【完結】 仮面で隠していた傷痕を撫でたら愛が溢れてきた大公様 〜普通じゃなかったらしい私の中の普通〜

紬あおい

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1.仮面の大公

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連載スタートしました。
このお話から、1日2回 6時と18時の更新になります。

前作まで3時間毎の更新でしたが、合間に書きたい短編などもありますので、そちらにも時間を割きたいと思っています。
ご了承いただけますと幸いです。

更新待ちに、未読の過去作品に目を通していただけたり、お気に召した作品をまたお読みいただけますと、作者泣いて喜びます。
(;ω;) ウルウル

ゆるゆるな設定ですが、引き続き、暇潰しにご訪問いただきたく、よろしくお願い申し上げます。

いつもの方々も、初めましての方々も、ありがとうございます。
╰(*´︶`*)╯♡


⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘



姉のカタリーナが、我が国ワリエラ帝国の第3皇子リージェス殿下に嫁いで、まだ数日。
しかも、周りが婚約だ結婚だと騒がしくなってきた昨今。
16歳になっても、そういったことに全く興味を持たない娘に痺れを切らして、お父様が縁談を進めようとするのが煩わしくなってきている。
全く男性に興味がないわけでもなく、手紙をいただいたり、パーティに誘われたり、決してモテないわけではない。(と思う。)

ベルフィネス公爵家に次女に生まれ、母マルガリーテ譲りの銀髪や白い肌とふっくらした唇、父ニコラウス譲りの赤みがかったヘイゼルの瞳。
今まて容姿でとやかく言われたことはない。
ただ、他の令嬢に比べ、頭半分ほど背が高いのと、勝ち気な性格は難ありかもしれないが。
兄のエイデンもナリエラ・ローゼンハイム侯爵令嬢との結婚が決まり、残る娘の行く末を父はとても心配しているのだ。

「セシリア、3日後にテオドリクスが来るから、母さんと相談して準備しておくように。」

若くしてファーウェル大公家と領地を治めているテオドリクスが来るのだ。
黒髪にルビーのような瞳を持ち、体の大きい、如何にも鍛え上げられた騎士のような体格をしている。
実際、22歳にして最強の軍隊を率いる総司令官なので、体格が良いのは当たり前なのだが。

父は、幼い頃は北部の大公家で過ごした時期があり、大公ご夫妻が不慮の事故で亡くなり、一人息子のテオドリクスが公爵を継いでも懇意にしている。
大公ご夫妻の年齢が父よりも10歳近く年上だった為、テオドリクスを弟のように、身近に感じていたのかもしれない。

「あら、テオドリクス様、約3年振り位でしょうか。前回お好きだと仰っていたワインも準備しますね。」

「それはいいな、頼むよ。」

従兄弟が遊びに来るような感覚で、わくわくしていたが、父は違う意図を持っていたのは後に分かる。


◇ ◇ ◇


そして3日後、テオドリクスが来た。

「ご無沙汰しておりました。公爵様もセシリア嬢もお元気でしたか?」

「おお!そなたも元気そうで何よりだ。さぁ、中へ!!」

「閣下、ご機嫌麗しゅうございます。」

父と迎えに出た私が挨拶をし顔を上げると、テオドリクスは仮面を付けていた。

私はきっと不思議そうな顔をしていたのだろう。
テオドリクスは理由を話し出す。

「セシリア嬢、顔を隠しての訪問で失礼する。傷痕が生々しいので驚かさぬように仮面を付けている。あと閣下と呼ぶのはやめてくれ。今まで通りでいい。」

「承知いたしました。では、テオドリクス様と呼ばせていただきます。仮面は外していただいて構いませんよ?私が傷痕位で驚くような性格ではないのをよくご存知でしょう??」

テオドリクスは、ふふっと笑ったが仮面は外さなかった。
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