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EP1_1章
1章_15 出立
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旅の疲れが残っていたのか、
次に目を覚ました時は既に朝の四時を回っていた。
まだ早朝とも言えない時間だが、
準備をしなければならない。
あまり音を立てないよう、
カムランはごそごそと荷造りを始める。
しばらくすると、
コンコン、と小さくドアをノックされた。
てっきり静かにしろというクレームかと思ってドアを開いたが、
ドアの前にはメイドのエマが立っていた。
「こんな夜更けに申し訳ない。もう少し静かにするよ。」
開口一番、カムランは謝罪したが、
エマはいつものように笑顔だった。
「いいえ、そういうことではありません。
ちょうど、メイドたちは湯浴みの時間ですので、
いつも起きている時間帯なのです。
ご出立は今日の朝方と伺っておりましたし、
リード様のお部屋のドアから灯りが漏れておりましたので、
何かお手伝いできることはないかと思って参りました。」
そういってエマはお辞儀をした。
まだ少しばかり髪が濡れている所をみると、
急いで来てくれたのだろう。改めて感心しつつも、
微かに濡れた髪が艶やかなエマの姿に少し見惚れてしまっていた。
カムランは雑念を振り払い、
エマに荷造りの手伝いをお願いすることにした。
エマは手慣れた手つきで取り掛かり、
服は店売りのようにきちんとたたみ、
小物は小袋に分けて片づけてくれた。
自分でも整理整頓は出来る方だと思っていたカムランだったが、
エマの手によっていつもの半分くらいの大きさになった荷物に感激した。
「忘れ物も大丈夫そうですね。
そろそろ、メイド達も湯治場からは出ているはずですから、
ご出発の前にお湯で疲れを癒してください。
少し早いですが、私はその間に朝食の準備を整えます。
昨夜は夕食を取られていないと思いますので、
しっかりした朝食にいたしますね。」
カムランはエマの行き届いた心遣いに感謝し、
地下の湯治場に向かった。
脱衣所の入り口でノックをし、
出てきたメイドにまだ中に入っている者や着替えをしている者がいないかを、
本心に背きながらも確認すると早速湯治場に入り、
身体を流してゆっくりと湯に浸かった。
新たな土地に思いを馳せ、
少し湯の中で目を閉じる。
マルスと上手くやっていくのには手こずりそうだが、
この土地での最初の仕事だ。
お粗末な結果はその後の信用に傷をつけてしまう。
必ずやり遂げなければと自身に言い聞かせ、
湯治場を後にした。
温まった身体で部屋に戻ると、
既に食事の準備が整っていた。エマの言う通り、
夕食を寝過ごして食べていないためか、お腹が悲鳴を上げている。
テーブルに揃った食事は、
羊のミートパイにチキンとサツマイモのグラタン、
汁物も並んでいる。
昨日の朝食とはうってかわって、
カムラン好みの腹持ちの良さそうなものばかりである。
最後の紅茶を飲み切り、
窓を覗くともう空は明るくなっていた。
エマが食事を下げに出て行き、
カムランも着替えと荷物を整えた。
枕の下に金貨三枚を置き、
ありがとうと一言メモを添えて部屋を出た。
フロントで改めてエマに宿泊中の謝意を伝え、
部屋の掃除もしっかり頼んだよと茶化して宿を出て行く。
外に出ると、済んだ空気が心地よかった。
良く晴れた空の下、街の正門へと急いだ。
具体的に何時ということを聞き忘れてしまっていたので、
遅れてまた嫌味をもらわないように早めに到着していなければならなかった。
正門までもう目の前まで来たところで、
中央広場の時計塔がボーン、ボーンと鐘を鳴らした。
時間は朝の七時だ。
その鐘を合図に、
小さな通用門の隣の正門がゴロゴロと音を立てて開き始める。
正門が開ききると、
まもなく隊商の馬車や荷車が正門を出入りし始め、
少しずつ賑わいだした。
道行く隊商を眺めていると、
右肩を棒のようなもので勢いよく小突かれた。
「よう、時間は守れるんだな。」
振り向くとそこには二頭の馬を連れたマルスがいた。
左手は手綱で、右手は槍で手が塞がっている。
「準備は出来てるな。今日は夕刻までにはイントレドの街に入る。
時間には余裕を持っているが、
平時に夜に将軍に謁見するなど許されはしないからな。
早めに出るぞ。」
マルスはそういってカムランに手綱を一つ投げ渡した。
カムランの馬は澄んだ目をした黒毛の馬だ。
名をレブロというらしい。
マルスの馬はマイラという名前の白馬だ。
