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21.スタート地点
エミリオンに抱き締められ、落ち着きを取り戻したヴェリティは、笑われる覚悟で先程の記憶の話をした。
しかしエミリオンは、思いの外、真剣に話を聞き、最後には笑い出した。
「俺は、前世でもヴェリティに執着していたんだな!あはははっ!!」
「執着って…でも、本当に前世の記憶なら、私は死ぬ瞬間まで、いえ、死んでからも幸せだったんですね。」
「でも、『次は初恋から始めよう』って言ったんだよな、俺………てことは…」
ヴェリティは、その先の言葉を口付けで遮った。
エミリオンは、ヴェリティからの口付けに酔いしれ、うっとりと味わった。
「どんな前世だったかまでは分かりませんが、もしも生まれ変わって、また出逢ったのなら、エミリオン様だけの人生がいいです。」
そして、唇が離れ、口付けの熱を孕んだままのヴェリティの言葉に、エミリオンの胸が騒がしく震えた。
「胸が騒がしいって、こういうことなんだな…
ほら、俺、凄くどきどきしてる…」
「ほんとだ、可愛い。」
エミリオンの胸に耳を当て、ヴェリティの横顔が微笑んでいた。
「ヴェリティ、俺達、やっと同じスタート地点に立ったような気がする。
ヴェリティも、俺を愛してるんだろう?」
「はい、愛しています。胸が騒がしい意味が、今日、嫉妬と共に分かりました。
大切にしてくださっていたのに、気付かなくてごめんなさい。」
「謝らなくていい。今、俺、嬉しい…」
エミリオンは、ヴェリティの髪を指で梳きながら、騒がしい胸の鼓動を幸せだと感じた。
「鬱陶しいハーネスト公爵令嬢も、たまには役に立ったな。
でも、もう気安く名前は呼ばせないし、触れさせないから、安心して?
俺は、鳥肌が立つ位に気持ち悪かったしな。」
「やだっ、鳥肌って!あははは!!」
ぶるぶるっと震えたエミリオンが可笑しくて、ヴェリティは声を上げて笑った。
「ヴェリティなら大丈夫なのにな。いや、寧ろヴェリティなら俺から触りたい!
って、こんなこと言うと、また怖いよな!?
ヴェリティの心が許してくれるまで、無理に触れないから、そこも安心して?」
ヴェリティは、優しいエミリオンにすっかり心を許していた。
頭に浮かんだ記憶が、ヴェリティの不安を一掃したのかもしれない。
あの優しい場面が、どうか前世の記憶でありますようにと祈りながら。
「もう大丈夫です。触れてください。」
ヴェリティは、エミリオンの手を取り、真っ直ぐに見つめた。
その瞳には、エミリオンへの愛と信頼が満ち溢れているように見えた。
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