怒れる女神に召喚された神子は人を避けながら各地を巡ります

しらすどん

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普通に入ることが出来た。


魔石を担保にして通行料代わりにするのは、冒険者と呼ばれる人間の間では割と普通らしい。ただ通行料より価値の高い魔石であったため、兵士はおっかなびっくり魔石を触っていた。


質の良いものであると貴族が宝飾品や魔道具に使用するために高額で買い取るとのこと。良い情報頂きました。


魔石の鑑定中に、兵士に街の周りのテントについて聞いてみた。なんでもこの辺境伯領が接している隣国で紛争があったとの事。詳しい事はお隣の国の事のため分からないが、家屋を失った村人達が安全を求めて流れ着いていたようだ。なんだかきな臭い。


親切な兵士に礼を言って、街の中に入る。


街の中は活気に溢れていた。石畳の敷かれた大通りに、石造りの無骨な家々が並ぶ。道端には出店が並び、店主が声を上げながら客引きをしている。あちこちから空腹を誘ういい匂いがする。


中世ヨーロッパ程度の生活様式に、所々魔法や魔石を用いた道具が使用されているようだ。屋台の串焼き屋で使われているのはコンロのような魔道具らしい。鑑定してみると、火の魔石を使用した簡易コンロ、と表示された。製作者は辺境伯当主の三男、エドガー・フォン・ヴァインビッヒ。名前をさらに鑑定すると変わり者の魔道具研究者で、この街はその恩恵を大きく受けているらしい。


研究のためにこの街の冒険者ギルドでは魔石の買取が常時高価格でされているとの事。領主の息子様々だ。


串焼きにされているのは家畜化された牛型の魔物、テルンヴァッカ。テイマーという職業が畜産では重宝されているとのこと。これも全部鑑定情報。



(さて、確か通行証代わりにもなるギルドカードは冒険者ギルドで発行されてるんだったか)



街の兵士にギルドの場所を聞いておいたので、目印となる看板を頼りに歩みを進める。ドラゴンに交差した剣の看板。あった。


冒険者ギルドの建物は立派な3階建ての石造りの建物だった。屈強な男たちが出入りする扉は大きく両開きになっており、開いた拍子に見えた中は木造のカウンターに女性の姿が見えた。


荒くれ者が集いそうな所なのに女性?と思いつつも、扉を開けて中に入る。途端こちらにいくつも視線が飛んできた。職場の新人が言っていた新入りへのお決まりイベントってやつだろうか。


気にせず空いているカウンターに進む。受付の女の子がこちらに気づいてにっこりと笑いかけてくれた。



「こんにちは!ご依頼でしょうか?」



一瞬動きが止まりかけた。どう見ても女の子に見える可愛らしい子の声がめちゃくちゃ低かった。なるほど男の娘。なんとか微笑み返し買取希望であることを告げる。



「それと、ギルドカードの発行もお願いします」



ついでに発行も希望であることを告げる。言った途端周囲からの視線がさらに強くなったが、気にせず目の前の受付の子に向けてにっこり笑みを向ける。男の娘自体も驚いた表情で私のことをまじまじと見つめていたが、ハッとしたかと思うと1枚の紙と羽根ペンを取り出した。



「ギルドカード発行にはこちらの用紙に記入をお願いします!」



手渡された用紙を見ると、名前や年齢、出身地、得意な得物や使える魔法などの項目があった。こちらの文字は読めるし書けるように女神様がしてくれていたので、問題なく記入していく。


名前は名字は書かず、出身地は始めに降り立った森の中の名前もない村ということにした。あの森は広大かつ国境にあるので、位置関係を把握されていない村の存在がまだ残っているという鑑定情報があったのだ。


得物はナイフと、魔法は生活魔法を書いておいた。精霊の手助けがあれば火や水も魔法として扱えるらしいが、まだ試したことがないので割愛。


用紙を受付に渡すと、今度は水晶玉の様なものを出された。水晶玉に手を触れながら質問に答えるように指示される。



「あなたは犯罪を犯したことがありますか?」

「いいえ」



水晶玉がピカリと青色に輝く。その後魔力を流すように言われたが正直よく分からない。仕方ないので洗浄の魔法を使ってみると、白色に光り受付側に置かれた魔道具から1枚のカードが出てきた。職場のネームカードに似ている。



「こちらがギルドカードになります。買い取りを希望されるものはどれですか?こちらのカードに実績として加算するので、今提出していただけますか?」

「分かりました。こっちの採取した植物がメインなんですけど…」



背中に背負っていたリュックを下ろし、中の採取袋から薬効のある植物を取り出す。時間経過の無い袋なだけあって、採れたての状態だ。濃い緑の匂いが周りに広がる。



「凄く状態のいい薬草ですね!鑑定致しますので少々お待ちください!」



あれ、この子が鑑定してくれる訳では無いらしい。手持ち無沙汰になったので、横のカウンターの人(美人な男性)が受付脇の椅子を示してくれたので、お言葉に甘えて鑑定が終わるまで座って待たせてもらう。



「おいおい兄ちゃん!オメェみたいな細っこい奴が冒険者なんて、やめといたほうが良いんじゃねぇか!?」



ごついムキムキマッチョ三人衆が絡んできた。これは新人いびりというやつか?
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