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第二章 躍動の5年間 初等部編
第10話 元教員による授業つぶし 初等部1年生
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俺は元教員だ。
誇りを持っている。
最終的にはうまくいかなかったが、崇高な精神で業務に勤しんでいた。
今もその精神は揺るぎない。
しかし、目の前に魔術という人参をぶら下げられた俺という馬は暴走するしかない。
「それでは、1時間目の授業をはじめます。礼。みなさん、昨日の入学式ではとっても姿勢が良かったですね。今日もよくがんばってますね。この調子で楽しく過ごしましょうね」
話し方や雰囲気は女性ベテラン、話し方は丁寧で、「当たり」と言われるであろう教員だ。
しかし、名前は知らない。
どうやら黒板には名前が書いてあるのだろう。
見る気は無い。
恐らく、これから、この教員には嫌われるからだ。
前世の入学当初の授業はトイレの使い方や、学校探検などを経て、学校生活に慣れ親しむ時期だ。
しかし、俺には必要がない。
なら、抜け出して魔術の練習に費やす方が有効と言える。
今、まさに授業に出ているフリをしながら、手元でバレにくい小風弾を作っている。
今、実験しているのは、小風弾を作る際に規定の10mp以上のマナを注入するとどうなるのかという実験である。
少しずつ増やしていって、最終的にどう変化するのかという実験である。
もう一つ実験を兼ねているのだが、それは後ほど語るとしよう。
さて、今は魔術である。
少しずつマナを追加して行っている。
発動に使った10mpの倍近くを注入した。
少しずつ様子も変化してきた。
魔術書に書いてある通りだ。
「そろそろおトイレへ行っておきましょうか?さぁ、みんなで行きますよ」
先生は、もらす子が出る前に声かけしている。
いいところだ、無視しよう。
さらに魔力を注入したところで、小風弾の形状が不安定になり始めた。
やはり、そうなるか。
そして、小風弾の外殻が緩み始め、最終的には決壊した。
魔術書に従い、すぐにマナの注入を遮断する。
すると、外殻の中身、つまり、螺旋状の風が溢れ出した。
その風が教室の中で吹き荒れる。
激しい突風が暴れ回り、トイレに行くため立っていた子のスカートがめくれる。
担任の先生のスカートもめくれ、メガネも吹き飛ぶ。
トイレを我慢してた子が漏らす。
さらなる暴風が教室の窓を割り、怖くなって泣きじゃくる子が大半となる。
すると、今度は怖くて漏らす子が増える。
まさにカオス、阿鼻叫喚の地獄絵図。
ここまでは実験の第1段階。
ある程度は、予想の範疇。
「みなさん、落ち着いてしゃがみなさい。風が収まるまでしゃがんで待ちなさい」
なるほど、この程度の反応か。
と、思うと同時に周囲を見渡す。
ふむ。
実験の大半が終了した。
仕上げに魔術のマナを吸い、魔術を崩壊させた。
風が収まり、教室から音が消えて行った。
最後に残ったのは泣きじゃくる子の鳴き声だった。
「大丈夫ですか?ケガ人はいませんか?」
ケガ人はいなかった。
そこだけは賭けだったが、治癒魔術のあるこの世界では、ちょっとしたケガは保健室ですぐ治る。
ケガ人が無くてよかった。
「お漏らししちゃった子は保健室で着替えましょうか。いきますよ。それ以外の子は教室で待っていなさい。何かあったら補助の先生に言いなさいね」
これではっきりした。
教員の全員が魔術の専門家では無いと言うことが。
考えにくいことだが、いきなり教室で旋風が起これば魔術を疑うはずだ。
それをしないということは、担任の先生は魔術の専門家ではない。
俺の場合、前世の記憶があるから、魔術以外は学校で学ぶことは無いと言っていい。
魔術に関しても兄の部屋で勝手に勉強したり、初等部首席卒業のアネモネにも教えてもらったりしている。
つまり、初等部では何も学ぶことがない。
そしたら学校へ来なくて良くなる。
それに、この星の学校はあくまで実力至上主義だ。
定期考査さえ受験し、上位成績を残せばそれだけで首席卒業もできるそうだ。
かといって、学校に何の用もないかと言えば、そうでも無い。
友人だ。
前世では、うつ病の末、全員と疎遠になっていった。
晩年の俺はとてもさみしい思いをした。
同世代の友人が欲しい。
かと言って、俺は世界一を目指している。
友人には常に強くあって欲しい。
具体的には「ちょっとしたトラブルくらいでうろたえない人」だ。
見つけた。
ショートカットの銀髪で、可愛らしい髪留めをしている女の子だった。
声をかけてみよう。
「ねぇ、俺はライラック・アルデウスっていうんだ。キミは?良かったら友達になってよ?」
「ボクはオリビア、オリビア・ロドリゲスだよ。でも、友達にはなりたくないかな。だって、さっきの騒ぎはキミの仕業だろ?」
おっと、ボクっ子だったか。
ご馳走様です。
違う違う、そこじゃない。
実験がバレた。
先生すら気づかなかったのに、やるな?
