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112.産まれる前から強い子!?
それから私は、わくわくする三つ子とヴェルシスに一旦部屋を出てもらい、駆け付けたシェリーヌの診察を受けた。
「やはりご懐妊です。おめでとうございます。
三ヶ月に入ったばかりと思われます。」
シェリーヌは微笑み、私も胸がいっぱいになる。
「君主様やお坊ちゃま達をお呼びする前に、少しだけお話をしてもよろしいですか?」
「えっ…お腹の子に何か…?」
「いえいえ、君主様と殿下についてのお話です。」
「っ!?」
改まって話すシェリーヌに、私は少し不安げな顔をすると、シェリーヌはくすくす笑った。
「実は、奥様がお休みになられている時に、私とカレナ様とフェリスさんで、君主様と殿下に意見させていただきまして。ふふっ!」
「ーーーっ!?」
「カレナ様は『ご家族との会話も儘ならないのに、他国や陛下と交渉が出来ますの!?』とか、ご懐妊についても『あれだけいちゃいちゃしていれば当然で、忙しいからと配慮を怠り、夫人を遠去けるとは、一体何事ですの!?』と詰め寄り。
フェリスさんは『皇都では公爵令嬢だった奥様を攫うように、見知らぬ土地のアルカロイド辺境地に連れて来て!
一日中ベタベタべたべたくっ付いていたのに!!奥様のお気持ちを考えろ!』なんて叱り飛ばしていましたわ。」
「えーーーっ!?だから、ヴェルシスはあんなにしょんぼりしていたのね?」
「私はお手紙をお見せしたかった筈だとしか申し上げられませんでしたが、カレナ様はかなり怒っていらっしゃいましたし、フェリスさんは仁王立ちでした。
それに、叱られたのは君主様だけではありませんよ?
殿下もカレナ様に叱られていました。」
「あらまあ!殿下もっ!?」
「はい、時間問わずお話し合いをされていたので、『弟夫婦の間にヒビを入れた責任はどうお取りになりますの!?』って。
縮み上がりそうな殿下に、こっそり笑ってしまいましたわ。ふふふっ!」
「やだっ、皇太子殿下と帝国の盾が女性に叱られていたなんて!あはははっ!!」
寝ている間に、皆が私の為に説教大会を開催してくれたのかと、嬉しくもあり可笑しくもあった。
同時に、私には味方がたくさん居たのだと思い出させてくれた。
「という訳で、奥様がお休みの間、男性陣はこってり絞り上げておきましたから、安心してお腹のお子様をお育てくださいませ。」
「皆、ありがとう。ヴェルシスも殿下も未だに何を画策しているかは教えてくれないけれど、もう不安な気持ちはなくなったわ。
それに、新しい命を授かったのだから、私もしっかりしないとね。」
「あまりしっかりなさらないでください。私もフェリスさんも居ますし、お坊ちゃま達の時に使った便利な物がたくさんありますから。
弱音を吐いて頼っていただけた方が、皆喜びます。」
「そうね、頼りにしてるわ。」
「さて、君主様達をお呼びしましょう。首がながーくなってるでしょう。」
シェリーヌが寝室のドアを開けると、ヴェルシスや三つ子が流れ込んできた。
「「「「あーーーっ!」」」」
「盗み聞き?」
「あっ……ああ…早く知りたくて…でも、聞こえなかった…は、はははっ…」
照れるヴェルシスと、足にしがみ付いてドキドキしている三つ子に、私は教えてあげた。
「お腹に赤ちゃんが居るわ。三ヶ月に入ったばかりだそうよ。まだちっちゃいわね。」
「「「「やったーーー!!!」」」」
そっと駆け寄ったヴェルシスが私のお腹をそっと撫でると、ベッドによじ登って来た三つ子も小さな手をお腹に当てる。
「ここに、僕達の弟か妹が居るんだね!」
「早く会いたいなぁ!きっと良い子だね!!」
「いっぱい遊んであげるからね!」
リュカもロイドもレオンも、子どもながらに愛おしい命を迎えようと声を掛けていた。
「ヴェルシス?」
じっとお腹を見つめているヴェルシスの目は、涙が溢れていた。
「三ヶ月に入ったばかりなのか……すまない、俺はこの子を危険な目に遭わせていたかもしれないんだな…
リルア、この子を護ってくれて、ありがとう。」
「そうね、馬車で長旅をしたり、軍馬で駆け抜けたり、鉱山の坑道を歩いたり。
いろんな経験をしても、ちゃんとこの子は育ってくれたのね。
産まれる前から強い子なのかもしれないわ。」
「それでも、無事に産まれるまで大事にしよう。
産まれてからも、俺はリルアと三つ子とこの子を命を賭けて護り抜く。もう間違えない。
皆で幸せになろう。愛してるよ。」
ヴェルシスは、まだ目立たないお腹に顔を寄せ、優しく、強い決意で囁いたのだった。
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