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11.朝のまどろみ
しおりを挟む朝目覚めて、隣りに人がいることが不思議だ。
ヴィルヘルム様は寝顔まで美しい。
よくよく見れば、体付きも逞しい。
胸板も厚くて、綺麗な筋肉質の体だ。
こんな美しい人と、昨夜あれやこれやしたことが信じられない。
でも、重くて痛む体と乱れたシーツに残る痕跡は、夢ではなかったことを物語る。
「ヴィルヘルム様、お肌も綺麗ね。妬けちゃう位に綺麗だわ。」
指で頬をツンツンしてみる。
「誰に妬けちゃうの?」
薄目を開けて、ヴィルヘルム様がこちらを見る。
寝起きでぼーっとしているようなので、ちょっと揶揄ってみる。
「ひ、み、つ!」
くるりと背中を向けてしまう。
「何で?教えて!ねぇ、サラーシュ!!」
焦るヴィルヘルム様。
背中にしがみついてくる。
何て可愛い人なんだろう。
こんな可愛い人に意地悪しちゃいけないわね。
秒で種明かし。
「男性なのに、お肌がつるつるだなって。」
「サラーシュの方が綺麗に決まってるじゃん。俺はサラーシュが一番!」
ヴィルヘルム様は私に甘過ぎる。
「ねぇサラーシュ、体は大丈夫?」
ふと我に帰ったのか、気遣うヴィルヘルム様。
「大丈夫ですよ。想像していたよりも体はつらくありません。それより…」
「それより?何?教えて?」
「ひ、み、つ」
また揶揄ってみる。
「もぅサラーシュは意地悪だ!意地悪な子には罰を与えないとな。」
太ももに当たる逞しいものを感じて、私は慄く。
「ヴィルヘルム様?たくさんしたでしょう?何でこんなにして…」
「サラーシュといれば、いつでもこんなだ。」
ヴィルヘルム様が照れる。
その後、意地悪の仕返しは、朝から濃密な時間を過ごすこと。
呆れる位にサラーシュ好き好き大好きが止まらない。
ヴィルヘルム様、こんな人だったなんて。
しかも、もしかしたら絶倫かもしれない。
優しくてテレ屋な絶倫て…
未だに、どうしてこれ程までに思ってくれるのか分からないけど、求めるだけだった私が、求められる立場になっているこの状況を受け入れられそうな気はしてきた。
それは、ヴィルヘルム様だからかな。
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