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13.妖精さんとの出逢い
しおりを挟む邸宅と隠れ家を行ったり来たりする生活を始めて、ひと月が経った。
ジークハルト様が執務中だけ、隠れ家に滞在することにした。
さすがに旦那様が私室にいるのに、自分だけ不在には出来ない。
相談した訳ではないが、ジークハルト様もそれで納得してくれているようだ。
今日は、料理長から焼く前のパンをもらったので、隠れ家で焼くことにした。
読書をしながら待つのは楽しいのだ。
小説を読みながら、ふと目の前の小さな存在に気付く。
「え………あなた、誰!?」
「あ…見えるの?」
「み、見えるし…き、聞こえる……まさか、妖精さん?」
「あはっ!そうだよ!!」
ソファに座っているのに、腰を抜かしそうになった。
薄いピンクの半透明な妖精さん。
背中に小さな羽根が生えていて、髪はくるくるくせ毛で、顔立ちも可愛らしい。
小さな赤ちゃんみたいだ。
大きさにすれば、私の掌に乗りそう。
「で…妖精さんは何でここに?」
「美味しそうな匂いがしたから…」
なるほど。パンの焼ける匂いに釣られて出て来たのか。
「妖精さんって、パン食べるの?」
「何でも食べるよー!」
「じゃあ、一緒に食べましょう。」
「わーい、わーい!!」
焼き立てのパンをナイフで小さく切ってあげると、美味しそうに頬張る。
「妖精さん、かっ、可愛ぃっっ!」
妖精さんによると、この隠れ家に住んでいて、たまに妖精の住む世界と行き来している。
たまたま正体がバレてしまったが、普通は見えないらしい。
「妖精さんが見える条件ってあるの?」
「それは教えない。取り敢えず、妖精に危害を加えなさそうな人とだけ言っとく。」
「私は安全ってことなのね。では、お友達になってくれる?」
「またパンくれるならいいよー。」
こうして私は、隠れ家で可愛くて小さなお友達が出来た。
もっといろんな話が出来たらいいな。
パン以外も準備して来よう。
次から次へと期待は膨らむ。
ますます隠れ家に来るのが楽しみになった。
そういえば、リシアンヌを介さないお友達って初めてかも?
お友達が出来ても、いつの間にかリシアンヌの方が親しくなっていることが多かった。
よく考えたら、男女問わず、そのパターンだな。
まぁ、この隠れ家にリシアンヌが来ることはないので、妖精さんは私だけのお友達。
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