【完結】 言葉足らずな求婚 〜運命は勝手に回っていく、いや操られていく!?〜

紬あおい

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16.隠れ家 ④

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「目が覚めて、愛する人が目の前に居るのは幸せだ。」

システイン様は微笑みながら口付けた。
同じ気持ちで抱き合っていると、私も幸せだ。

「一時は本当にリシェを失ってしまうのではないかと不安だった…もう大丈夫って思っていい?」

「はい。ちゃんと愛しています。ずっとシスのお傍に居ます。」

赤くなった顔を手で隠す仕草が可愛らしくて、わざと覗き込むと、また更に赤くなる。

「シスって、そんな人でしたっけ?」

「リシェ限定で馬鹿になるみたいなんだ…殿下なんて、俺の馬鹿っぷりが見たくて揶揄ってくるんだよ…」

殿下とは、エドヴァルド皇太子殿下のことだ。
確かシステイン様の二つ上で二十歳。
次期皇帝は決定事項で、優秀で有望と言われている。
黒髪赤眼の容姿も若い令嬢に人気がある。

「エドヴァルド殿下とも私の話を?」

「まぁ、たまに…あとヘイゼルの話をするかな。殿下、ヘイゼルにご執心なんだよねえ…」

あ、ヘイゼルで思い出した。

(システイン様と私が結婚する!って言われたんだ。どうしよう…)

私の顔が引き攣っていたのか、システイン様が心配する。

「何、リシェ?どうした??」

システイン様に家を出る前のヘイゼルとの会話を説明する。
システイン様は「ぷっ」っと吹き出して、私にこれまでのネタばらしをしだした。

「ヘイゼルの話はね、リシェに自分の気持ちを気付かせようとした作り話なんだ。結果的にリシェが家を出てしまって反省してる。」

「え…嘘だったの…?」

「ヘイゼルなりに姉を心配していたようだよ。でも、リシェが行方不明になってしまって、殿下に泣き付いたんだ。」

何故そこで殿下?と思っていたら、皇族は魔力が使えるので、ヘイゼルは私の匂いが残っていそうなドレスを持って、殿下に「さっさと追跡して!!」と泣き付いたそうだ。
少し時間が経ってしまい、正確な位置までは把握出来なかったが、海辺に居ることと無事であることだけは確認したらしい。

「だから、シスは急に海辺に現れたのね?」

「いやぁ、海辺といっても随分探したんだぞ?殿下にはリシェが見つかるまで戻らないって宣言してきたしな。」

「心配掛けて、ごめんなさい…」

もう、いいから、とシステイン様は私を抱き締める。

「この隠れ家に来た次の日、俺は用事があると言っただろう?殿下の通信魔具で連絡してたんだ。リシェを見つけたって。で、しばらく帰らない!とも。」

私とちゃんと話し合うこと。
がっつり心を掴むこと。
そうでないと帰らない。
殿下が呆れる位にごねたらしい。

「えっ…大丈夫なの?」

「大丈夫だ!リシェの父上なんて『娘がうじうじしていたら、婚前交渉でも何でも好きにしてくれ!』と。こんなご縁は二度とないって。」

「ちょっと待って!?通信魔具って、シスはみんなと会話したの??」

「あぁ、俺と殿下、両家の親だ。あっちは賑やかだったぞ?」

別の意味で家出したくなってきた。
お父様やお母様に婚前交渉がバレたなんて…

「まぁ、いろいろ話だがみんな、俺達が上手くいくことを願ってのことだから。」

「シス…実は周りを固めた?」

ふふっと笑ったシステイン様に、また快感の渦に巻き込まれた。
もう全て受け入れよう。
この快楽も結婚も人生も。
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