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38.帰宅
しおりを挟む三日後、レオン陛下は血塗れのままクリフト侯爵家に戻って来た。
「すまない、こんな格好で。ノエルが心配しているかと思って…」
「ご無事でしたか!?お怪我は?」
「大丈夫だ。湯浴みさせてもらえると助かるのだが。」
「すぐに、お支度します!」
私は侍女達に指示を出し、着替えを準備する。
父と母は、安堵の表情を浮かべている。
「陛下、お疲れ様でした。湯浴みの後はお食事と部屋を準備しますから、ゆっくり泊まっていってください。」
「義父上、ありがとうございます。義母上、こんな格好で申し訳ありません。」
「無事であればいいんだ。陛下といっても、義理の息子で、大切な娘の夫だ。」
「そうよ。ノエルも待ってたんだから、たくさんいちゃいちゃしなさい。」
「「いちゃいちゃ…」」
義理の父と息子は息もピッタリのようだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あぁ、さっぱりした!湯浴みはいいな。」
「お腹も空いたでしょう?お母様が気を遣って、部屋に準備してくれたわ。」
「ありがたい!美味そうだな。食べさせてくれ。」
初めて二人で食事した時のように、甘えてくるレオン陛下。
同じことを思い出したのか、頬が赤い。
「はい、あーんして?」
レオン陛下は、父が奮発してくれたらしいステーキを頬張る。
「美味いな!毎日食べたい位だ!!」
「それは良かったけど、毎日は無理よ?」
「あははは、分かってるって。もうひと口くれ!」
余程お腹が空いていたのか、レオン陛下は二人前をペロリと平らげた。
「あー、もう食えん!腹いっぱいだ。」
食後のシャンパンを飲み終わり、ご満悦のレオン陛下は、ベッドに寝転び、私においでおいでしている。
嬉しそうな笑顔を見て、私もほっとして横になって抱き締める。
「大変でしたか?」
「意外と人数が多くてな。金で集めた輩が多くて、反逆者と言えるのかは微妙だったが…まあ、皆、片付けてきたから、今度こそ平和になるよ。」
「ヘリオスは…どうなるのですか?」
「今は一応、皇宮の空き部屋に監禁するよう指示した。スザンナとかいう女もな。詳しく事情聴取しないと処罰は決められない。確認したいこともあるし、結果的には怪しい奴らを粛正出来たからな。」
「ミシェル嬢は…」
「リーガン侯爵家の処分も決めないとな。伯爵以外は地下牢に捕らえてある。」
私に気を遣って具体的には言わないが、リーガン侯爵とアレクシスは、既にこの世にいないだろう。
稚拙な計画と言っていい位にお粗末だったし、狙った相手が悪かったのだろう。
すると、私がちょっと考え事をしている間に、レオン陛下は寝てしまった。
私の胸に顔を埋めてすやすや眠るレオン陛下は、今はただの二十二歳の男だ。
安心して寝ている顔を見られるのは私だけ。
私はレオン陛下の頭を撫でながら、夜更けまでその寝顔を見ていた。
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