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22.理想の領主
しおりを挟む領地の仕事もひと通り覚え、気付けば半年近く経っていた。
ヴィル様とは相変わらず、仲睦まじく暮らしているし、領地民との仲も良好だ。
「下水道の整備は、順調に終わりそうですね。」
「そうだな。雨季の前で良かったよ。サラが工事の者達に気を遣ってくれたから、やる気満々で工期が短縮出来たみたいだ。ありがとう。」
「お礼を言われる程のことはしていませんわ。ヴィル様がケチケチせず、きちんと対価をお支払いするから、きちんとした人が集まるんですよ。」
「サラは、俺の一番の理解者だな。」
ヴィル様は決して威張らない。
寧ろ謙虚だ。
小さな領地ではあるけれど、立派だと思う。
首都に居たら…家督を継いだら…
たらればは、なしにしよう。
「ヴィル様、私に居場所を作ってくれて、ありがとうございます。」
「どした?急に…サラの居場所は、いつも俺の隣りだからな。頼りにしてるよ。」
あぁ、この人は…いつも私を包み込む。
ドキドキが止まらない。
「ヴィル様?」
ん?と、こちらを見るヴィル様の頬に、ぶちゅーっとキスをして抱き締めてやりました。
頼もしい領主様は、顔を真っ赤にして、床に崩れ落ちましたとさ。
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