琥珀の夜鷹_ep1. 星降りの守り人

朝河 れい

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EP1_5章

5章_6 運命のアムリタ

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 王命を受け、一人教会に向かったロクサリオは、
通された部屋のドアをゆっくりと開く。


そこには、
アムリタでの取り急ぎの婚姻の儀を終えたであろう
華奢な女性の後ろ姿があった。


女性が振り返ると、
ロクサリオは伝えるべき言葉を忘れ去ってしまう。


「なんと・・・シンシア。これはどういうことなんだ?」


ロクサリオの姿を見るなり、
大粒の涙をこぼすシンシア。

その状況を理解したロクサリオは、
胸を引き裂かれるような苦しさに襲われる。


《ごめんなさい。自分の事を伝えられなくて、
気付けばこんなことに・・・》


走り書きの羊皮紙は、シンシアの涙で滲み、
ロクサリオの瞼に湛えた涙でなお霞む。


シンシアとロクサリオは、
密やかに恋を育てていた仲であった。

ロクサリオの多忙が故に式を挙げることが出来ないでいたが、
軍務の隙間を縫うように、二人は愛情を紡いでいた。


次にアムリタへ帰るときには、
ささやかでも式を挙げよう。

そう約束していたのだ。

事の顛末を知らされたロクサリオは一時、言葉を失う。


「娘は、ミラーナはどうしたんだ。
まだ年端もいかぬ子ではないか。」

ロクサリオは狼狽する。
しかし、シンシアは静かにすすり泣くばかりだった。


《ごめんなさい、本当にごめんなさい・・・。》

公王エオメルは、シンシアに娘がいるのを、
相手がいるのを知らずに娶るとした。

シンシアは生来、声を持たず、それ故に、
はやる公王に真実を伝えることが出来なかった。


ロクサリオは、あと一歩、遅かったのだ。
運命の悪戯がもたらしたその一歩は、
ロクサリオの恋慕の情をはぎ取り、
引き裂き、燃やし尽くしてしまった。


仮にも婚姻の儀を終えてしまった今、
後からこんな事実を伝えれば、
王の怒りがどこに向かうかわかったものではない。

もう、取り返しがつかなかった。
伝えるに遅く、動くに過ぎた。
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