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0.兄思いの公爵令嬢
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大切な人と愛する人 ~結婚十年にして初めての恋を知る~
スピンオフとして、グレイシアのお話を公開することにしました
本編では描かれていないグレイシアの婚約者目線のお話です
本編を読んでいただいた方が分かり易いと思います
よろしくお願い申し上げます(^◇^)
ーーーーーーー
俺の最愛グレイシア・エヴァンス公爵令嬢には、五つ離れた兄エミリオンがいる。
グレイシア十七歳、エミリオン二十二歳、公爵家の者ならば、既に婚約者がいたり、結婚していてもいい年齢だ。
しかし、このエミリオン・エヴァンス公爵令息は、初恋の女性にしか興味がない。
十一歳の時に、護衛も付けずに公爵邸を抜け出し、街の散策に夢中になっているうちに迷子になってしまったという情けない出会いだ。
その時、エミリオンを助けてくれたのが、当時十五歳のヴェリティ・ワーグナー伯爵令嬢だった。
茶色の髪と瞳という何ともアバウトな手掛かりだけで、ヴェリティを捜索させられた公爵家の影には頭が下がる思いだ。
十一歳という、まだ子どものうちからヴェリティ以外には全く興味がなく、エミリオンが十六歳を迎えたら求婚したいなどと、勝手な人生設計を立ててニヤけていた時、ヴェリティはレオリック・ブランフォード侯爵と結婚してしまった。
あの時のエミリオンの『人生、生き地獄』的な顔は、ヴェリティと結婚出来た今も忘れられないとグレイシアは言った。
ブランフォード侯爵夫人となったヴェリティと、再び接点が出来たのは、エミリオンが趣味で描いていた絵だった。
エミリオン本人は趣味というが、その絵の評価は高く、あっという間に帝国で一、二を争う画家に君臨した。
その後、ヴェリティの娘、双子のリオラとリディアの絵画の指導をしてくれる者を探していると、公爵家の影が情報を掴んだ。
エミリオンは、即座にブランフォード侯爵家に手紙を書き、『エミリオン先生』の座をゲットしたエミリオンは、執念深い執着男だ。
おまけに、迷子を助けてもらったお礼として、ヴェリティにプレゼントした髪飾りを、まだ大切に使っていると知った時のエミリオンは、背中に羽が生えて、地の果てまで飛んでいきそうに喜んでいたと、グレイシアは笑った。
あの髪飾りは、モテモテなエミリオンが唯一女性にプレゼントしたものだ。
薔薇の髪飾りのモチーフは、エミリオンが描く絵の中に、いつも紛れ込んでいた。
今もヴェリティとエミリオンの大切な想い出の品となっている。
今思い返せば笑い話だが、エミリオンの初恋を守る為、私はすっかり社交界では悪女になってしまったとグレイシアは微笑む。
兄の為に悪女と呼ばれることも厭わない、グレイシア。
そのグレイシアが俺の最愛だ。
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