世界一になるって決めた!〜お隣の似た宇宙に転生してました〜

ahootaa

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第四章 ワクドキ学園パラダイス編 12歳

第53話 超音波カッター

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 アネモネ、ごめん。
 こんなチャランポランな男に惚れさせてごめん。
 
 でも、でも、セオと相性いいんだよ。
 バトルの。
 
 いやー、ほんと、すごいよ?
 俺の動きを先読みして、全てフォローしてくれるんだよ。
 まさにね、パラダイス。
 気持ちいいの。
 ズパパパーンと魔物をやっつけられるから。
 少し前まではお互いに分けて戦ってたんだけど、首無しの犬が弱いことがわかってからは、セオがサポートに徹してくれている。
 なるべく俺のところに魔物を集めて、俺がワンパンで壁際に吹っ飛ばすの繰り返し。
 サクサク進むし、気持ちいい!
 ドロップアイテムは持ってきたカートにセオが中心となって入れてくれている。

「は~い。これで終わりだよ~。かなり奥まできたから、そろそろデュラハンでるよ~」

「はーい。ありがとね。ところでデュラハンってあのデュラハン?強いのかな?」

「そうだね~。普通の上級術者なら即死だけど、今のライのオーラなら大丈夫だよ~」

「そっか。詳しいな。ありがと。んじゃ、強敵来る前に休憩しよっか」

「そうだね~。今日は攻略よりデートが目的だからね~。どう?メロメロになった?」

「メロメロって久しぶりに聞いたな。メロメロねぇ~。正直、セオのことはわからんな。嫌いじゃないんだけど、勝手に好きになろうとしてる自分がいるって感じかな?」

「あ、わかるかも~。私も気づいたらライのこと好きになってた~」

 あぁ、かわいいな。
 横にちょこんと座って、しなだれかかる彼女の頭を見ながら興奮する下半身は誰にも止められない。
 少し覗き込めば少し開いたシャツの胸元が見えていることも俺の興奮を加速させる。
 ごめん、アネモネ。
 俺が俺を止められない。

 セオの顎にそっと手を添えた。

 顎をくいっとし、こちらへ向かせる。

「んっ」
 
 セオの美しい顔がこちらを向く。

 セオは目を閉じる。

 俺が顔を近づける。

 その瞬間、

 ドーーーン
 と、大きな音が鳴った。
 音の方を確認する。
 そこにはデュラハンがいた。
 見たことはなかったが、すぐにわかった。
 馬も騎士も頭がない。
 首無し騎士だ。
 
 立ち上がる間際にセオから唇へキスされる。

「へっ?」
 間抜けな声が出るも、セオは臨戦体制に入っている。
 俺も遅れて戦闘の準備をする。
 オーラはもちろん全開。
 デュラハンは広間を駆け回っている。
 恐らく、ここは元宴会場だろう。
 畳の部屋を土足で駆け回る俺たち。
 デュラハンに至っては馬で走っている。
 畳がちぎれてイグサが飛び散る。

「いくよ~」
 間の抜けた声と共に、繰り出されるのは、想像もできないような重い攻撃。
 ドゴともバゴとも聞こえる飛び蹴り。
 明らかに俺よりオーラが強い。
 どうなってんだ?

「俺もいくぞ」
 負けじと、近寄り、ラッシュをかける。
 右回し蹴り、左裏拳。左後ろ回し蹴り。
 全てに火オーラ全開が乗っている。
 打撃と共に、デュラハンの体はへこんでいき、明らかにダメージを受けている。
 攻撃を馬の胴体から馬の足に切り替えたとき、有効打の感触があった。
 馬は明らかに足を引きずり、動きが遅くなった。
 
 しかし、その時、本体の騎士の方から攻撃があった。
 ロングソードからの薙ぎ払いである。
 俺は油断したつもりはなかったが、これまで武器を持った相手と戦ったことがなかったため、間合いを見誤ったのであろう。
 薙ぎ払いを急いでオーラ全開の左腕でガードするも、オーラを貫通して攻撃された。左腕は半分くらい切れ、骨が見えている。
 もちろん、出血も多く、腱も切られているため、動かない。

「うぐっ」

 苦痛に満ちたうめき声が出る。
 聞きつけたセオがフォローに入る。
 俺とデュラハンの距離を取り、間に入る。
 オーラを全開にしたセオはロングソードの剣の攻撃をいなしている。

