【完結】 初恋を終わらせたら、何故か攫われて溺愛されました

紬あおい

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50.救出と媚薬

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サラーシュの意識が無くなり、三日経過していた。
その間、俺はずっと傍に居る。

疲労よりも心配の方が大きいからだ。

「目を覚ましてくれ…何でもするから…」

そんな時、客間にサラーシュの姉のリサーナが訪ねてきた。

「心配で参りましたの。少し交代しましょうか、お疲れでしょう。お茶でもお持ちしますよ?」

笑顔で話し掛けてくる。
公爵家に里帰りして以来、初めて会う。
本来なら遠慮したいが、親戚とあれば無下にも出来ないだろう。

侍女がお茶を運んで来た。

「ヴィルヘルム様、こちらのソファでどうぞ。」

口を付けて違和感を感じたので、飲んだ振りをする。
記憶が正しければ媚薬だ。
取り敢えず、騙された振りをする。

「何だか暑いですね…疲れたのか、頭もぼうっとしてきた…」

「少しお休みになっても宜しくてよ?」

リサーナがにこりと笑う。

物凄く腹の立つ笑顔だ。
寝た振りをしてみるか。

少したって、客間のドアが開く気配がして、誰か入って来る。

「ヴィルヘルムは眠ったか?媚薬はそのうち効いてくるだろうから、既成事実を作ってしまえ。」

この声は、リュシフェルだ。
何だ?こいつら??
俺とサラーシュを陥れるつもりか?!

「サラーシュだけが幸せとか、ほんと許せない。旦那に裏切られたら、さすがに泣くでしょう。」

「ヴィルヘルムも吠え面かけばいいさ。」

そろそろ我慢の限界だ。
ぶっ殺してやろうか。
と思った瞬間、サラーシュの声がした。

「ふざけんのもいい加減にして!ヴィル様に手を出したら、叩っ斬ってやる!!」

ベッドから飛び降りたサラーシュは、何故か両手に剣を持ち、叫んでいた。

「ヴィル様っっっ!起きて!」

「サラっ!!!」

ソファから立ち上がると同時に、サラーシュから剣が飛んで来たので、右手で掴む。

「ヴィル様、そのお茶は媚薬入り?」

「恐らくそうだ、耐性のある俺には全く効かないけどな!」

リサーナとリュシフェルは、その場で唖然としている。

「ヴィル様、リュシフェルを捕まえて!私はお姉様を捕まえる!」

あっという間に二人を捕縛する。

縛り上げた二人の前で、サラーシュは剣を振り回す。

「サラ、それは何の真似だ?」

斬るわけでもなく、振り回している真意をただす。

「魔気を浄化出来るらしいです。意識飛んでる時に小耳に挟みまして…詳細は後で話します!取り敢えず、この二人は魔気でおかしくなっていたようです。まあ、魔気に操られるような邪念があったっていうことでしょうけど。」

魔気が浄化された二人は、狐に摘まれたような顔をしている。

魔気のせいだろうが、正気に戻ろうが、やったことは赦せない。
今はこいつらの始末が先だ。

「この2人はどうする?」

「空き部屋に突っ込んでおきましよう。ちょうどここに、媚薬入りのお茶があるし。全部飲ませちゃいましょ。空き部屋で二人きり!別の意味で、二人には夜通し突っ込んでもらいましょう!!」

「あははは、それは名案だな。夫婦仲が良くなって、後継者が出来るかもな。」

くっくっくっと笑いながら、無理矢理二人にお茶を飲ませ、空き部屋に引きずっていき、放り込んだ。
後は即効性の媚薬で有意義な夜を過ごしてもらおう。

「お姉様達とは、もう関わらないわ。許せるとしたら、それは時間だけが解決出来ることかもしれない。ヴィル様、私は心が狭いのかな?」

先程まで勇ましかった可愛い妻が凹んでいる。
ああ、この子はこういうところもある子だった。

「サラ、それでいい。あの者達が抱えた心の闇までおもんぱかる必要はないさ。人はもっとシンプルに生きられたらいいのにな。子でも授かれば、あの者達も少しは変わるだろう。」

俺は疲れた顔をしたサラーシュをぎゅっと抱き締めた。
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