「ごめんなさい。昨日杖を買ってもらったのが嬉しくて使っちゃったんだ。あとで先生にも謝るよ」
「そうだったんだね。ちゃんと反省できる子なんだったらいいよ。友達になろう」
良かった。
言い訳するかどうかで悩んだんだよね。
セーフ。
「ありがとう。俺はとっても魔術に興味があって、世界一を目指してるんだ」
「そうなんだ。僕も一緒だよ。世界一になるんだ。ライラック君はどんな魔術師になるの?ボクは魔闘士を目指しているよ」
「ライでいいよ。俺は全てにおいて世界一さ。とにかく1番になりたいのさ」
「へぇ、すごいね。ボクはお父さんがプロレスラーなんだけど、お父さんの戦っているところを見たら憧れちゃって」
「そうなんだね。俺は魔闘士大会も1番になるつもりだからライバルだな」
そう、今、俺が考えている世界一は3つの条件を揃えようと考えている。
魔闘士大会優勝、魔術大会優勝、ダンジョンクリアランキング1位、この3つが揃った時に、世界一を自他共に認めてくれると確信している。
なにせ、どの1番も魔術を使うのに、ジャンルが違いすぎて、同時にクリアする人は今まで1人もいない。
「そうだね。戦うことになるのはまだまだ先だし、今は仲良くしようね」
あぁ、いい子だ!
間違いない。
今なら初めに俺のことを注意してきたことすら好感度アップだ。
そして、アネモネとは違うタイプでかわいい。
いい友達ができた。
第2の実験もうまくいって良かった。
さて、先生に謝りに行こう。
オリビアのイメージ画像です
誇りを持っている。
最終的にはうまくいかなかったが、崇高な精神で業務に勤しんでいた。
今もその精神は揺るぎない。
しかし、目の前に魔術という人参をぶら下げられた俺という馬は暴走するしかない。
「それでは、1時間目の授業をはじめます。礼。みなさん、昨日の入学式ではとっても姿勢が良かったですね。今日もよくがんばってますね。この調子で楽しく過ごしましょうね」
話し方や雰囲気は女性ベテラン、話し方は丁寧で、「当たり」と言われるであろう教員だ。
しかし、名前は知らない。
どうやら黒板には名前が書いてあるのだろう。
見る気は無い。
恐らく、これから、この教員には嫌われるからだ。
前世の入学当初の授業はトイレの使い方や、学校探検などを経て、学校生活に慣れ親しむ時期だ。
しかし、俺には必要がない。
なら、抜け出して魔術の練習に費やす方が有効と言える。
今、まさに授業に出ているフリをしながら、手元でバレにくい小風弾を作っている。
今、実験しているのは、小風弾を作る際に規定の10mp以上のマナを注入するとどうなるのかという実験である。
少しずつ増やしていって、最終的にどう変化するのかという実験である。
もう一つ実験を兼ねているのだが、それは後ほど語るとしよう。
さて、今は魔術である。
少しずつマナを追加して行っている。
発動に使った10mpの倍近くを注入した。
少しずつ様子も変化してきた。
魔術書に書いてある通りだ。
「そろそろおトイレへ行っておきましょうか?さぁ、みんなで行きますよ」
先生は、もらす子が出る前に声かけしている。
いいところだ、無視しよう。
さらに魔力を注入したところで、小風弾の形状が不安定になり始めた。
やはり、そうなるか。
そして、小風弾の外殻が緩み始め、最終的には決壊した。
魔術書に従い、すぐにマナの注入を遮断する。
すると、外殻の中身、つまり、螺旋状の風が溢れ出した。
その風が教室の中で吹き荒れる。
激しい突風が暴れ回り、トイレに行くため立っていた子のスカートがめくれる。
担任の先生のスカートもめくれ、メガネも吹き飛ぶ。
トイレを我慢してた子が漏らす。
さらなる暴風が教室の窓を割り、怖くなって泣きじゃくる子が大半となる。
すると、今度は怖くて漏らす子が増える。
まさにカオス、阿鼻叫喚の地獄絵図。
ここまでは実験の第1段階。
ある程度は、予想の範疇。
