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9.建国祭のパーティ ④ Side ルディガー
しおりを挟む建国祭当日、朝から皇太子暗殺を企てる者を捕まえ牢屋にブチ込み、ベルを迎えに行った。
流石に婚約者と会う日に、返り血を浴びたくないので、捕えるだけにした。
運のいい奴だ。
本来なら、こんな仕事は、専属騎士団か警備隊がやればいい。
しかし、時と場合によっては、大人数で動けないこともあり、俺が動く時は、皇宮の深部にまで暗殺者に潜入されているので、事を大きくしない為に、単独で動くしかない。
これでもハインミュラー侯爵家の一人息子で、次期当主なのだが、たまたま皇太子殿下の身を守ってしまったことがあり、期間限定的に裏方仕事をしている。
調査から暗殺まで、いろいろ面倒なことは多いが、莫大な報酬も魅力的でもある。
しかし、ベルを娶るならば、そろそろ辞めようかと思い始めた。
考え事をしながら馬車で迎えに行くと、ドレス姿の美しいベルが待っていた。
「お揃いだね!」
自分と俺の衣装を交互に見て、無邪気に喜んでいた。
可愛過ぎるだろ。
その笑顔は反則だ。
その場でキスしたくなる自分を抑えるのに、ひと苦労する。
自分だけなら服なんて何でもいいが、ベルが喜ぶなら、何でもする。
馬車の中では、ベルが隣にべったり座り、ちょっと深めのキスまでしてきて。
下唇を噛まれた瞬間、危うく達してしまうかと思った。
駆け引きではなく、自分のしたいように接してくるベルが愛おしい。
出来ることなら、その全てを受け止めて、返したい。
パーティでは、皇太子殿下は揶揄ってくるし、変な女はダンスに誘ってくるし、ベルが居なけりゃさっさと帰っていただろう。
ベルが喜ぶなら、いくらでも付き合おう。
もう自分でも認めざるを得ない位に、ベルに惹かれている。
当のベルに伝わっていないのが、酷くもどかしい位だ。
私ばっかり好きで馬鹿みたい
あなたを諦めたくないの
知らずに酒を飲ませてしまったが、真っ直ぐなベルの気持ちが知れて嬉しい。
ベルの涙さえ甘かった。
でも、裏方仕事を含めて、言えないことがあるから、すぐにはベルに全ては話せない。
君に会うと嬉しい
声を聞くとあたたかい気持ちになる
君が触れてくれると幸せだ
キスしたい
それ以上もしたい
したくてしたくて狂いそうだ
だから、もう少しだけ待ってくれ。
ちゃんと君に気持ちを伝える。
一目惚れしたのは、他の女なんかじゃなく、ベル、君だ。
愛してると君に囁きたい。
一晩中、囁いて貫いて抱き締めたい。
もうすぐカタをつける。
だから、その日まで待っていて欲しい。
大切な人を、自分の弱みにしたくない。
ベルを丸ごと守るから、あと少しだけ君に我慢させてしまうことを許して欲しい。
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