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31.処罰
それから三日後、妊娠が喜びと強さを与えたのか、ヴェリティは元気を取り戻した。
悪阻で食べられる物が限られていても、赤子の為に少しでも口にしようとするヴェリティに、ファビオラもグレイシアも寄り添っていた。
「お兄様!ヴェリティお義姉様が、お肉ならあっさりした羊肉、フルーツならお林檎をいつもより食べられましたわ!!」
「分かった!羊肉と林檎の他にも、いろいろなフルーツを用意してみよう。酸味のあるソースやドレッシングも食べてたな!!」
兄妹の連携プレーは、日々精度を増し、ヴェリティが食べられる物が、いつも食卓に並ぶようになっていた。
エヴァンス公爵家は、邸ではヴェリティの体調を最優先にし、邸外では着々とレオリックとオーレリアへの制裁の準備が整っていた。
レオリックは、本人の盛大な勘違いで、婚約者の居る令嬢を多数喰い散らかしており、素行の悪さが陛下の耳にも入っていたところだった。
しかも、ヴェリティは甥の妻として、直々に祝ったばかりで、日頃大らかな陛下も怒りに震え、厳重に処罰すると息巻いていた。
そして、オーレリアはエヴァンス公爵家の侍女をクビになり、レオリックを狙ってパーティに潜り込んでいたようだ。
しかし、そこでレオリックがヴェリティを狙っていることに気付き、エミリオンに寄り添うヴェリティへの嫉妬や、面白半分で見過ごしたことも罪に問うこととなった。
その話は、グラナードが登宮し、陛下と話し合ってきたことを持ち帰って明かされた。
「父上、ブランフォード侯爵とあの女は、どうなるのでしょう?」
「厳しい処分が出るんでしょうね?」
「お父様!一層の事、殺ってしまいません?」
帰宅早々、執務室に集ったエミリオンとファビオラとグレイシアは、矢継ぎ早にグラナードに話し掛ける。
「グレイシア…殺るのは流石に…」
「だって、あいつらは、このエヴァンス公爵家の嫡子を殺しかけたかもしれないのよ!?許せる訳ないじゃない!!」
エミリオンは、グレイシアが自分の言いたいことを代弁してくれているようで、かっかしていた頭がだんだんと落ち着きを取り戻していた。
「でもね、グレイシア、エミリオンとヴェリティの結婚を公表していなかったことも、今回の事件を引き起こした要因の一つかもしれないの。
エミリオン、ごめんなさい。私が披露宴まで引き延ばしたから…」
ファビオラは、情報が如何に大切かを失念していたと後悔していた。
「母上の所為ではありません。僅かな時間だからと、ヴェリティを一人にしてしまったのは俺です…」
自分を責める二人を見つめ、グラナードが処分について話し出した。
「陛下との話し合いで、レオリック・ブランフォード侯爵は、ヴェリティへの慰謝料、十年間の登宮禁止、鞭打ち三十回の刑が決まった。
オーレリア・コモンズ男爵令嬢は、鞭打ち十回の刑と、何故かこのタイミングで男爵家が破産したので、親娘共々、国外追放とする
十年間の登宮禁止は、事実上、社交界からの追放に匹敵するし、ブランフォード侯爵家の事業にも多大な影響を及ぼすことになるだろう。
オーレリアもこの国から居なくなるし、平民として生きていくことになる。
エミリオン、悔しいだろうが、これで手を打ってもらいたい。」
「分かりました。父上と陛下に従います。」
エミリオンは、唇を噛んで悔しさを胸に閉じ込めた。
それを見ていたファビオラやグレイシアも、じっと耐えることにしたのだった。
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