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23.二人の夜 ⑤
繋がったまま、私とレオン陛下は脱力していた。
こんな至福の時間があるなんて、初めて知った。
穏やかな顔で目を閉じているレオン陛下に、私は安らぎを与える人になれるだろうか。
「ねぇ、レオン…私はあなたを幸せに出来るかしら…?」
レオン陛下の髪を指で梳くと、艶やかな金色の髪はサラサラ揺れる。
じっと顔を見ていたら、ゆっくりと目が開いて、優しい金色の瞳が真っ直ぐ私を見た。
「俺を幸せにしてくれるのか…?」
「ええ、一緒に幸せになりたいわ。贅沢したい訳じゃない。ただ一緒に、寝て起きて食事をして、他愛ないことで笑って。子どもを産んで、わいわい過ごしたいし。年を取ってシワシワになっても、手を繋いで散歩して。そんな普通の夫婦になれるかしら?」
「ノエルが望むなら俺は努力を惜しまない。俺の持てる全てで叶えよう。だから、ともに歩む道を選んでもらえないだろうか。」
「一つだけ聞いても?」
「何だ?」
「側室は…」
「馬鹿だな。そんなもん要らないさ。」
「もし、子どもが出来なかったら…」
「うーん…そうしたら、ヘリオスの子にでも皇位継承すればいいさ。ヘリオスは、今は側近だけど、金の騎士団の副団長だったんだ。俺の背中を任せられる人間だ。あいつの子なら譲ってもいいな。でも、子どもはきっと大丈夫だろう。ノエルの実家の後継ぎまで産めるさ。」
「あなたって人は…本当に皇帝という地位に執着が無いんですね…」
「俺は普通に生きたかったよ…父上や母上に甘えて、時に我儘を言って…でも、ある日突然、親は殺されて、復讐心でいっぱいな殺戮の日々だったよ。皇帝になんてなりたくないと何度も思ったし、何処かに逃げてしまいたかった。それでも、国は守っていかなきゃいけないし、慕ってくれる臣下や民がいる。やっと心に折り合いをつけて、穏やかに過ごせそうになって、ノエルを見つけたんだ。普通の家庭のひとコマみたいな、菓子を頬張り、咽せて、茶を飲ませる。アホらしくて、微笑ましい光景を。この女となら、生きていくことを楽しめるんじゃないかと思ったんだ。」
レオン陛下と私の望む人生はきっと同じだ。
笑顔溢れるささやかな幸せを積み重ねていく日々。
「レオン、私を妻にしてください。偉大な皇后にはなれる気がしないけど、レオンを誰よりも愛する妻にはなれると思うし、幸せになれるように努力します。」
「ああ。俺も誰よりもノエルを愛する。俺を選んだことを決して後悔させないように、良き夫になるよ。」
初めて結ばれた日、皇帝としてのレオンではなく、一人の人間としてのレオンを、私は全力で幸せにすると心に誓った。
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