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とある異世界でのお話
【読み飛ばし推奨】とある詐欺師の冒険譚
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「ど、どうかお願い致しますっ!娘だけは見逃してください!」
必死の形相で、腕の中にいる娘への救いを乞う。
『そうだなぁ、ここは一つ、お前の命で見逃してやろう。そら、我の前まで来い』
語るはあまりある魔力を秘めた魔人。
赦しを得た母親は、最後の言葉を伝える。
「生きていればきっと、いい事があるから。あきらめっ!?」
ボンッという爆発音と共に、頭部を失った少女の亡き骸が無様に地面へと転がる。
「アァ、ァァアーーーー!!」
膝から崩れ落ち、ダラダラと涙は流れ、声にならない声で叫ぶ母親。
『喚くな』
またしても、ボンッと響く乾いた音。その音が奏でたるは二つの命。
『ククククッ、クハハハハァ! 愉快、愉快なり! これはやはりクセになるっ!』
ザシュッ ザシュッ ザシュッ
こちらへ近づいてくる足音が一つ。
『クククッ、また我を楽しませてくれる者が来たか。人間とは、かくも退屈しのぎになるものよ』
ザシュッ ザシュッ!
音が止まったのを合図に、魔人は後ろを振り返る。そこにはまだ幼い少女の姿があった。
魔人さん、こんにちは。 今日はいいお天気ですね。
たまたま居合わせた隣人に挨拶を交わすように、少女は話しかける。
『カハハハッ! 確かに良い天気であるな。こんな日は気分が良い』
空模様は、踏みにじられた二人の無念を表すような、ドス黒い色だった。
それはよかった、私もそんな気分です。
ニコっと笑うその表情は、なんとも柔らかく、まるで聖母の微笑みのようだった。
『して、我に何用か? ただ散歩していた訳ではあるまいな』
いえ、特に用事はないですよ。
そう話す少女はおもむろに、背中に手を回し、虚空にあるなにかを引っ張りあげた。
『……何をしている』
何もしていないですよ。ただ、あなたが話のできる良い人でよかったなと思っています。
そう話しながら、少女は魔人へ向かって歩いていく。
『……もうよい、消えよ』
少女に向かって手を伸ばす。が、何も起こらない。反対に、少女は右手を上げ、そのまま振り下ろす動作をした。
ザグァゥッッッ!!!
? っと疑問符を浮かべた瞬間、魔人はきれいに一刀両断されていた。断末魔の叫びも何もない。
スキルを使えてよかった。もし話ができなかったら、こんな簡単には終えられなかったし。これ以上は上手くいかなかったはず……
そんな独り言をつぶやきながら、少女は帰途に着く。手を伸ばせば届いた、助けられなかった命を思って。
必死の形相で、腕の中にいる娘への救いを乞う。
『そうだなぁ、ここは一つ、お前の命で見逃してやろう。そら、我の前まで来い』
語るはあまりある魔力を秘めた魔人。
赦しを得た母親は、最後の言葉を伝える。
「生きていればきっと、いい事があるから。あきらめっ!?」
ボンッという爆発音と共に、頭部を失った少女の亡き骸が無様に地面へと転がる。
「アァ、ァァアーーーー!!」
膝から崩れ落ち、ダラダラと涙は流れ、声にならない声で叫ぶ母親。
『喚くな』
またしても、ボンッと響く乾いた音。その音が奏でたるは二つの命。
『ククククッ、クハハハハァ! 愉快、愉快なり! これはやはりクセになるっ!』
ザシュッ ザシュッ ザシュッ
こちらへ近づいてくる足音が一つ。
『クククッ、また我を楽しませてくれる者が来たか。人間とは、かくも退屈しのぎになるものよ』
ザシュッ ザシュッ!
音が止まったのを合図に、魔人は後ろを振り返る。そこにはまだ幼い少女の姿があった。
魔人さん、こんにちは。 今日はいいお天気ですね。
たまたま居合わせた隣人に挨拶を交わすように、少女は話しかける。
『カハハハッ! 確かに良い天気であるな。こんな日は気分が良い』
空模様は、踏みにじられた二人の無念を表すような、ドス黒い色だった。
それはよかった、私もそんな気分です。
ニコっと笑うその表情は、なんとも柔らかく、まるで聖母の微笑みのようだった。
『して、我に何用か? ただ散歩していた訳ではあるまいな』
いえ、特に用事はないですよ。
そう話す少女はおもむろに、背中に手を回し、虚空にあるなにかを引っ張りあげた。
『……何をしている』
何もしていないですよ。ただ、あなたが話のできる良い人でよかったなと思っています。
そう話しながら、少女は魔人へ向かって歩いていく。
『……もうよい、消えよ』
少女に向かって手を伸ばす。が、何も起こらない。反対に、少女は右手を上げ、そのまま振り下ろす動作をした。
ザグァゥッッッ!!!
? っと疑問符を浮かべた瞬間、魔人はきれいに一刀両断されていた。断末魔の叫びも何もない。
スキルを使えてよかった。もし話ができなかったら、こんな簡単には終えられなかったし。これ以上は上手くいかなかったはず……
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