「光オーラで回復を~!」
 こんな時でも間伸びした話し方で指示をくれる。
 俺はすかさず光オーラを錬成し、腕の回復のため、腕にオーラを集中させる。
 15秒ほどで傷は回復したが、その間セオは防戦一方。

「仕方ないか~」
 と、つぶやいたセオは鞄からナイフを取り出す。
 そのナイフは普通のナイフとは違った。
 いや、見た目は普通のナイフだ。
 果物ナイフのような普通のナイフだ。
 しかし、切れ味が違った。
 バターを切るようにと喩えることがあるが、そんなもんではない。
 そこに何もないかのように抵抗なく切ることができていた。
 デュラハンのロングソードはそれこそ、セオのナイフのような長さになっていた。

 ありえない。
 俺のオーラを切り裂いたデュラハンの剣があんな簡単に切れるわけがない。
 あのナイフで俺を攻撃したら瞬く間にズタボロにされる。
 ただの、果物ナイフで?
 ありえない。

 俺の回復が終わるころにはデュラハンは細切れにされ、ドロンと音を立てて、ドロップアイテムへと変わっていた。
 デュラハンのドロップアイテムは首輪だった。
 なんとも皮肉な……。

 さて、どうしたもんか?
 さっきのキスの続きもしたいが、セオの強さが気になって仕方ない。
 かなりのワケ有りである俺でさえ、この強さなのに、それより強いセオにワケが無いわけがない。
 聞いてもいいものだろうか?

「ナイフの攻撃を見て、ちょっとびっくりした~?」
 そんなことを考えているのが見抜かれたのか、彼女の方から話しかけてきた。

「そうだな。あんな切れ味のいいナイフは初めて見たよ」

「そうだよね~。でも、あれはただの果物ナイフなんだ~」
 だよね? どう見てもそうだもん。

「そうなんだ。では、なぜ、あんなに切れ味がいいんだ?」

「実はね~。ナイフにオーラを纏ってるんだ~。しかも、ただの火オーラじゃなくて、『鋭利』の状態変化をさせたオーラだよ~」

「そんなこともできるんだな。俺の師匠にはそんなこと教えてもらわなかったぞ?」

「魔闘士には必要ない技術だからね~。大会では使えない技だよ~反則になるからね~」

「ヘぇ、物知りだな。俺にも教えてくれよ。実は俺はゴッドイーターだけじゃなくて、ダンジョンマスターにもなりたいんだ」

「おお。すごいね~。そんな目標考えたこともなかったよ~。『鋭利』自体は簡単だよ~。すっごく鋭いイメージでオーラを纏うだけだから~」

「簡単そうだな。やってみよう」

 そういうと、俺はセオからナイフを借り、火オーラを鋭い刃のように尖らせて見た。
 本当に簡単にできた。

「これの奥の深いところは、切れ味が人によって違うことかな~。それじゃあ、デュラハン狩りを始めようか~。ほかに何本かあるからそれは貸してあげるね~」

 広間の奥にはデュラハンが順番待ちをするように大量に湧いていた。
 と、いうか、ひしめき合っていた。
 カポカポと馬の歩く音が響きまくっている。
 ちょっと、さっき苦戦した相手が大量発生は想定してなかった。

 セオは気にせず、どんどんバターのようにデュラハンを細切れにしていく。
 俺もデュラハンに取り囲まれ、戦わざるをえない。
 『鋭利』を纏い、切り付けてみる。
 確かに切れるが、切れ味が足りていない。
 ロングソードの攻撃はブンブン飛んでくるが、受けることなく躱す。
 
 そこで、俺は考えた。
 そこまで真面目に戦う必要はないと。
 重力魔術を使った。
 以前、ダンジョンで使った、円柱形のものだ。
 これで、周囲のデュラハンは地面にめり込むことになる。
 そいつらに少しずつ切れ味を試していこう。

 まず、一体目、馬は問題なく切れるが、鎧が切れない。
 セオは鎧までバターのように切る。
 そこまで高める必要がある。
 セオはイメージと言った。
 つまり、俺にはイメージが足りていないわけだ。
 イメージに必要な物といえば、具体性。
 具体的なイメージが必要となる。
 まずは鋭利さ。
 極論を言えば、固い材質を何より細い刃にすればいいだけのこと。
 刃は分子、いや原子レベルにしよう。
 見たことはないが、見えないくらい小さい物質が存在することを俺は知っている。
 それだけでも、イメージはできるはずだ。
 それを超音波による振動までつけてやろう。

