【完結】 私の全てを狂わせた暴君

紬あおい

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1.お飾りの妻


連載スタートします❣️
初日となる本日は、18時・20時・22時の3話更新💡
以降は、0時から3時間毎の更新となります😊
よろしければ、隙間時間にお読みいただけますと幸いです☺️💗



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



結婚式を終え、初夜に私からお願いしたことがある。

「あなたに愛する方がいらしても、結婚したからには、この状況を受け止めるしかありません。あなたのお心までは求めませんので、私が微笑んでお傍にいることをお許しください。」

幼馴染のファーガソン侯爵家の二男セドリックと、私、クリフト伯爵家の長女ノエルの結婚は、親達が提携した事業のせいで、絶対に反故に出来なかった。

ファーガソン侯爵家の生産能力とクリフト伯爵家の販売ルートや資金提供は、どちらが欠けても事業が成り立たなくなるからだ。
よって、セドリックがクリフト伯爵家に入ることで、この関係は成り立つ。

しかし、セドリックには、クラリス・ジェファーソン公爵令嬢という愛する女性がいた。
クラリスは今、セドリックの兄キースハルトの夫人だ。

私は、幼馴染として傍にいながら、セドリックがクラリスに恋に落ちる瞬間を目の当たりにした。
クラリスの輝く銀髪と菫色の瞳、柔らかに微笑む顔立ち、穏やかな優しさ、どれを取っても、将来、美しい女性になることを約束されたような子どもだった。

セドリックの片想いは十年続き、私とセドリックが十六歳、クラリスとキースハルトが十八歳の時、運命は決定的なものになった。
皆に祝福された美しいクラリスと、眉目秀麗なキースハルトの結婚だ。
絶望したセドリックを私は傍で見ていた。

私とセドリックは、クラリスとキースハルトが結婚した一年後、親達の合意の下に結婚した。
政略結婚の形ではあるが、私はセドリックを愛していた。
同じ黒髪碧眼の整った容姿ではあるが、キースハルトよりも真面目な努力家で、優しい人だ。
きっと愛する人も大切にするだろう。

私の気持ちに気付いていたようで、セドリックの気質に惚れ込んでいた私の父のギルバート・クリフト伯爵と母のエステルは、事業面だけでなく私の幸せを願って、この結婚を決めた。

しかし、私は初恋の人と結婚出来ても、愛されることはないだろうと分かっていた。
それでも、叶わない想いでも構わないから、セドリックの傍にいたかった。

「俺は君以外の人を愛している。しかし、この結婚に後継ぎとなる子は必要だ。君はそこも受け入れられるのか?」

「はい。承知しております。あなたには苦痛かもしれませんので、お心の整理がついてからで宜しいかと思います。」

「分かった…少し…時間をくれ。」

セドリックは、同じベッドに横になったが、私に背を向けて眠った。
私は、結婚指輪を撫でながら、これからの生活をどうしたらいいか考えた。

セドリックにとって地獄の始まりの日だが、私には愛する人の妻という望みが叶った日だった。
それが指輪だけでなく、私自身がお飾りの妻だとしても。
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