5 / 6
転生生活初のクエスト
はじめてのクエスト
しおりを挟む
受付のおねえさんに仲介してもらったはじめてのクエスト、それなのにグルルルと喉を鳴らす音、ニタニタァとほくそ笑む顔に囲まれていたーーーーーー
「おはようございます! 良いクエスト日和ですねー」
冒険者登録から一夜明け、はじめてのクエストを受ける事になった。その内容は、古い遺跡の定期調査らしい。
「最初のクエストですので、ベテランの方と一緒にいってもらいますね。こちらが、【ゴブリン専門家】のスキルを持つ冒険者さんです」
「コレハ可愛らしいお嬢ちゃんですねー♪ 私と一緒ですから、大船に乗ったつもりでいて下さいっ♪ 今日はヨロシクネッ」
年齢はそこそこの、ラテン的なノリの軽そうなおじさんと一緒に行くようだ。鼻の下のチョビヒゲが、お調子者感を加速させている。
「では、冒険者としてのイロハを色々と教えてもらって下さい。今回は定期調査なので、そこまで危険は無いと思いますが、気を付けてっ」
さっそく出発するようだ。おねえさんに選んでもらった装備を身につける。そうだ、武器はどうしよう?
「モチロン好みは人それぞれデスケド、最初はこれなんかドウですかー?」
チョビヒゲおじさん(以下チョビちゃん)が手にしていたのは、少し短めな剣だった。
「これくらいの剣は、初心者にも扱いやすいヨ。切るという動作一つでいいからネ」
剣は修行した者にしか、上手く扱えない印象があった。が、斧や弓、ましてや素手なんかと比べるとまだいいかと、手に取る。
「それでは行きましょうかー、レッツゴー♪」
緊張感もなく、色々と不安だらけだったが、ひとまず冒険者としての一歩を踏み出した。
……見事なフラグ回収だなぁ。
この状況を信じたくなくて、他人事のように呟いた。
モンスター、特にゴブリン達が住み着いていないかをチェックする定期調査なので、相対する可能性は充分にあった。しかし、この状況は専門家でも予想外だったらしい。
「これはマズイですね…20か30か、かなりの数に囲まれてしまいました。・・・痛タタタ」
状況はまさに最悪、相当数に囲まれ、チョビちゃんの足には、ゴブリン達が放ってきた矢がズボッと刺さっていた。出血もかなりのものだが、本人は大丈夫だと言う。でも、自分を不安がらせない為の見栄にしか見えなかった。
「そんなに心配しないでクダサイ…お嬢ちゃんを置いては逃げないですし、ましてやこのままやられる気もないノデ」
だが、それを信じる事が出来なかった。すると、
フォォッッ!!
っと、突然チョビちゃんが気合いを入れた。そしてグゥワっと一息に、足に刺さった矢を引き抜く。
「フゥゥゥーー、これでもうダイジョウブ、動けるようになりました」
そう言うも、額には嫌な汗をかき、顔色も悪い。もちろん血はダラダラと流れ続けていた。
「いきなりハードですが、実戦デス。最初に言いました、剣で行うのはただ一つ、切る事です。突いてはイケマセン、急所に当てるのは技術がいりますから。近付いてきた奴から順番に横薙ぎで、後はただただ振るうだけです」
ベテランの名は伊達ではないらしい。その言葉は焦るばかりの心を落ち着け、さらには勇気まで与えてくれた。
薙ぎ払う、ただただ早く。
それだけを体に刻み込む。開始の合図はない、目の前にきた相手を排除する、ただそれだけだ。
「おはようございます! 良いクエスト日和ですねー」
冒険者登録から一夜明け、はじめてのクエストを受ける事になった。その内容は、古い遺跡の定期調査らしい。
「最初のクエストですので、ベテランの方と一緒にいってもらいますね。こちらが、【ゴブリン専門家】のスキルを持つ冒険者さんです」
「コレハ可愛らしいお嬢ちゃんですねー♪ 私と一緒ですから、大船に乗ったつもりでいて下さいっ♪ 今日はヨロシクネッ」
年齢はそこそこの、ラテン的なノリの軽そうなおじさんと一緒に行くようだ。鼻の下のチョビヒゲが、お調子者感を加速させている。
「では、冒険者としてのイロハを色々と教えてもらって下さい。今回は定期調査なので、そこまで危険は無いと思いますが、気を付けてっ」
さっそく出発するようだ。おねえさんに選んでもらった装備を身につける。そうだ、武器はどうしよう?
「モチロン好みは人それぞれデスケド、最初はこれなんかドウですかー?」
チョビヒゲおじさん(以下チョビちゃん)が手にしていたのは、少し短めな剣だった。
「これくらいの剣は、初心者にも扱いやすいヨ。切るという動作一つでいいからネ」
剣は修行した者にしか、上手く扱えない印象があった。が、斧や弓、ましてや素手なんかと比べるとまだいいかと、手に取る。
「それでは行きましょうかー、レッツゴー♪」
緊張感もなく、色々と不安だらけだったが、ひとまず冒険者としての一歩を踏み出した。
……見事なフラグ回収だなぁ。
この状況を信じたくなくて、他人事のように呟いた。
モンスター、特にゴブリン達が住み着いていないかをチェックする定期調査なので、相対する可能性は充分にあった。しかし、この状況は専門家でも予想外だったらしい。
「これはマズイですね…20か30か、かなりの数に囲まれてしまいました。・・・痛タタタ」
状況はまさに最悪、相当数に囲まれ、チョビちゃんの足には、ゴブリン達が放ってきた矢がズボッと刺さっていた。出血もかなりのものだが、本人は大丈夫だと言う。でも、自分を不安がらせない為の見栄にしか見えなかった。
「そんなに心配しないでクダサイ…お嬢ちゃんを置いては逃げないですし、ましてやこのままやられる気もないノデ」
だが、それを信じる事が出来なかった。すると、
フォォッッ!!
っと、突然チョビちゃんが気合いを入れた。そしてグゥワっと一息に、足に刺さった矢を引き抜く。
「フゥゥゥーー、これでもうダイジョウブ、動けるようになりました」
そう言うも、額には嫌な汗をかき、顔色も悪い。もちろん血はダラダラと流れ続けていた。
「いきなりハードですが、実戦デス。最初に言いました、剣で行うのはただ一つ、切る事です。突いてはイケマセン、急所に当てるのは技術がいりますから。近付いてきた奴から順番に横薙ぎで、後はただただ振るうだけです」
ベテランの名は伊達ではないらしい。その言葉は焦るばかりの心を落ち着け、さらには勇気まで与えてくれた。
薙ぎ払う、ただただ早く。
それだけを体に刻み込む。開始の合図はない、目の前にきた相手を排除する、ただそれだけだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
二度目の勇者は救わない
銀猫
ファンタジー
異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。
しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。
それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。
復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?
昔なろうで投稿していたものになります。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる