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一話完結
しおりを挟む「貴様みたいな奴とは婚約解消だっ!」
「じゃあ、俺が貰って行く!」
「はっ?あなたは?一体何処のどなたですの!?えっ?きゃーっ!!」
突然叫ばれて、呆然としていたら、隣にいた男に抱き上げられて攫われた。
叫んでいた男、マリウス・ベルゼンブルグ公爵令息。
攫われた私、オリアナ・トラスト公爵令嬢。
攫った男、不明。
同い年のマリウスとは八歳で婚約し、ちょうど十年。
親達は、そろそろ結婚をと披露パーティを開いた日に婚約を解消された。
マリウスは、最近知り合った伯爵令嬢に運命を感じたそうだ。
それは、別にいい。
寧ろ大歓迎だ。
私は、人として傲慢なマリウスを好きではなかったから。
しかし問題は、今私を抱えて走っているこの男は誰なのだということ。
赤子のように、すっぽり私を胸に抱く大柄で筋肉質のこの男。
めちゃくちゃ走るのが速く、身のこなしが尋常じゃない。
赤髪で金色の瞳の男なんて、知り合いにはいない。
私が解放されたのは、公爵家を出て街を走り、どこかのタウンハウスに到着してからだ。
浴室に連れ込まれて、あっという間に裸にされ、気付けば二人で湯に浸かる。
「これは…どういう状況…?」
後ろから私を抱き締めて、湯に浸かる男が笑い出す。
「あははっ、今かよ!もっと早く抗議しろよ?」
「いや、だって…ていうか、貴方、誰?」
「この国で俺を知らない奴がいるとはな。俺も、まだまだだな。」
振り返ると、瞳の色はそのままに、髪色が金髪に変わっていた。
「陛下っっっ!どうして!?」
ここで私は気絶した。
いろいろキャパオーバーだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ぅん…はぁん…な、に…?これ…」
気付いた時、ベッドに寝かされ裸だった。
視線を移すと、胸の蕾が濡れて光っており、脚の間に誰かいて、秘所を舐めている。
「っ……なっ、何をっ!!」
顔を上げたその男は、二十歳にして、このアレクシス帝国の若き皇帝、マクシミリアン陛下だった。
「気が付いたか。結構長い時間、気絶してたな。」
「帝国の太陽、皇帝陛下に……って、陛下!何なんですか、これはっ!!ご乱心ですかっ!?」
「ははは、このタイミングで挨拶とか面白いな。平常心より、今はかなり興奮しているかな。オリアナが何処もかしこも美味くてな。」
「美味いって…何故こんなことをっ!」
「ベルゼンブルグ公爵令息が婚約解消すると聞いてな、急いでオリアナを攫いに行ったんだ。赤髪の俺に誰も気付かなくて愉快だったぞ?」
マクシミリアンは、良い顔で笑い、また秘所を舐め始める。
その舌は熱く、ぬるりと動き回り、時に蜜を吸い尽くす。
「へい、かっ…やめ、て……」
「マクシと呼べ。」
ぴちゃ、ぴちゃ、じゅるる
マクシミリアンは、執拗に秘所に舌を這わせる。
「解さないと痛いのだろう?」
指をペロリと唾液で濡らして、隘路に進める。
その指先が意外にも節榑立っていて長い。
幾度か出し入れすると、隘路から蜜がどっと溢れ出す。
「んあぁ…へい、か…あぁぁ…」
「マクシだ、様は要らんぞ。」
「マ、マクシ…中が、変です…」
「善いんだな。もっと気持ち良くなれ。指、増やしていくから。」
この状況に、頭が働かず、マクシミリアンの思うがままに翻弄される。
指が三本に増えた頃には、自分から腰を擦り付けていた。
「そろそろ解れたか。挿れるぞ。」
ゆっくりと入って来る陰茎は扱く必要がない位に唆り立ち、いくら蜜が溢れ出していても、なかなか全部は入らない。
「っんん、い、痛っ!無理です、そんな大きいの…入らない……」
「いや、だめだ、挿れたい…すまない、我慢を強いる…オリアナ、力を抜いて、ゆっくり呼吸しろ!あ、ここも敏感なところなのか?」
「えっ!?ああん、いや、だめっ!!」
不意に陰核を撫でられ、腰がマクシミリアンの陰茎を強請るように揺れる。
「ここか。ぷくっと芽が出て来たぞ?可愛がってやる!」
陰核を指でくるくると撫でたり、押し付けたりされて、私の腰は迫り上がり、根元まで陰茎を咥え込んだ。
「あぁ、全部入った。オリアナは俺のものだ。絶対離さない。」
最奥まで陰茎を挿れたまま、マクシミリアンは両方の胸の蕾を指で捻る。
ビクンと私の体が跳ね、膣内は陰茎をきゅううっと締め上げる。
「オリアナ、いい…動きたい…」
マクシミリアンは私の中を確認するようにゆっくり抽送しながら、繋がった部分の芽を弄ぶ。
「あぁ、マクシ、体が変なのっ!もう、やめて!!」
「ダメだ、オリアナ。止められない!」
ぱちゅん、ぱちゅん、ぱんっ、ぱんっ
マクシミリアンは、頭の横に投げ出された私の手にぎゅっと指を絡ませ、激しい律動を開始した。
繋がった部分は、じゅぶじゅぶと卑猥な音を響かせ、あまりの快感に目の前がぼやけてくる。
「あああー、マクシ、何か来ますっ!」
「オリアナ、出すぞ!」
「……っ……だ、だめです!やめてー!」
「出るっ!!」
マクシミリアンは、ぐっと腰を押し付け、震わせながら、最奥に全てを吐精した。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」
汗ばむ肌は熱を放ち、二人の荒い息遣いが部屋に響く。
「陛下…どうして…?」
未だにこの状況が分からない私は、マクシミリアンの口から、きちんと聞きたい。
「オリアナが欲しかったから。」
「私、陛下と接点ありましたか…?」
「オリアナを初めて見たのは、十年前。父上の葬儀の日だ。
こっそり抜け出して、庭園で泣いていた俺を見つけて、見ず知らずの俺にハンカチをくれたんだ。
父上が死んだと話したら、小さな手で俺を抱き締めて、元気付けてくれたよ。
あれからいろいろ調べたら、オリアナは婚約していて、一度は諦めたが、今日のことを聞いて、居ても立っても居られなくて、あの場に行ったんだ。
君をやっぱり諦められないと…
でも、よく考えたら、この国で俺の手に入らないものは無いだろう?だから、俺の妃になれ。」
「あの子が陛下だったんですね…泣いていたから慰めただけでした。年も同じ位かなと思ったし。だからって、これは酷いのではありませんか?」
私は、マクシミリアンのあまりの横暴さに呆れる。
「陛下、私の気持ちはどうなるのです?いきなり攫われて、こんな…」
「生涯、妃はオリアナだけだ。側室も要らない。子が出来ようが出来まいが、これは変わらないと誓う。君だけを愛し、守り続ける。」
誰もが憧れるマクシミリアンが、こんな行動に出てまで私を欲しがっている。
それでも、嬉しいとかよりも困惑しかない。
「お気持ちは嬉しいのですが、今は混乱しております。私に皇后など務まる気がしません…」
「大丈夫だ。公爵令嬢なら、それなりの教育は受けてきているだろう?後は、俺がいるから。ただ俺に愛されてくれないか?」
「陛下……」
「マクシだ。オリアナ、愛してるんだ。俺の心を奪っておいて、逃げられると思うか?それに俺以上の男は、そういないぞ。身分も容姿も。これだけ言って分からないなら、体にも教えないとな。」
マクシミリアンは、対面座位にし、私の唇を奪った。
意識がある状態で、初めての口付けだ。
体を支える腕の強さに比べ、その口付けは優しく甘い。
「マクシ…本当に私でいいのですか?」
「ああ、オリアナがいい。俺は君に救われたあの日から、ずっと君に恋焦がれている。キラキラした瑠璃色の瞳が忘れられなかった。愛してる…俺を愛してくれよ…」
切ない位の口づけを、角度を変えて何度も交わし、背中を摩る。
「マクシなら、もっと高貴で素敵な女性に出会えますよ?私など、すぐに飽きますわ。」
「まだ言うのか?そういう意味合いならば、オリアナには俺以上の男はなかなか現れないし、現れたとしても全力で潰すけど?」
マクシミリアンは、話しながら、ひょいと私を持ち上げて、陰茎を突き刺した。
「ああっ!ちょっと、また!!」
「何度でもしようじゃないか。君が思い知るまで。」
ガンガン下から突かれ、揺さぶられる体に、眩暈がしそうな快感を与えられ、私は抗う術を無くした。
「そんなに……もう、無理…」
それから私は三日間タウンハウスに監禁されマクシミリアンに愛されまくった。
マクシミリアンのマクシミリアンは、想像を絶する暴君だった。
三日目の夜には、もう諦めた。
マクシミリアンを求め、強請り、開き直って制した。
「マクシ、欲しいなら可愛く強請ってごらんなさい。」
「オリアナ…もっと…」
さて、最終的に囚われたのは私?それともマクシミリアン?
可愛く強請るマクシミリアンに、その時初めて情が湧いた。
その後、宣言通り、誰にも文句を言わせず、マクシミリアンは私を皇后にした。
そして、いつしか愛は芽生え、育ち、二人は終生お互いを敬い、笑顔の絶えない夫婦でいた。
でも、私は、子育てには一つだけ譲れないことがあった。
「愛する人には、まず素直に気持ちを伝えなさい。お父様みたいな恋愛の暴君にはなってはいけませんよ?」
二人の皇子と三人の皇女は、口には出さないがいつも思った。
「五人の子持ちって…普段も母上を離さないし…暴君の暴君は、やっぱり暴君だった…」
マクシミリアンは、そんな妻と子ども達を優しい眼差しで見つめる時が、一番の幸せだった。
とはいえ、マクシミリアンは仁愛も知恵もある皇帝として、人々に称賛されたことも書き記しておこう。
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