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9.二人の確約
しおりを挟むヴェリティと話したグレイシアは、翌日ゲストハウスを訪れた。
そして、すっかりヴェリティ・ファンになっていた。
「もうね、双子ちゃん達を愛する母として尊敬出来るし、何よりあのお方は人たらしだわっ!
私、最初試したの。
『もっと若くて未婚の令嬢はたくさん居るし、お兄様に憧れている令嬢もたくさん居るわ!
何故、この方に拘るの!?』って。
でも、お兄様より四歳も年上なのに、控え目でしっかりとご自分の意見をお話なさるし、あの場で何が感動したかって、あの!あのエミリオン・エヴァンスの求婚を保留にしたのよっ!!
帝国の憧れの公子、帝国で一、二を争う画家のエミリオン・エヴァンスを、よ!?
お金なんて、死ぬまで使い切れない位持ってるわ、お兄様は!
他の令嬢ならば即答するような人なのよ、お兄様って。
なのに、ヴェリティ様は『正直、今はエヴァンス公爵令息様のお気持ちに対する答えは出せません。
私の中で一番大切にしているのは、愛する双子達、リオラとリディアの母で在り続けることです。
それだけは、絶対に揺るがない私の想いです。
双子達の母で在り続ける為の選択肢が、エミリオン様との結婚なのかもしれません。
しかし、私はまだそれを選択出来る立場ではございませんし、打算がないとも言い切れません。
それでも、未熟者ではございますが、エヴァンス公爵家様のお役に立てる可能性があるならば、私はこれから懸命に努力いたします。』って答えたの!
もう、私、びっくりしたわ。
お兄様の拗らせ執着男っぷりも驚いたけど、ヴェリティ様には敵わないわ。」
言い終わったグレイシアは、はあはあと息を荒げている。
そんなグレイシアを見ているのも、俺は楽しい。
「グレイシア、兎に角ヴェリティ様を気に入って、次期公爵夫人として認めたってことでいいかな?」
「うん!認めざるを得ないわ。」
「だったら、俺と婚約してくれますか?」
俺はグレイシアの前に跪き、スーツの胸ポケットから指輪を出した。
「えっ…ここで…?」
「うん。正式な婚約はエヴァンス公爵や夫人に話してからだけど、俺とグレイシアの間での確約が欲しい。」
真っ赤になったのは、先程の長台詞ではない筈だ。
「グレイシア、俺と共にデルーミア王国をより良い国にする為に、力を貸して欲しい。
万が一、子に恵まれなくても、側妃は絶対に娶らない。
生涯、グレイシアだけだと誓う。だから、俺と結婚してください。」
「はい、喜んでお受けいたします。」
グレイシアの指にはめた指輪は、きらきらと輝いたが、グレイシアの笑顔には敵わなかった。
「待たせて、ごめんね?」
「俺もエミリオン義兄上みたいに粘るタイプなんだ。」
「やだっ、執着!?」
「いや、溺愛と言ってくれ。」
グレイシアは微笑んで、俺に口付けた。
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