 魔術もそうだが、イメージによる効果の付与はかなり重要だ。
 結局、マナを使って超常現象を起こすという点においてオーラも魔術も大差ない。
 しかも、天使アリエルはオーラは厳密には魔法であると言っていた。
 よく知らんが、魔法の方が、イメージ大切そうだし、今回のセオの説明とも符号する点が多い。

 さて、早速、出来上がったので、試してみよう。
 そーっと、デュラハンの鎧にナイフを刺してみた。
 すると、バターどころの話ではない。
 スパスパ切れる。
 セオのナイフといい勝負してるんじゃないだろうか?

「すごい切れ味だね~。あとでやり方教えてね~」

「セオもすごいよ?あとでちょっと勝負しようよ」
 勝負の約束を取り付ける。
 ちょっと自信がある。
 第2弾としては、チェーンソーのように周囲を回転させるという技や、ドリルのように先端を中心に全体を回転させることも考えている。

 重力魔術で周囲のデュラハンを動けなくして攻撃するだけという簡単なお仕事は5分で終わった。
 仲間に魔術が当たらない護符を渡していなかったので、今回は少し時間がかかったが、うまく2人で手分けすればほんの1分から2分で終わるような作業になってしまった。

 周囲の魔物を倒した俺たちは再度休憩をしていた。
 軽食をとり、一晩過ごす寝床の準備をした。
 食事の最中にナイフの勝負をしたが、普通に勝ってしまった。
 どうやら、超音波振動はかなり強力なようだ。

「あれれ~?すごいね~」
 なんて言ってたが、悔しいのだろう。
 なんか悪いね。

 さて、一晩を明かし、体力も戻った俺たちはどんどん上の階を目指した。
 旅館がダンジョンとなっているので、上の階に行けばボスがいるだろう。
 まぁ、急ぎの旅というわけではないので、適当に重力魔術で弱らせて魔物を倒すの繰り返しだ。
 正直、気が抜けてきた。
 もう、サクッとクリアして帰ってもいいかな? という時に、現れた。
 扉だ。
 ボス部屋だ。
 今まで、ボスの扉は石でできていたが、これは赤金に輝いている。
 ものものしい。
 今までと違うことを暗に告げていた。

「さて、どうする? こんな色の扉見たことないよ? 危ないなら帰るのもアリかな?」

「う~ん。いけるよ~?たぶん~?」

「そうなの?行ってみてヤバそうなら途中で逃げようか」

「わかった~。逃げる判断はライがして~」

「わかった。俺もそんなに経験あるわけじゃないから、セオもやばいと思ったら教えてよくれよ?」

「は~い」
 なんとも締まらない返事だ。
 本当に大丈夫なんだろうな?

 扉に手をかけた。
 扉を押した。
 思ったより重かった。
 開ききった。
 目の前の明るさに驚いた。
 光っている物体があった。
 いや、ヒトか?
 翼がある。
 6対12枚。
 白い羽。
 白衣の男性。
 肉体美の全てを物語る筋肉。
 この世のものとは思えない美貌。
 金髪のウェーブ。
 どう見ても天使だった。

「ああ、天使よ」
 あれ?勝手に口が動いてる。

『なんだい?迷える子羊よ』
 脳に直接話しかけてくる。
 心地よい声だ。

 ふと、セオの気配が消える。
 瞬間、セオは天使に切り掛かっていた。

「え?」

「これ、天使じゃなくてダンジョンボスだよ~」

「え?え?そうなの?」
 天使をよく見てみる。
 うーん。
 どう見ても天使だ。
 ってか、俺は天使の知り合いがいるんだ。

「あのー、天使さん?この宇宙の担当天使って誰がご存知ですか?」

『ああ、もちろん知っているよ。アルターイ様ですよ?』
 あぁ、敵だな。
 ってか、これは、拷問確定の敵だわ。
 情報を引き出そう。
 そして、アネモネに渡そう。

「よし、倒そう」

『え?なんで?私は天使アルターイ様の使いのものですよ?』

「いや、そもそも、ここの担当天使はアリエルだし。それに、天使の使いだったら、天使じゃねーじゃん」

 俺は無言で重力魔術を発動する。
 10倍のえげつない方をお見舞いする。
 戦いの火蓋は切って落とされた。
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