【完結】 仮面で隠していた傷痕を撫でたら愛が溢れてきた大公様 〜普通じゃなかったらしい私の中の普通〜

紬あおい

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14.貪る *

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テオドリクスと領地へ行く2日前に、やっと結婚式の招待状を準備した。
あとは母がやってくれる。
ギリギリになってしまったのは、姉のカタリーナがリージェス第三皇子殿下に嫁いでいる為、どこまで招待していいかの確認に手間取ったからだ。
そして今日は、久々の休息日だ。

「やっとひと息つけますね!料理長自慢のクッキーでもいただきますか。」

テオドリクスとお茶にしようかと準備しようとした。

「クッキーもいいのだが…」

「だが?」

何となく、その先が読めている。

「俺自慢の妻も、いただきたいのだが?」

「テオ…あなたは…」

やっぱりという気持ちと、夜まで待てないのか!?この獣がっ!を飲み込む。

「だめ?」

しょんぼりするテオドリクス。

「取り敢えず、お茶にしてから。」

今、私はお茶とクッキーを切実に欲しているのだ。
クッキーをむしゃむしゃ頬張り、普段より時間をかけて、ゆっくりお茶を楽しむ。

「ふぅ、満足、満足…」

遂に、ティーカップが空になってしまった。
テオドリクスが身を乗り出している。

「セシリア、い、いいか?」

「はい、お水を飲みたいです。」

さっさと水が手渡され、少し笑ってしまったが、黙って水を飲んだ。

「さあ、どうぞいらして。お待たせして、ごめんなさい。」

両手を広げて、テオドリクスを受け止める。

「ねぇ、テオ。何故あなたは、外では立派な大公で、私の前では可愛らしいワンコになっちゃうのかしら…」

胸元を寛げて、顔をすりすりしていたテオドリクスが真っ赤になる。

「ダメか?カッコ悪いだろうか。」

ああ、私のワンコ、可愛い。

「ダメじゃありませんよ。甘えられずに生きてきたってことでしょう?ただ2人きりの時だけにしてくださいね?最近、外でもダダ漏れてますから。私はなかなか慣れないんです…」

「気を付ける。すまない。」

「ベッドに行きましょう?」

抱っこして、ふわっと下ろされる。

お互いの服を脱がせて、テオドリクスをそっと組み敷いて、私が上から見下ろす。

「しばらく動いちゃダメよ?」

シャツの袖でテオドリクスの手を縛る。

「えっ!?何だ??」

言葉とは裏腹に、テオドリクスの陰茎がビクッと跳ね上がる。

私は黙ってテオドリクスの唇を舐める。

「あぁ…」

小さく喘ぐテオドリクスは期待しているだろう。

舌先でテオドリクスの口をこじ開け、深く口付ける。
唾液を流し込むとテオドリクスが喉を鳴らして飲み込む。

私の舌が耳朶や首筋を這って、乳首を吸い上げると、また陰茎がビクッと跳ねる。
ちゅぷっ、ちゅぷっと時間をかけて舐める。

「ん…ぁぁ…」

テオドリクスの小さな喘ぎ声が愛おしい。
右手でそっと陰嚢を撫でると、腰を反らして身悶える。

「そろそろ、こっちかな?」

ひと声かけて陰茎の先端を吸う。

「んんっ!くっ…はぁ、はぁ、はぁ…」

テオドリクスの息遣いが荒くなる。

「乗るね。」

「えっ?ええぇぇぇっ!?」 

動揺するテオドリクスをよそに、繋がってみる。

「あん……深いね……テオ?」

「セシリア…濡れてる…」

そのまま腰を動かすと、テオドリクスの眉間にシワが寄る。
中が熱くて、どんどん濡れてくるのが自分でも分かる。

「いつも好き放題されるからお返しよ?しばらく我慢なさい。」

ギシギシ軋むベッドと、ひたすら身悶える愛しい人に、自分の欲だけをぶつける行為。
その中に、相手を思いやる気持ちと舌先、指先。
あぁ、この人はこういう気持ちでいつもしているのねと悟る。

考え事をして気持ちを逸らしても、どうしても体は快感を探してしまう。
良い所を見つけて、腰が溶けそう。

「んふっ…ぁあ…テオ…もうダメかも…」

「俺も…限界だ…出るっ!!」

テオドリクスの上に倒れ込み動けない。

「そろそろ手を解いてくれないか?セシリアを抱き締めたい…」

本当は引きちぎる力がある筈なのに、大人しくしていたのねと思いながら、シャツの袖を解く。

「セシリア、好き。」

優しくふわっと抱き締められると、心があたたかくなる。

「今のは…あ…いや、何でもない。」

「どこで習ったと聞きたいの?」

「いや…いい…」

「テオから学んだのよ?この前、座ってしたでしょう?だったらテオが寝ても出来る筈って。私は応用が効くの!」

「ははっ、そうか。うん、そうだな。べ、別に疑ってないぞ?」

テオドリクスが変に焦る。

「私が初めてだったのはテオが一番分かってるでしょう?私はテオと違いますから。」

「俺は大した過去はないぞ?今は仮面を付けてるしな。」

「その前は?口付け位は経験あるでしょう?」

テオドリクスのルビー色の瞳が、一瞬揺れたのを私は見逃さなかった。
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