【完結】 その身が焼き切れるほどの嫉妬をあなたにあげる

紬あおい

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16.嫉妬

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「レナリア、すまない。今度は俺が洗ってやる。」

ジークフリードは、顔を赤くしたまま、レナリアの髪から洗い出した。
一度達したせいか落ち着いて、レナリアを隈なく洗う。

「ここは自分で洗うから、後ろ向いてて?」

レナリアが秘所を洗う時もジークフリードは言う通りにした。
レナリアが嫌がることはしないと、ジークフリードは思ったからだ。
そんなジークフリードに、レナリアはまた無自覚で煽る。

「ねぇ、どうして洗っても洗ってもヌルヌルするのかしらね?ジークもヌルヌルしていたわ。」

「はぁ…レナリア、君は本当に……まぁ、変なことではないから、洗い終わったんだから湯に浸かろう。」

ジークフリードは、自分の前にレナリアを座らせ、後ろから抱き締めるように湯に浸かった。

「気持ちいいな。よく温まるんだぞ?」

「う、うん。気持ちいいね。」

レナリアの耳元でジークフリードが話し掛けると、耳が赤くなった。
穏やかな時間が流れて、ジークフリードの胸の痛みは治まった。

(レナリアが俺の手の中に居る。あたたかくて、愛おしい…)

レナリアもジークフリードに包まれて、安心する。

(ジークはいつも優しい。ずっと一緒に居たいな。)

振り返り、ジークフリードを見つめると、ゆっくり唇が下りて来た。
レナリアはそれを受け止め、そっと舌を差し込むと、ジークフリードも優しく絡める。
ちゅっちゅっとリップ音が浴室に響いた。

「レナリア、これ以上は湯あたりするから、出ようか。」

レナリアは上気した顔で頷いた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


レナリアとジークフリードは、ソファに腰掛け、湯上がりの水を飲んでいた。

「のぼせてないか?」

「大丈夫よ。お水、美味しい。」

レナリアは、この落ち着いた時間にジークフリードと話をしたかった。
過去は過去として、きちんと精算できていることを伝える為に。

「ねぇ、ジーク。今日、変だったけどルーセント殿下とのことを気にしてる?」

ジークフリードは、シャンパンに手を伸ばしながらギクっとした。

「い、いや、別に…失礼な奴だと思っただけだ…」

「嘘よ、ジークはまだ私が殿下に気があるって思ったでしょう?」

「ルーセントが去る時、背中を見つめていたレナリアの顔が……悲しんでいるように見えた…」

「まさか!悲しくなんかないわ。公爵家を出た時から吹っ切れてるし。」

「でも…俺は……嫉妬したんだ…あいつとレナリアには共に過ごした時間がある…」

シャンパンのボトルに口を付けてがぶ飲みするジークフリードに、レナリアは愛おしさを感じた。

「ジークが嫉妬…可愛い。」

ジークフリードを胸に抱き締めると、薄い夜着越しに赤い顔の熱を感じる。

「なぁ、レナリア…嫉妬って凄く苦しいんだな…胸がギュッと痛くて…焼けるような痛みで…」

「そうね…苦しいわ。体が焼ける位に…痛くて苦しくて、恨んで憎んで、そんな自分が嫌で…」

「レナリアは、一年以上、そんな気持ちを抱えてたんだな…よく耐えたな…」

「あの頃はね…でも、これから一年、また同じ想いをするのが耐えられないから捨ててやったの。そして、そんな私をジークが救ってくれたの。」

「救っただなんて…俺は付いて来ただけだ。寧ろ、選んでくれたのはレナリアの方だろう?」

「選んだのかな…ジークしか考えられなかったわ。そして、今ジークと一緒に居る時間がとても幸せよ?ジークはいつも私を思い遣って、優しく大切にしてくれるもの。」

「レナリアの心の傷が少しでも癒せたら、俺が傍に居る意味があるんだな。」

ジークフリードもレナリアも、共に過ごせる時間を愛おしく思った。
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