リースス・レーニス

大神ヒラメ

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名前

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そしてマーレ 実験室では…
「こんにちは!えーっと…お名前は?」
ヴァルトはニパァと眩しいほどの笑顔をして、グレスに話しかけた。
「んー!んんんー!」
口枷をつけられていて喋る事が出来ないグレスは、ヴァルトへ向けて必死に目で訴えかけていた。
「離せー!って言ってるのかな?でも、名前が決まらないと始まらないからなぁ…ん~」
ヴァルトは顎に手を当てて真剣な表情をしながら必死に考えていた。
「そこ真剣に考える所か…?」
フィエルが呆れたようにため息をつくと、ヴァルトは口を膨らませてフィエルに反論をした。
「フィエル!名前って大事だよ!せっかくのペットに名前をつけない酷い飼い主がどこにいるって言うんだよ!」
「お前の手元に来たペットはみんな可哀想だよ…」
フィエルはこめかみに手を当てて眉間にシワを寄せていた。
「なんで?こんなに愛しているのに…」
ヘヘッと笑うヴァルトの目は獲物を狩る狼のように、冷たく鋭い目をしていた。
「本当…マッドサイエンティストの考えてる事は全く理解できねぇ。」
フィエルは苦笑いをしていたが、額には冷や汗をかいていた。
「んー…豚みたいにコロコロしてて可愛いからピグレット?あ!いいかも!」
ヴァルトは名案!と言うように手をポンと叩いた。
「なんか色々と怪しくねぇか?」
フィエルは心配するような眼差しをヴァルトに向けた。
「フィエル…勘違いしてない?ピグレットって英語で子豚って意味だよ。」
ヴァルトは乾いた笑いをしながらフィエルの肩を叩いた。
「馬鹿にしてんのか?社会的に潰すぞ。」
フィエルは顔を歪めてヴァルトを威嚇した。
「馬鹿にしてません。すみませんでした。肘を逆に曲げる人間が、暴力じゃなくて社内的に潰すのが怖いところだよね…」
ヴァルトは肩を竦めてフィエルに謝罪をした。
「さぁて…名前も決まったところだし、そろそろ始めようか。今まで放っておいてごめんね…ピグレット。寂しかったよね。僕が一生懸命お世話してあげるから、楽しみにしててね!」
ヴァルトはゴム手袋をつけながら、グレスに対して笑顔でそう言った。
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