? お父さん、アリスのおじいちゃんなんだけど、昔はお城の兵士だったの。だから私がお願いして教えてもらった事があってね……まぁ、冒険者になりたいっていったら凄い怒られたけどね。あんなならず者みたいな職業につくんじゃない! って。お堅いお父さんだったのよ」
「じゃぁ今でも練習とかやってるの?」
「まさか、もうしてないわよ。アリスやパパのごはん作ったり、編み物したり忙しいし、武器に頼らなくても生きていけるもの。それより、アリスの進路についてパパにも話は私からしておくから。あと学園長さんにも私から連絡するから、アリスはいつも通りちゃんと魔法学園に通う……って事でやってもらえないかしら?」
キャロットはアリスに微笑みを浮かべる、アリスもそれにこたえて軽く笑みを浮かべ頷く。それを見るとキャロットは立ち上がりアリスの頭を撫でるとキッチンを後にする。
「うう、家族っていいなぁ! うえーん!」
すすり泣く声が聞こえてきたと思った矢先たわし様が号泣していた。
「ど、どうしたのたわし!?」
「だってよぉ、俺家族なんていないからこういう温かい空気ってヤツに弱いんだよ……俺も微笑まれてナデナデされたいぜ……」
アリスはついほほえましく思えてしまった。傍若無人のようなたわしであってもそういう側面があるのか……と思うとたわしのさみしがり屋具合が妙に可愛く思えていた。涙を流すたわしに微笑みながら頭を撫でる。
「これで満足できる?」
たわしは感極まりアリスの指に抱き着き号泣する。アリスの指は涙と鼻水と涎でベトベトになっていた。汚い……良かれと思ってしてみたが、やめとけばよかった……アリスは微笑みを歪ませながらたわしが落ち着くまで我慢するのであった。
「おかえりアリス、あとたわし様。今日の授業はどうだったの?」
編み物に夢中になりつつもアリスに優しい声をかける。この編み物もアリスの学園の教育費の足しになっているとアリスは理解していた。アリスの気持ちの中に[高位の魔法使いの弟子になれば学費がいらない]という学園長の言葉が過る。キャロットはアリスの様子がおかしい事を不審に思い編み物の手を止めアリスを見る。いつものアリスと違って元気がないように見える。
「アリス、なにかあったの? アリスがそんな思い悩んだような顔をするなんて珍しい事よ?」
「学園長が学校でてってもいいぜ! だってよ」
「ちょっと! たわし!? 誤解させるような言い方しないで!?」
キャロットの目は点になる。
「一体なのがあったの……?」
アリスは今日あった出来事をキャロットに伝える。キャロットは編み物をテーブルに置くと眉間に皺をよせテーブルで頬杖をつく。
「たわし様が本当に凄いのはわかったわ、でも難しい問題ね。私としてはちゃんと魔法学院を卒業したほうがいいと思うの……でももしもよ? 何かの弾みで王宮勤めになったとしたら、それはそれで凄い事なのも間違いないわ」
「へへーん、さすが姉さん! 話が早い! 俺とアリスちゃんの二人が合わされば無敵なんだぜ?」
たわしは上機嫌でテーブルの上でクルクルと踊るように回りだす。しかしキャロットはそれを握りしめ持ち上げ、たわしと目を合わせる。
「でもね、あなた達が本当にそんな力があるのなら、間違いなく戦争に参加させられたり、研究材料として使われたりすると思うの。たわし様は歴戦錬磨の猛者だろうから心配してないけど、アリスに人殺しや酷い扱いをされてほしくないの」
「ママ……」
「とはいえ……アリスとたわし様、二人の進路なの。私には魔法使いと使い魔の関係というのがどういうものかわからないけど、話から察するに軽いものじゃないっていうのはわかる。だから……アリスには危ない事をしてほしくないけど、二人で進路を決めたほうがいいわね」
「さすが姉さん! 話が早い!」
キャロットはたわしをテーブルに戻すと、たわしはアリスの頭の上に飛び乗る。流石に慣れたのかアリスも表情を変える事はなくなった。キャロットは人差し指をアリスとたわしに向けると
「あなた達がどういう道に進もうとかまわない、けど絶対に人の役に立つ為にその力を振るいなさい。いいわね?」
人の役に立つ……アリスは神妙な表情で考え込む。まだ学校で習う魔法で人の役に立つというのが難しいのもある実情があった。
「極端に言えば魔物や怪物をやっつけるのも人に感謝される仕事だな! そんでお金がもらえるんだから、冒険者! 冒険者がいいぞ!」
「あんたねぇ、なんでそんなに冒険者を勧めるの? そりゃたしかに? 英雄と呼ばれた冒険者もいたし、そういうのは憧れもするけど……でも冒険者は怖いかな」
「ノンノン、いいかい子猫ちゃん? 冒険者になれば各地を回って、毎日が冒険なんだよ! というか俺も冒険したいぜ!」
「あんたねぇ……たわしはそれでいいんだろうけど、私の気持ちは置いてけぼりにしないでほしいんだけど」
「俺も剣と鎧を付けて冒険したいんだよぉぉ!! たのむよぉ、アリスちゃぁん!!」
たわしが装備できる剣と鎧を想像したキャロットとアリスはつい吹き出し笑い出してしまう。よもやその事を笑われてるとつゆ知らず、いつものノリがウケたのだろうと思いたわしも笑い転げるのであった。
「ふふ、まぁ冒険者も悪くはないわね。安定はしないだろうけれど、今も昔も若い子達に人気の職業だものね。私もパパと知り合う前は冒険者になりたいって思ってたものよ」
「え、ママが!?」
「こう見えても少しは槍を扱えるのよ? お父さん、アリスのおじいちゃんなんだけど、昔はお城の兵士だったの。だから私がお願いして教えてもらった事があってね……まぁ、冒険者になりたいっていったら凄い怒られたけどね。あんなならず者みたいな職業につくんじゃない! って。お堅いお父さんだったのよ」
「じゃぁ今でも練習とかやってるの?」
「まさか、もうしてないわよ。アリスやパパのごはん作ったり、編み物したり忙しいし、武器に頼らなくても生きていけるもの。それより、アリスの進路についてパパにも話は私からしておくから。あと学園長さんにも私から連絡するから、アリスはいつも通りちゃんと魔法学園に通う……って事でやってもらえないかしら?」
キャロットはアリスに微笑みを浮かべる、アリスもそれにこたえて軽く笑みを浮かべ頷く。それを見るとキャロットは立ち上がりアリスの頭を撫でるとキッチンを後にする。
「うう、家族っていいなぁ! うえーん!」
すすり泣く声が聞こえてきたと思った矢先たわし様が号泣していた。
「ど、どうしたのたわし!?」
「だってよぉ、俺家族なんていないからこういう温かい空気ってヤツに弱いんだよ……俺も微笑まれてナデナデされたいぜ……」
アリスはついほほえましく思えてしまった。傍若無人のようなたわしであってもそういう側面があるのか……と思うとたわしのさみしがり屋具合が妙に可愛く思えていた。涙を流すたわしに微笑みながら頭を撫でる。
「これで満足できる?」
たわしは感極まりアリスの指に抱き着き号泣する。アリスの指は涙と鼻水と涎でベトベトになっていた。汚い……良かれと思ってしてみたが、やめとけばよかった……アリスは微笑みを歪ませながらたわしが落ち着くまで我慢するのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる