アビリティがヤバい詐欺師がマジでヤバい!?

しんしょう

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転生生活初のクエスト

はじめてのクエスト

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 受付のおねえさんに仲介してもらったはじめてのクエスト、それなのにグルルルと喉を鳴らす音、ニタニタァとほくそ笑む顔に囲まれていたーーーーーー


「おはようございます! 良いクエスト日和ですねー」

 冒険者登録から一夜明け、はじめてのクエストを受ける事になった。その内容は、古い遺跡の定期調査らしい。

「最初のクエストですので、ベテランの方と一緒にいってもらいますね。こちらが、【ゴブリン専門家】のスキルを持つ冒険者さんです」

「コレハ可愛らしいお嬢ちゃんですねー♪ 私と一緒ですから、大船に乗ったつもりでいて下さいっ♪ 今日はヨロシクネッ」

 年齢はそこそこの、ラテン的なノリの軽そうなおじさんと一緒に行くようだ。鼻の下のチョビヒゲが、お調子者感を加速させている。

「では、冒険者としてのイロハを色々と教えてもらって下さい。今回は定期調査なので、そこまで危険は無いと思いますが、気を付けてっ」

 さっそく出発するようだ。おねえさんに選んでもらった装備を身につける。そうだ、武器はどうしよう?

「モチロン好みは人それぞれデスケド、最初はこれなんかドウですかー?」

 チョビヒゲおじさん(以下チョビちゃん)が手にしていたのは、少し短めな剣だった。

「これくらいの剣は、初心者にも扱いやすいヨ。切るという動作一つでいいからネ」

 剣は修行した者にしか、上手く扱えない印象があった。が、斧や弓、ましてや素手なんかと比べるとまだいいかと、手に取る。

「それでは行きましょうかー、レッツゴー♪」

 緊張感もなく、色々と不安だらけだったが、ひとまず冒険者としての一歩を踏み出した。



 ……見事なフラグ回収だなぁ。
 この状況を信じたくなくて、他人事のように呟いた。

 モンスター、特にゴブリン達が住み着いていないかをチェックする定期調査なので、相対する可能性は充分にあった。しかし、この状況は専門家でも予想外だったらしい。

「これはマズイですね…20か30か、かなりの数に囲まれてしまいました。・・・痛タタタ」

 状況はまさに最悪、相当数に囲まれ、チョビちゃんの足には、ゴブリン達が放ってきた矢がズボッと刺さっていた。出血もかなりのものだが、本人は大丈夫だと言う。でも、自分を不安がらせない為の見栄にしか見えなかった。

「そんなに心配しないでクダサイ…お嬢ちゃんを置いては逃げないですし、ましてやこのままやられる気もないノデ」

 だが、それを信じる事が出来なかった。すると、

フォォッッ!!

 っと、突然チョビちゃんが気合いを入れた。そしてグゥワっと一息に、足に刺さった矢を引き抜く。

「フゥゥゥーー、これでもうダイジョウブ、動けるようになりました」

 そう言うも、額には嫌な汗をかき、顔色も悪い。もちろん血はダラダラと流れ続けていた。

「いきなりハードですが、実戦デス。最初に言いました、剣で行うのはただ一つ、切る事です。突いてはイケマセン、急所に当てるのは技術がいりますから。近付いてきた奴から順番に横薙ぎで、後はただただ振るうだけです」

 ベテランの名は伊達ではないらしい。その言葉は焦るばかりの心を落ち着け、さらには勇気まで与えてくれた。

  薙ぎ払う、ただただ早く。

 それだけを体に刻み込む。開始の合図はない、目の前にきた相手を排除する、ただそれだけだ。
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