怒れる女神に召喚された神子は人を避けながら各地を巡ります

しらすどん

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森の中で野営をしながら3日間過ごした。途中で見つけた川にそいながら下流に向けて歩いた3日間だった。食料は取れた野草と干し肉を入れた麦粥や、草を編んで作った籠のようなものを川にしかけ取れた魚を食べたりした。栗っぽい木の実やクランベリーによく似た果物が生えていたので、自然の中をさまよっているとは思わないほどの食生活の豊かさだった。


身の回りの清拭はというと、この世界は魔法なんてものがあるようで「洗浄クリーン」の魔法を自分自身や服、タオルにかけた。本来ならなんとも発音しがたい呪文の詠唱が必要みたいだけど、そこはすぐ使えるように女神様が配慮してくださったらしい。魔法が使いたい時に視界の端にメニュー画面のようなものが現れ、使える魔法のリストが表示される形式だった。リストの中から意思で魔法を選択したら使えた。少し自分のMPが減ったが、自然回復ですぐ回復するくらいの微々たるもののようだ。


これはいい。洗濯機要らず。この世界の人たちみんなこんなことが出来るんなら、科学なんかは発展してなさそうだね。なんて思っていたら、洗浄の魔法を始めとした生活魔法が使える人は多くなく、食いっぱぐれない仕事として成り立っているんだそうだ。魔法を鑑定したら解説があった。


路銀に困ることがあれば採取したものを売る他に、生活魔法という手もあるんだなぁ。頭の片隅に入れとこう。


歩き通した3日目、その日1日は徐々に野草が取れなくなり、木々の密度が疎らになっていった。やはり自分がおりたったのは森のなかでもだいぶ奥のようだ。森の終わりが目に入る。


森の終わり手前で止まり様子を伺う。均された土の道があり、ちょうど荷馬車が通るところだった。護衛と思われる屈強な男が荷馬車の窓と、後方の扉の所に張り付いている。現代ではまずお目にかかれない長剣を腰に携えていた。


自分はこの3日間特に動物に襲われたりすることは無かったが、護衛がいるということは野生動物なんかが出るのか?それとも野党とか。そんなことを考えているうちに、荷馬車は通り過ぎて行った。


他に歩行者などがないことを確認し、道に出る。さて、右と左どちらに進むか選択肢がある訳だが。荷馬車がいった方向に目をやると、石造りの大きな壁が遠くの方に見える。街だ。


遠目からでも鑑定出来るようで、辺境伯領ヴァインビッヒという名前の街のようだ。ちょうど保存食が尽きかけている事だし、街によることにする。


街にはいるためには通行証が必要なようだが、入る際に通行料銀貨2枚もしくはそれに代わる価値のあるものを担保として預けると、後から通行証を発行した時に返還されるようだ。


お金は無一文なので、価値のあるもの…途中拾った綺麗な赤い石でも渡そうかな。この赤い石は魔石らしく、途中で亡くなっていた角の立派な鹿の死骸から発見したものだ。この鹿はトールディアーという魔物に分類される鹿らしく、角は雷を帯びて危険らしい。


私が見かけた死骸は綺麗に角が取られていたので、魔物を狩る人間の仕業と想像される。魔石を取り損ねていたのは角が元々目的だったのか、なにか他に気を取られていたか時間がなかったのか…。現状では考えても分からないので保留で。放置された獲物はルール上別の人間が採取しても良いようなので遠慮なく魔石は頂いた。


通行料第1候補は魔石、駄目なら採取物。全部だめだったらまたその時考えよう。私は街に向けて歩き出した。






◇◇ ◇◇ ◇◇







大きな門が見えてきた。外壁の傍にはテントのようなボロボロの家屋が広がり、数十人の薄汚れた人間が覇気のない顔をして生活しているようだ。この街の治安が不安になってきた。


怪しくない程度に周囲を見渡しながら門のそばに立っている兵士に近寄る。街に入るために6つの集団が検問をうけているようだった。先程目の前を通り過ぎていった荷馬車は前から2番目だ。


最後尾に並び、自分の番が来るのを待った。
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