美しい体躯をした馬である。
門の外に出ると、二人は馬に跨り颯爽と駆けだした。
次に目を覚ました時は既に朝の四時を回っていた。
まだ早朝とも言えない時間だが、
準備をしなければならない。
あまり音を立てないよう、
カムランはごそごそと荷造りを始める。
しばらくすると、
コンコン、と小さくドアをノックされた。
てっきり静かにしろというクレームかと思ってドアを開いたが、
ドアの前にはメイドのエマが立っていた。
「こんな夜更けに申し訳ない。もう少し静かにするよ。」
開口一番、カムランは謝罪したが、
エマはいつものように笑顔だった。
「いいえ、そういうことではありません。
ちょうど、メイドたちは湯浴みの時間ですので、
いつも起きている時間帯なのです。
ご出立は今日の朝方と伺っておりましたし、
リード様のお部屋のドアから灯りが漏れておりましたので、
何かお手伝いできることはないかと思って参りました。」
そういってエマはお辞儀をした。
まだ少しばかり髪が濡れている所をみると、
急いで来てくれたのだろう。改めて感心しつつも、
微かに濡れた髪が艶やかなエマの姿に少し見惚れてしまっていた。
カムランは雑念を振り払い、
エマに荷造りの手伝いをお願いすることにした。
エマは手慣れた手つきで取り掛かり、
服は店売りのようにきちんとたたみ、
小物は小袋に分けて片づけてくれた。
自分でも整理整頓は出来る方だと思っていたカムランだったが、
エマの手によっていつもの半分くらいの大きさになった荷物に感激した。
「忘れ物も大丈夫そうですね。
そろそろ、メイド達も湯治場からは出ているはずですから、
ご出発の前にお湯で疲れを癒してください。
少し早いですが、私はその間に朝食の準備を整えます。
昨夜は夕食を取られていないと思いますので、
しっかりした朝食にいたしますね。」
カムランはエマの行き届いた心遣いに感謝し、
地下の湯治場に向かった。
脱衣所の入り口でノックをし、
出てきたメイドにまだ中に入っている者や着替えをしている者がいないかを、
本心に背きながらも確認すると早速湯治場に入り、
身体を流してゆっくりと湯に浸かった。
新たな土地に思いを馳せ、
少し湯の中で目を閉じる。
マルスと上手くやっていくのには手こずりそうだが、
この土地での最初の仕事だ。
お粗末な結果はその後の信用に傷をつけてしまう。
必ずやり遂げなければと自身に言い聞かせ、
湯治場を後にした。
温まった身体で部屋に戻ると、
既に食事の準備が整っていた。エマの言う通り、
夕食を寝過ごして食べていないためか、お腹が悲鳴を上げている。
テーブルに揃った食事は、
羊のミートパイにチキンとサツマイモのグラタン、
汁物も並んでいる。
昨日の朝食とはうってかわって、
カムラン好みの腹持ちの良さそうなものばかりである。
最後の紅茶を飲み切り、
窓を覗くともう空は明るくなっていた。
エマが食事を下げに出て行き、
カムランも着替えと荷物を整えた。
枕の下に金貨三枚を置き、
ありがとうと一言メモを添えて部屋を出た。
フロントで改めてエマに宿泊中の謝意を伝え、
部屋の掃除もしっかり頼んだよと茶化して宿を出て行く。
外に出ると、済んだ空気が心地よかった。
良く晴れた空の下、街の正門へと急いだ。
具体的に何時ということを聞き忘れてしまっていたので、
遅れてまた嫌味をもらわないように早めに到着していなければならなかった。
正門までもう目の前まで来たところで、
中央広場の時計塔がボーン、ボーンと鐘を鳴らした。
時間は朝の七時だ。
その鐘を合図に、
小さな通用門の隣の正門がゴロゴロと音を立てて開き始める。
正門が開ききると、
まもなく隊商の馬車や荷車が正門を出入りし始め、
少しずつ賑わいだした。
道行く隊商を眺めていると、
右肩を棒のようなもので勢いよく小突かれた。
「よう、時間は守れるんだな。」
振り向くとそこには二頭の馬を連れたマルスがいた。
左手は手綱で、右手は槍で手が塞がっている。
「準備は出来てるな。今日は夕刻までにはイントレドの街に入る。
時間には余裕を持っているが、
平時に夜に将軍に謁見するなど許されはしないからな。
早めに出るぞ。」
マルスはそういってカムランに手綱を一つ投げ渡した。
カムランの馬は澄んだ目をした黒毛の馬だ。
名をレブロというらしい。
マルスの馬はマイラという名前の白馬だ。
美しい体躯をした馬である。
門の外に出ると、二人は馬に跨り颯爽と駆けだした。
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