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10.優しくなった人
しおりを挟むパーティ以降、レリウスが過度に優しくなった。
月一回ではなく、暇さえあれば訪ねて来て、手を繋ぐ、肩を抱くなどのスキンシップは当たり前だ。
両親は良い傾向だと喜んでいるが、私は戸惑いしかない。
「今日は、少し遠出したいんだ。海を見に行こう。伯爵様、リリンスを連れ出しても宜しいでしょうか?」
「もちろんだ。この引き籠りをどんどん連れ回してくれ!」
レリウスは、私の返事も聞かず、父に許可を取っていた。
(何でお父様が返事をしてるの…一応、嫁入り前の娘なんですけど!?)
呆然としている暇もなく、早速馬車で出発だ。
案の定、有無を言わせず、隣に座らされた。
「強引ですまない。こうでもしないと、リリに何も伝わらないと思ったんだ。」
俯いている私の肩を抱いて、顔を覗き込む。
その顔が憎たらしい程に整っている。
「リリ、こっち向いて?」
「嫌です。また不埒なことをするつもりですか?」
「うん。したい!」
「なっ!破廉恥なっ!!」
驚いてレリウスを見た瞬間、口付けられる。
「ちょっ、んんっ!」
何度も何度も、角度を変えて奪われる唇。
嫌だったのに、甘く私を誘惑する。
どの位、口付けていたのか。
唇が離れた時、はぁはぁと呼吸は乱れ、お互いの顔は赤く染まっていた。
レリウスは深呼吸を何度かして、私に問い掛ける。
「少しずつでいいから、俺に興味を持ってもらえないだろうか?」
「そんなに無関心に見えますか?こんなに振り回しといて…急展開過ぎて、気持ちが置いてけぼりではありますが…」
「少しは俺を気にしてくれてるかな?」
「……………」
レリウスが、ちょっとがっかりしたのが伝わる。
伏せた睫毛が長くて美しい。
(本気なのかな…こんなに真っ直ぐ来られたら…気持ちが揺れるに決まってるじゃない…揺れる、って…私もレリウス様が好きなのかな…政略結婚じゃなく、恋愛出来るかな…)
馬車の雰囲気が少し微妙になったが、そろそろ海に着く。
私は、狭い馬車の中より、広々とした砂浜でレリウスともっと話したくなった。
それならきっと、正直に想いを伝えられる気がした。
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