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15.斜め上の閃き
あれから五日、私は寝込んだ。
初めて尽くしで驚き、熱が出てしまったのだろう。
最初の二日は高熱でうなされた。
帰宅時、父と母に誠心誠意詫びを入れたレリウスは、伯爵家を出禁になることなく、毎日お見舞いに来てくれた。
お見舞いの時、うとうとしていても起こさず、そばで手を握り、しばらく私の様子を見て帰って行く。
「リリ、すまない。」
「リリ、早く元気になって…」
「リリ、また明日な。」
枕元で優しく囁く声が心地良い。
三日目には微熱にまで落ち着き、会話も出来るようになった。
「起きられるようになったのか!何か欲しい物はあるか?」
「大丈夫です。毎日来てくださって、ありがとうございます。」
穏やかな時間と会話に、心があたたかくなる。
その時、私は閃いた。
「貸して欲しい物がありました!」
「ん?何だ??」
「男性が読む閨事の本を貸してください!」
「ん?……はぁっ!?ええーーっ?何でそんなもん??」
レリウスは、これでもかという位に目を見開く。
「そういうことも勉強しないと…私の体が保ちません。」
「あ、でも…だって…」
「私はレリウス様みたいに慣れてませんから、やりたい放題されて気絶するんですよね?だったら学びます!!」
微熱で頭がおかしくなったのか、自分でもよく分からないけど、愛する行為を一方的に受けるのも違う気がする。
女性向けの閨事の本は『殿方に任せて』と書いてあるが、レリウスに任せたら私はいつか死ぬかも?という危機感がある。
『伯爵令嬢、腹上死!』『公爵令息、絶倫故に婚約者死亡』なんて新聞記事、絶対やだ。
「リリは勘違いしてる…俺、慣れてない…」
「えっ!?」
「あの…だから…は、初めて、です。」
「レリウス様?初めてで?あんなやりたい放題でしたの?」
「はい…すみません…」
私は呆れてしまった。
(おぃ!この美丈夫執着糞童貞め!!殺す気かーーーっ!!)
「はぁ…レリウス様、あなたって人は…」
「すまない。ほんと、謝るしかない…」
「そんなに私の体が気に入りましたか?正直、獣レベルですよ?意識が朦朧としていても、尋常じゃない位の性欲モンスターでしたよ?」
「はい…仰る通りです…リリは体も綺麗で…触ったら自分を抑えきれない…」
「ぷっ!ぷぷっ…くくっ…ふっ、んふふふ…」
めちゃくちゃ落ち込んでるレリウスがおかしくて、笑いが止まらない。
寧ろ、お腹痛い位に笑ってしまう。
「リリ?」
反対に、動揺するレリウスは、顔が引きつっている。
「仕事も不埒なアレも、一緒に学んでいくんでしょう?レリウス様が毎回暴走しないように、二人で学べばいいじゃない。きっと何かいい手がありますよ。」
自分の中で打開策が見つかったような気持ちになり、私はやる気になってきた。
「ああ、リリには敵わない。斜め上から来るな、何でも…」
レリウスは、眉尻を下げて微笑んだ。
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