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EP1_5章
5章_12 届かぬ思い
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馬車はそのまま速度を上げ、
まっすぐに台地の中央に位置する公都、
レフコーシャへ向けて走り去る。
血に濡れた鉄車輪も、夜を進む間に、
台地の土でかき消された。
馬車が轢いてしまったのは、
実は人間の子であったこと。
そして、その子は、妃であるシンシアの娘であったこと。
この事実は、数年の時の後、
密書による報告を受けてはじめて、
公王エオメルの耳に届くのだった。
当時のロクサリオ旗下、
サルヘナ駐屯兵コーエンの報告の記録には、次のように記されている。
『機密報告。シンシアは、過去に夫を亡くしており、
一人の幼い娘がいた。娘は、レフコーシャ帰投の馬車に轢かれて失血し、
絶命したと思われる。その証憑は、幼児のものと思しき**である。
前夫は不明。名前の記録なし。』
「うう・・・いたい。」
台地に転がったミラーナは傷だらけだった。
痛む足でなんとか起き上がると、
左腕が尋常ではない痛みを発しているのがわかる。
おそるおそる左腕に目をやると、
手首の関節あたりから先が、
車輪に巻き込まれて切り落とされていた。
齢四歳ほどの子供には、
到底受け入れられない現実と、激痛。
死んでしまいそうなほどの痛みの中、
ミラーナは泣き叫びながら、どこへ向かうでもなく走った。
想いは届くことは無く、
母も、左手も、純心も失われた。
「どうしてこんなにわたしばっかり!
もう、いや!みんな許せない!」
もはや、誰もが憎かった。
そのうちに痛みに負けて、
地面に転がったが、ミラーナの怨嗟の念は止まらない。
「いや・・・。わたしは、死にたくない。
王さまに、仕返ししてやる・・・。」
あまりの失血で、視界が霞んでいく。
ミラーナの意識が遠のく中、
小さな星が三つ、彼女の中にゆっくりと降り落ちた。
それは癒しの力を持つといわれる、
蛇使い座の星、マルフィクの三重星。
神話の名医、
アスクレピオスになぞらえる蛇使い座の三重星は、
三つの輝きそれぞれがミラーナの身体にやわらかな光を纏わせ、
彼女の傷をしんしんと癒していく。
血が溢れていた左腕の出血も止まり、
やがてミラーナを傷の痛みから解放してみせた。
左手こそ失ってしまったが、小さな命の灯は守られた。
まっすぐに台地の中央に位置する公都、
レフコーシャへ向けて走り去る。
血に濡れた鉄車輪も、夜を進む間に、
台地の土でかき消された。
馬車が轢いてしまったのは、
実は人間の子であったこと。
そして、その子は、妃であるシンシアの娘であったこと。
この事実は、数年の時の後、
密書による報告を受けてはじめて、
公王エオメルの耳に届くのだった。
当時のロクサリオ旗下、
サルヘナ駐屯兵コーエンの報告の記録には、次のように記されている。
『機密報告。シンシアは、過去に夫を亡くしており、
一人の幼い娘がいた。娘は、レフコーシャ帰投の馬車に轢かれて失血し、
絶命したと思われる。その証憑は、幼児のものと思しき**である。
前夫は不明。名前の記録なし。』
「うう・・・いたい。」
台地に転がったミラーナは傷だらけだった。
痛む足でなんとか起き上がると、
左腕が尋常ではない痛みを発しているのがわかる。
おそるおそる左腕に目をやると、
手首の関節あたりから先が、
車輪に巻き込まれて切り落とされていた。
齢四歳ほどの子供には、
到底受け入れられない現実と、激痛。
死んでしまいそうなほどの痛みの中、
ミラーナは泣き叫びながら、どこへ向かうでもなく走った。
想いは届くことは無く、
母も、左手も、純心も失われた。
「どうしてこんなにわたしばっかり!
もう、いや!みんな許せない!」
もはや、誰もが憎かった。
そのうちに痛みに負けて、
地面に転がったが、ミラーナの怨嗟の念は止まらない。
「いや・・・。わたしは、死にたくない。
王さまに、仕返ししてやる・・・。」
あまりの失血で、視界が霞んでいく。
ミラーナの意識が遠のく中、
小さな星が三つ、彼女の中にゆっくりと降り落ちた。
それは癒しの力を持つといわれる、
蛇使い座の星、マルフィクの三重星。
神話の名医、
アスクレピオスになぞらえる蛇使い座の三重星は、
三つの輝きそれぞれがミラーナの身体にやわらかな光を纏わせ、
彼女の傷をしんしんと癒していく。
血が溢れていた左腕の出血も止まり、
やがてミラーナを傷の痛みから解放してみせた。
左手こそ失ってしまったが、小さな命の灯は守られた。
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