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18.シスの想い
しおりを挟む幼い頃からリシェが可愛くて堪らない。
幼馴染が集まった時は、いつも傍にべったりで、話せるようになった途端「ししゅていんしゃまっ!」と後をついて来る。
もっと話せるようになると「システイン様と結婚する!」と会う度に言っていた。
一人っ子の俺は、そんなリシェが妹みたいで、可愛くて可愛くて仕方なかった。
いつからだろう…お転婆を極めたようなリシェが落ち着いたのは。
隣で静かに専門書を読み、分からないことがあると頬を染めて質問してきて。
納得いくまでキラキラした目で聞いてきて。
理解すると、興奮気味に真っ赤な顔でお礼を言って。
ある日「美しい笑顔だな」と思ってから、目が離せなくなった。
その頃には俺も公爵の執務を担うようになり、忙しくてなかなか会えなかったが、リシェは俺を見つけると走ってきた。
それが嬉しくて、傍に居たくて、わざと難しい話題を振って、偉そうに説明して会話を長引かせた。
体付きも大人になってきて、膨らむ胸元の中を想像してみたり、性的な対象として見ていることを悟られないように神経を使った。
それでも、初めての精通はリシェの夢を見ていた時だった。
汚らしい自分に落ち込んだりもしたが、リシェの前では噯にも出さぬよう努めた。
俺が成人を迎えた辺りから、結婚という言葉が周りからチラホラ聞こえてきた。
次期公爵という立場上、何れはしなければならないが、内心はリシェしか頭にない。
穏やかで優しく真面目で勤勉な人柄、容姿、出自、嫁姑問題、一切問題ない。
何しろ、俺がベタ惚れだ。
リシェが成人を迎えたら求婚しようと本気で考えていた。
しかし、先に「結婚しましょう」と言われた。
青天の霹靂とは、このことだ。
口を開けたままマヌケな顔をしたことだろう。
でもその時、俺は気付いた。
リシェは別の意図を持って、俺に話があると言ったのだと。
次の瞬間、俺の頭は物凄いスピードで回転し始めた。
「よし!これに乗ってやる!!」
母上に会う為に乗った馬車の中で、次々と作戦が浮かぶ。
そして、母上との会話で確信した。
リシェは俺に、良さげな女が居れば結婚するようにと言えと母上に頼まれ、言葉足らずだったのだと。
リシェらしくて、後から一人で笑った。
頭の中で考え過ぎて、言葉にしないという変な癖があるのだ。
わざわざ指摘しなくとも、長年の付き合いで俺とリシェは分かり合える部分が多かった。
言葉足らずを感謝したのは、俺の人生でその時が最初で最後となるだろう。
リシェは俺の作戦に気付いていない。
自分が求婚したからだと、未だに思っている。
でも、リシェの性格上、俺が一から求婚するとなると、数年掛かるかもしれない。その上、振られる可能性もある。
リシェは自覚なしだが、綺麗できちんとしている侯爵令嬢として人気があるのだ。
せっかくのチャンスをみすみす逃すわけにはいかない。
強引に進めた結婚だが、半年後にはリシェを妻に出来ると浮かれ過ぎていた。
リシェに触れて抑えが効かなくなり、頭の中がいやらしい想像で埋め尽くされ、更に暴言で傷付けた。
「システインはリシェルが相手だと馬鹿になる」とまで言われる始末。
これほどまでに狂おしく愛せる相手はリシェ以外には居ない。
初恋でとか、一人しか女を知らないとか、そんなことはどうでもいい。
とにかくリシェがいいのだ。
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