まさかオマエとBLなんて!?

夕張さばみそ

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14)鳥居~! ガラポンしようぜ!!

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『ふくらすずめ商店街』で、ガラポンが
あると聞いて、オレは鳥居と共に商店街を訪れた。
『ガラポン』とは、ほら、よく年末とかにあるじゃん? 
 六角形で取っ手を回すと赤い玉とか白い玉が出てくるアレ!
 と、鳥居に語ると『ああ、新井式回転抽選器か』と
正式名称で言われた。オマエはウィキペディアか。
 

 そんなこんなで、ガラポンをしに行ったんだ。
 商店街で買物して抽選券を貰うのが条件らしい。
 オレ達はコーシの店とかで買物をして、いっぱい抽選券を貰った。
 ん? 何でだって? ふふふ……二等賞は何と
高級自転車プレゼントだからだ!!
(一等賞はマリモ遊園地招待券)

 鳥居は自転車を持ってないから、これを機会に
チャリンコ野郎になってもらおうという意図だ。
 だってコイツ、『映画観に行こうぜ!』って
自転車で10分の映画館に誘ったら、
走ってついてきたんだぜ……。
 その時のオレの心境を察して欲しい。

 無口無表情の男が追いかけて来る恐怖を……!

 思わず『何してんのオマエ!!??』とツッコみつつ
ペダルを踏む足を止めると、鳥居は息も切らさずに答えたんだ。

『自転車を持っていない』
『持ってないのかよ!?』
『……それに、自転車に乗ったことがない』
『早く言えよ!!!!!』
『平気だ。走って追い越せる』
『それはそれでオレのプライドがズタズタだよ!!!』
 でも本当に追い越された。
 オレ……これでも水泳部のエースだったんだぜ……。

 で、

 抽選会の会場は、商店街の肉屋さんの前だった。何故。
 肉屋から漂う、揚げたてのコロッケの匂いが
昼時の空気に混ざる。
 あー、ハラ減ってきたー……。だが、ここは空腹と戦わねば!
 オレは抽選券を握り締めたまま鳥居を振り返る。

「鳥居! 頑張って2等を当てようぜ!」
 だが鳥居は首を横に振った。デカい男の癖にカワイイ仕草するなよ。
 そしてアッサリと告げる。
「買うから別にいらない」
「オイ!!!!」
「金で解決する」
「やめろ! 今オマエへの好感度がうなぎ登りに下がったぞ!
ていうか、ここまできておいて、それは無いだろ!」
「樺が楽しそうだったから、言い出せなかった。一等も
金を出せば済むからいらな……」

 抽選会の会場で『金出せばいいからクジとか引かない』なんて
空気読めなさすぎだろ! とオレは鳥居の腹に肘鉄を入れる。
 鳥居が腹筋を押さえてる間に、オレはガラポンの前へ進む。
 そしてニコニコしているおっちゃん(ちょっと頭髪が
切なくて、メタボ気味なメガネのおっちゃんだった)に抽選券を渡し、
ガラポンを思いっきり回した!

 勢いがつきすぎて玉が出てこなかった!

 おっちゃんから『ゆっくり回そうね~』と、幼稚園児に
話しかける口調で教えられた……恥ずい。
 気を取り直して、ゆ~っくりと優しく回した。
 その手つきに何故か鳥居が仏頂面をしていた。
 オマエ、無機物にまでヤキモチ妬くなよ。
 ていうか、回されたいのかよ。

 そしてコローンと出て来た玉。凝視してみる。
 白かった。
 おっちゃんが鐘を手に取り、カランカラン鳴らす。

「おめでとう~!!」

 やったあ~! と拳を握り締めた瞬間、おっちゃんが告げた。


「5等のティッシュペーパーです~!」


 紛らわしいな!!!! 5等なら鐘鳴らさなくていいじゃん!
恥ずい! とくまモンのテイッシュペーパーを
受け取りながら心の中でツッコミを入れる。
 だが、次こそは自転車を当てるんだ!
 そして鳥居に『樺、凄い! 格好いい!』とか尊敬させるんだ!

 で
 その後、オレは10回回して、10回ともティッシュだった……。

 くまモンだけじゃなく、ふなっしーだのまりもっこりだの……
あ、プリキュアとかもあったな。
 ティッシュのバリエーションがムダに豊富すぎだろ!
 テイッシュ商人みたいにブツを抱えてるオレに
鳥居は「樺、凄いな。格好いい」と言い出した。嫌味じゃなく、
心からカッコイイと思ってくれているらしいが、またしても
オレのプライドはズタズタだよ!! 
 全部残念賞とか、ある意味で珍しいだろうけどな!!!

 券は数枚残っていたので、鳥居に渡す。
「オマエもやってみろよ」
「おれはいい。樺が使え」
「何でだよ!?」
「抽選器を回してる樺が可愛かったから、おれは見てるだけでいい」
 は、恥ずかしい事を言うなよ! おっちゃんまで
「え……? や、やだ……もしかして……」って
カオしてるだろ!? さらっと人前でカミングアウトするなよ!
 仕方なくオレは鳥居の腕を叩く。

「いいからやれよ! 天から愛されし神の子であるオマエが
くじ引きしたら、2等とか1等が当たるかもしれないだろ!?」
 学生時代に鳥居との連続ジャンケンで負け続けたオレは
鳥居の神懸り的な運を期待していた。
 鳥居は「……別に樺以外の奴に好かれても嬉しくない」と
嫌そうにしていた。神に愛されて嬉しくないとか、
オマエは悪魔の化身かよ。

「いいから回せ! オレはもうテイッシュは見飽きたんだよ!」
「増税前に消耗品が増えて良かったな」
「ああ! そうだよな! 増税前に地味に家計を助けた
オレはエライよな! だから回せ!」
「……」
 鳥居は渋々とガラポンを回しだした。
 そのイケメンな姿に通りすがりのおばちゃんや女子高生が
見惚れていたが、奥さん、お嬢さん、こいつ自転車にも
乗れないんですぜ とオレはゲスい事を考えていた。
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