「みなさん、落ち着いてしゃがみなさい。風が収まるまでしゃがんで待ちなさい」
なるほど、この程度の反応か。
と、思うと同時に周囲を見渡す。
ふむ。
実験の大半が終了した。
仕上げに魔術のマナを吸い、魔術を崩壊させた。
風が収まり、教室から音が消えて行った。
最後に残ったのは泣きじゃくる子の鳴き声だった。
「大丈夫ですか?ケガ人はいませんか?」
ケガ人はいなかった。
そこだけは賭けだったが、治癒魔術のあるこの世界では、ちょっとしたケガは保健室ですぐ治る。
ケガ人が無くてよかった。
「お漏らししちゃった子は保健室で着替えましょうか。いきますよ。それ以外の子は教室で待っていなさい。何かあったら補助の先生に言いなさいね」
これではっきりした。
教員の全員が魔術の専門家では無いと言うことが。
考えにくいことだが、いきなり教室で旋風が起これば魔術を疑うはずだ。
それをしないということは、担任の先生は魔術の専門家ではない。
俺の場合、前世の記憶があるから、魔術以外は学校で学ぶことは無いと言っていい。
魔術に関しても兄の部屋で勝手に勉強したり、初等部首席卒業のアネモネにも教えてもらったりしている。
つまり、初等部では何も学ぶことがない。
そしたら学校へ来なくて良くなる。
それに、この星の学校はあくまで実力至上主義だ。
定期考査さえ受験し、上位成績を残せばそれだけで首席卒業もできるそうだ。
かといって、学校に何の用もないかと言えば、そうでも無い。
友人だ。
前世では、うつ病の末、全員と疎遠になっていった。
晩年の俺はとてもさみしい思いをした。
同世代の友人が欲しい。
かと言って、俺は世界一を目指している。
友人には常に強くあって欲しい。
具体的には「ちょっとしたトラブルくらいでうろたえない人」だ。
見つけた。
ショートカットの銀髪で、可愛らしい髪留めをしている女の子だった。
声をかけてみよう。
「ねぇ、俺はライラック・アルデウスっていうんだ。キミは?良かったら友達になってよ?」
「ボクはオリビア、オリビア・ロドリゲスだよ。でも、友達にはなりたくないかな。だって、さっきの騒ぎはキミの仕業だろ?」
おっと、ボクっ子だったか。
ご馳走様です。
違う違う、そこじゃない。
実験がバレた。
先生すら気づかなかったのに、やるな?
「ごめんなさい。昨日杖を買ってもらったのが嬉しくて使っちゃったんだ。あとで先生にも謝るよ」
「そうだったんだね。ちゃんと反省できる子なんだったらいいよ。友達になろう」
良かった。
言い訳するかどうかで悩んだんだよね。
セーフ。
「ありがとう。俺はとっても魔術に興味があって、世界一を目指してるんだ」
「そうなんだ。僕も一緒だよ。世界一になるんだ。ライラック君はどんな魔術師になるの?ボクは魔闘士を目指しているよ」
「ライでいいよ。俺は全てにおいて世界一さ。とにかく1番になりたいのさ」
「へぇ、すごいね。ボクはお父さんがプロレスラーなんだけど、お父さんの戦っているところを見たら憧れちゃって」
「そうなんだね。俺は魔闘士大会も1番になるつもりだからライバルだな」
そう、今、俺が考えている世界一は3つの条件を揃えようと考えている。
魔闘士大会優勝、魔術大会優勝、ダンジョンクリアランキング1位、この3つが揃った時に、世界一を自他共に認めてくれると確信している。
なにせ、どの1番も魔術を使うのに、ジャンルが違いすぎて、同時にクリアする人は今まで1人もいない。
「そうだね。戦うことになるのはまだまだ先だし、今は仲良くしようね」
あぁ、いい子だ!
間違いない。
今なら初めに俺のことを注意してきたことすら好感度アップだ。
そして、アネモネとは違うタイプでかわいい。
いい友達ができた。
第2の実験もうまくいって良かった。
さて、先生に謝りに行こう。
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